オバマ大統領が残した実績

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　【ワシントン＝青木伸行】米大統領選はいよいよ投票日を迎えた。次期大統領が決まれば「ポスト・オバマ時代」が
事実上スタートする。オバマ大統領のレガシー（政治的遺産）は、次期大統領の手の中にあるといっていい。

　「ヒラリー（クリントン前国務長官）は最も大統領にふさわしい。ドナルド・トランプはデマゴーグ（民衆扇動者）だ。
冷笑や恐怖を拒絶し、この偉大な国の約束を私たちがまだ信じていることを世界に示そう」

　オバマ氏が、ノースカロライナ州を皮切りに、クリントン氏の応援遊説を開始したのが７月。以来、激戦州を中心に
足を運び、選挙戦最終日の１１月７日は重要州のミシガン、ニューハンプシャー、ペンシルベニアで声を張り上げた。

　現職の大統領が大統領候補を積極的に応援することは珍しい。理由の一つは、候補者が政治的な問題を抱える
現職の支援を受けて選挙戦にマイナスの影響が及ぶことを懸念するためだ。

　一方、オバマ氏がクリントン氏を強くテコ入れしたのは、自身のレガシーを引き継がせるためだ。オバマ氏は
「私の名前は投票用紙にないだろうが、（レガシーは）投票用紙（に書かれたクリントン氏）にかかっている」と吐露している。

　共和党のドナルド・トランプ氏が次期大統領になれば、オバマ氏の実績は全て覆される恐れがある。事実、
トランプ氏は選挙戦を通じ、オバマ政治をクリントン氏と結びつけて全面否定し、支持を糾合する原動力の一つにしてきた。

　「チェンジ」（変革）を掲げたオバマ氏自身がレガシーとして掲げるのは、（１）米国経済を、リーマン・ショック以降の
低迷から回復軌道に乗せたこと（２）アジア重視戦略（３）国連気候変動枠組み条約の第２１回締約国会議（ＣＯＰ２１）
での「パリ協定」採択（４）ＴＰＰの大筋合意（５）医療保険制度改革（オバマケア）（６）キューバとの国交正常化－などだ。

　これらの成果を踏まえ、ブルッキングス研究所はオバマ氏を歴代大統領の中で１８番目に「偉大」と位置づけている。

http://www.sankei.com/world/news/161108/wor1611080043-n1.html