【五輪】“堀米雄斗効果”スケボーブーム　客急増「マナー守り楽しんで」 [シャチ★]

シャチ ★

　東京オリンピックの開催で、スケートボードの人気が高まっている。もともと新競技になったことで愛好者が増えていたが、日本勢が三つのメダルを獲得したことで一気に火が付いた。スケボーショップやパークには、男子ストリートで優勝した堀米雄斗選手（22）らに憧れた子どもたちが押しかけている。一方でブームの過熱は、騒音問題や交通トラブルの火種になることも懸念されている。

　「いっぱい練習して堀米選手のようにかっこよく滑れるようになりたい」。7月28日午後、東京・お台場にあるスケボーショップ「インスタントお台場店」。小学1年の藤原誠人さん（6）＝東京都中央区＝は、うれしそうに真新しいスケボーデッキ（板）を抱きしめた。堀米選手に触発されてスケボーを始め、この日は体験会に参加した。母親の奈津子さん（44）は「スケボーは大きくなっても楽しめるものだと思う。多くの友達もできればいいですね」と話した。

　同店のストアマネジャー、石井大輔さん（38）によると、堀米選手が金メダルを獲得した25日の午後から来店客が急増した。家族連れが目立ち、「子どもにやらせたい」という人も多い。「ここまで反応が出るのは初めて。堀米選手の金メダルのおかげで、スケボーの認知度が上がった」と、うれしい悲鳴を上げる。1日の売り上げはここ数日で2倍になったという。

　ショップを併設した東京都足立区の練習施設「ムラサキパーク東京」でも「堀米効果」はてきめんだ。広岡耕一店長(43）は「パークを訪れる人が明らかに増えた。スポーツとして始めたいという人が増えている」と話す。

　2年前からスケボーをしている東京都荒川区の小学4年、畑紗和子さん（9）は「私も地道に練習して、いつか大技を成功させたい」と意気込む。憧れは女子ストリートで金メダルを獲得した西矢椛選手（13）だという。

　日本スケートボード協会の関係者によると、昨年4月に新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が出されてから、スケートボードを始める人が急激に増加した。屋外で一人でも楽しめる点が受けたとみられ、五輪の新競技として関心が高まっていたことも背景にあるという。業界では、五輪や堀米選手の活躍によって、スケボーの「不良的なイメージ」が払拭（ふっしょく）されることへの期待が高まっている。

　協会のホームページによると、国内の愛好者人口は40万人。コロナ禍と五輪によるブームの到来は、この数字を押し上げそうだ。

　一方で、愛好者人口の増加によって懸念されるのが走行を巡るトラブルだ。

　ストリートカルチャーとして発展してきたスケボーには、街中や路上で滑る文化がある。道路交通法は「交通のひんぱんな道路」における滑走を禁じているだけで、路上走行が即、違法行為になるわけではない。

　ただ、市民からは「迷惑行為」と受け止められることが多く、通報されたり、騒音トラブルになったりするケースも少なくない。日本には約300カ所のスケボーパークがあるとされるが、さらなる整備が課題になる。

　東京・上野駅近くにあるムラサキスポーツ本店の川畑茂店長（59）は「ブームになるとキックスケーターの時と同じようにマナーを守らない人が出てきてしまう。やっている人のモラルが問われる形になる」と指摘する。店はスクールを開催するなどしてモラルの啓発にあたっている。川畑店長は「人に迷惑をかけない、という大前提を守りながら、みんなでスケボーを楽しんでほしい」と呼びかけている。【木下翔太郎、川崎桂吾】

8/3(火) 10:10配信　毎日新聞
https://news.yahoo.co.jp/articles/194a283cee79c6e706ca7c7135fe8ed805333582
スクールでスケートボードの練習をする子どもたち＝東京都足立区のムラサキパーク東京で2021年8月1日午前10時52分、木下翔太郎撮影
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