【サッカー】新潟、厳しい戦いは覚悟の上、ボールを奪って速く攻める／2017J1全18クラブ戦力分析

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2年連続年間15位。加えて、FWラファエル・シルバ（→浦和レッズ）、MFレオ・シルバ（→鹿島アントラーズ）、MF小林裕紀（→名古屋グランパス）、DF舞行龍ジェームス（→川崎フロンターレ）、DF松原健（→横浜F・マリノス）と、レギュラークラスが移籍し、今季も極めて厳しい戦いが続くと見る向きも多い。

この現状から浮上する大任に当たるのが、三浦文丈新監督だ。監督1年目の昨年は、AC長野パルセイロを率いてJ3の3位となった。指揮官として、初めてのJ1での采配となるが、プラスに働くのが選手やスタッフと“旧知”の間柄にあることだ。

三浦監督は2013-14年、柳下正明元監督（現ツエーゲン金沢監督）時代にコーチとして在任。13年は前からどんどんプレッシャーを掛け、ボールを奪ったら素早く攻めるスタイルがはまり、クラブ史上2番目の好成績となる7位を記録した。昨年12月の就任会見で、三浦監督は「攻撃も守備もスピーディーで、ボールを奪って速く攻める」ことをテーマに掲げた。13年に1つの到達点を見た、アルビレックス新潟のDNAに組み込まれていると言っていいスタイルが、そのベースにあることは明らかだ。

台湾、そして高知と1カ月半におよぶキャンプでも、戦術練習の初手としてチームが取り組んだのは、守備をオーガナイズすることだった。組織が整って、選手同士の距離が良くなれば、すかさず連動してボールを奪いに行く。「4-4-2」、さらに「3-4-3」で、ボールを奪いに行くためのスイッチをどう入れるか、すり合わせる作業が重ねられた。

良いボールの奪い方ができれば、選手同士の立ち位置も良いので、勢いそのままに相手ゴールに向かうことができる。守りを固めたいからではなく、「良い攻撃の出発点」としての良い守備の追及は、シーズンを通して行われるだろう。

目指すサッカーを表現するメンバー編成はどうか。今季、新潟が大きく変わったポイントでもある。

これまでは少人数で競争を高めようとするのが新潟の方針だった。しかし今年は、1月のチーム始動時点で34選手の大所帯。補強も適材適所に行われたと言える。

FWのホニは抜群のスピードとシュート力、周囲を生かす柔軟性も持つ。加えて守備意識が高く、三浦監督が目指すスタイルにマッチする人材だ。MFチアゴ・ガリャルドとの“あうん”の呼吸は、シンプルに速攻を狙う場面だけでなく、引かれてスペースを消された相手に対しても脅威を与えられるだろう。

レギュラーボランチ2人が抜けた穴も、十分に埋まりそうだ。4年目で今季、副キャプテンを務めるMF小泉慶は、これまでチーム事情からサイドバックやサイドハーフでもプレーしたが、「Jリーグで一番ボールを奪えるボランチになりたい」と、本来のポジションで躍動しようと燃えている。レオから「8番を着けてほしい」と後継者に指名された男が、どんな戦いを見せてくれるか。

そして注目が、市立船橋高校から加入したMF原輝綺だ。スピード、持久力、ジャンプ力とフィジカルに優れ、何よりボールを奪い切る力がすでにJ1レベルにあることをキャンプで証明した原は、ボランチから最終ラインに落ちて、そこから好配球を見せられるのも魅力だ。21歳の小泉と18歳の原という、若さあふれるドイスボランチが今季のチームの心臓になったとしても、何ら不思議はない。

センターバック（CB）で大野和成のパートナーとして心強いのが、34歳のベテランDF富澤清太郎の存在だ。ビルドアップの起点として、また豊富な経験を生かしてチームを後方からオーガナイズできる「頭脳」として期待される。昨季、左足底のケガに苦しめられたこともあり、いかにコンディションを上げていくかがポイントになるが、ポジションに応じてクレバーに仕事ができるMF原も、CBの候補の1人でもある。

ごっそり主力が抜けたセンターラインの再構築にめどが立ち、DF松原が移籍した右サイドバックも、名古屋で新境地を開いたDF矢野貴章、清水エスパルスに期限付き移籍していたDF川口尚紀の復帰によって厚みを増した。

今季、厳しい戦いが待ち受けるのは、誰もが理解している。その上で恐れず、新潟らしく粘り強いサッカーができるか。大所帯ではあるが、試合に絡むかどうかに関わらず、一丸となった戦いで難局を乗り越えていきたい。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170223-00000019-goal-socc