イギリス人「日本は観光後進国。移民が嫌なら外国人観光客を増やせ」

　日本や京都の観光の在り方を鋭く批判してきた文化財保存修理会社社長の英国人デービッド・アトキンソンさん（５０）が、
相次いで著書を出した。アナリストとしての冷静な分析に基づき、日本が「世界でも数少ない観光大国」になるための提言を
打ち出している。５月に京都市の京都国際観光大使に就くなど京への思い入れも深く、観光地としての改善点なども指摘している。

　米大手証券ゴールドマンサックスの金融調査室長を務め、小西美術工藝社（東京都）の社長に転身した。

　「新・観光立国論」（東洋経済新報社）は、題材を観光に絞った。人口減にもかかわらず移民政策の推進を渋る日本が成長を
遂げるには、「短期移民」を増やすことが重要と訴える。彼が言う短期移民とは外国人観光客のこと。政府は観光立国を掲げ、
外国人観光客は順調に増えているように見える。だが、日本の観光収入は上位１５カ国の平均の３分の１程度であることを示し、
「観光後進国」と手厳しい。

　その上で、日本が潜在能力を発揮するためには、アジアだけでなく、中東や欧米など遠くから来る長期滞在の富裕層を呼び込む
重要性をデータに基づいて説く。世界の動向を加味した上で、政府が２０２０年に２千万人とする外国人観光客の目標人数を
倍以上の「５６００万人」にして進むべきだという。

　もう一つの新書「イギリス人アナリストだからわかった日本の『強み』『弱み』」（講談社＋α新書）は、昨年出版した「イギリス人
アナリスト日本の国宝を守る」（同）の続編。２５年間の日本生活を基に前著で書ききれなかったことを中心にした「日本人論」を
展開している。

　アトキンソンさんは以前から、市内の寺社など名所の展示方法や案内表示を外国人観光客向けに改善するべきだと訴えてきた。
「市が管理する二条城の展示見直しを実現して、集客につなげたい」と具体的なプランを挙げ、京都観光の底上げにも意欲を燃やしている。
http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20150730000081