米国、イスラム国へ空爆２０００回　指揮官の５０％と６０００人の戦闘員を殺害　未だ弱体化に至らず

空爆２０００回「指揮官の５０％殺害」も弱体化に至らず

【ワシントン＝加納宏幸、ロンドン＝内藤泰朗】日本人２人の殺害を予告したイスラム教スンニ派過激組織
「イスラム国」の壊滅を目指し、オバマ米政権は欧州や中東諸国などが参加する有志連合で連日、空爆を
続けている。ただ、イラク、シリアの国境を無視して移動するイスラム国戦闘員の所在を正確に把握し、打撃を
与えるには空爆を中心とした作戦では困難を伴い、完全に弱体化させるには至っていない。

ケリー米国務長官は２２日、ロンドンで有志連合の閣僚級会合後に会見し、「戦闘指揮官の約５０％を殺害し、
イスラム国の拡大を阻止し押し返している」として、昨年８月にイラク、９月にシリアでそれぞれ開始した空爆が
効果を上げているとの認識を示した。さらにケリー氏は、イスラム国から７００平方キロに及ぶ支配地域を奪い
返すのに成功したとし、「この数カ月でイラクでは決定的な局面を迎えた」と強調した。

また有志連合軍はこれまでに２０００回近くの空爆を実施し、精密爆弾を使った攻撃で、戦闘員のほか、戦車を
含む数百台の車両を破壊したという。

米紙ウォールストリート・ジャーナル（電子版）によると、中東での作戦を統括する米中央軍幹部は、イスラム国の中核
となる戦闘員は空爆前には約１万４千人だったが、すでに空爆でイスラム国の約６千人を殺害したと明らかにした。

中央軍のオースティン司令官は同紙に対し、空爆によってイスラム国が戦闘員不足に陥っていると指摘。子供の
戦闘員を募集していることや、イスラム国が制圧しているイラク第２の都市、北部モスルで徴兵を実施していること
がその表れであるとしている。

ただ、イスラム国はなおイラクとシリアの領土の３分の１を支配しているとされる。特に、北部モスル・ダム、シリア
などと接する西部のアンバル県といった戦略的に重要な土地を確保しようと、激しい攻勢に出ている。

イラクには２３００人余りの米軍が駐留し、イラク側に作戦への助言や訓練を施している。マケイン上院軍事委員長
（共和）らは、空爆が効果を上げていないとして、地上から空爆を誘導する要員を派遣するよう求めているが、
オバマ米大統領は地上戦闘部隊の派遣を否定している。

米国、イスラム国へ空爆２０００回 指揮官の５０％と６０００人の戦闘員を殺害 未だ弱体化に至らず

米国、イスラム国へ空爆２０００回　指揮官の５０％と６０００人の戦闘員を殺害　未だ弱体化に至らず