林葉直子氏と先崎学九段が40年ぶり対局、内弟子時代も語り合う

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約10年ぶりに再会し、笑顔で写真に収まる林葉と先崎
　天才少女と称えられながら、紆余曲折の人生を歩み、5年前に肝硬変により余命1年を宣告された林葉直子（51）。1年間のうつ闘病を経て、見事将棋界に復帰した先崎学九段（49）。幼い頃、親元を離れて3年間内弟子時代をともに過ごした2人が、40年ぶりに将棋盤を挟んで対峙した。

◆「願いが叶った美しい一局でした」

　5年前、肝硬変で余命1年を宣告された林葉直子が明るい声を響かせながら、人工骨で繋ぎ合わせた脚でゆっくりとベランダへ向かい、気持ちを落ち着かせた。一方、先崎学は部屋の中で将棋盤を見詰めながら、これから始まる約40年ぶりの対局に頭を巡らせていた。

　米長邦雄永世棋聖の内弟子として3年間、いわゆる“同じ釜の飯を食った”2人の一戦は、林葉の先手で始まった。序盤は先崎の優勢で進むも、林葉も最善手を続けて対抗。最後は先崎が貫禄を見せて勝利を収めたが、林葉もあと一歩まで追いすがった。

先崎：プロの矜持として、誰が見ても良いといわれる棋譜を作りたい。その願いが叶った美しい一局でした。林葉さんにいい手が多く、私もちょっと危なかった。

林葉：終盤、攻めて行けそうと思った時に時間がなくなっちゃって……。博多からの飛行機の中で、大山康晴先生の著書『忍の一手』を見てきました。先崎君と将棋を指せて、嬉しかったです。

──長嶋茂雄が巨人の監督を解任され、山口百恵が引退した1980年、中学1年生の林葉と小学4年生の先崎は東京・阿佐ヶ谷の米長邦雄宅での内弟子生活をスタートさせた。

林葉：聞いたことなかったけど、なんで内弟子になったの？

先崎：米長先生が林葉さんを見込んで、博多から呼ぼうと考えた。女の子1人ではかわいそうだから、誰かいないかと探していた時、（米長の師匠である）佐瀬勇次先生が私を米長先生の家に連れて行ってくれたんです。実は、佐瀬先生は私と羽生善治を推薦していました。私と羽生は小学2年生の頃に大会で出会い、佐瀬先生にお寿司をご馳走になったりしていたんです。

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