【野球】沢村栄治、「いい男だった」１００歳同期兵、娘と初対面

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　プロ野球草創期に東京巨人軍で活躍した沢村栄治（１９１７～４４年）の生誕１００周年を記念し、故郷の三重県伊勢市で２２日に開催された巨人－日本ハムのオープン戦。この場で沢村とゆかりがある２人の対面が初めて実現した。第二次大戦で戦死した沢村と同期兵だった１００歳の中西時次郎さん＝同県鳥羽市＝と、沢村の一人娘の酒井美緒さん（７２）＝愛媛県八幡浜市＝で、伝説の投手をしのんで交流した。

　中西さんが鳥羽市の離島、坂手島で健在なことを伝えた毎日新聞の報道をきっかけに、読売巨人軍が橋渡しをし、試合会場の倉田山公園野球場で２人の対面がかなった。

　中西さんは中国戦線に向かう輸送船で沢村と出会った７９年前（１９３８年）の記憶をたどり、その面影を酒井さんに伝えた。沢村が２７歳で戦死した当時、生後５カ月だった酒井さんは「父を『良い男だ』と言っていただいた。戦地の部隊で父と過ごした方に初めて会うことができてうれしかった」と喜び、中西さんは「沢村が生きていれば、３人で会えたものを」と惜しんだ。

　対面後、大の巨人ファンの中西さんは、巨人の久保博球団社長から永久欠番となった沢村の背番号「１４」のユニホームを贈られ、「こんなの初めてじゃ」と相好を崩した。酒井さんはグラウンドで始球式を務めた。

　中西さんは観戦のためネット裏席に向かう途中、段差に気付かずに転倒し、顔面を打った。病院に運ばれて処置を受け、観戦することなく自宅へ戻った。中西さんは「天国から地獄や」と自嘲気味に話したが、付き添った長男の豊さん（８１）は「こんなことが起きたが、じいさん（父）に悔いはなかったと思う」と胸の内を代弁した。

　オープン戦は約８５００人の観衆を集めて行われた。巨人は１－２で日本ハムに敗れたが、全選手が背番号１４をつけて伝説の投手に思いをはせ、最後まで熱戦を展開した。【林一茂、小沢由紀】

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