６月下旬に試験航海を開始した英国の新しい空母「クイーン・エリザベス」をめぐり、英国とロシアが激しい舌戦を繰り広げている。
ロシアの空母が旧ソ連製であることを念頭にファロン英国防相が「ロシアは（新空母を）うらやむことになる」と発言。
これに対し、ロシア国防省は、英新空母を大きいだけと酷評し「格好の標的だ」と応戦、険悪なムードが漂っている。
クイーン・エリザベスは北海で試験航海を行うため、６月２６日にスコットランドから出航した。
英紙デーリー・テレグラフによると、ロシアが空母に関する情報収集を行う可能性について問われたファロン国防相は「ロシアが近づき過ぎないようあらゆる措置を取る」と強調した。
ただ、続けて「彼らは感嘆することになる」と脱線。
ロシアが偵察すれば英新空母の威容に圧倒されると挑発気味になり、ロシア唯一の空母「アドミラル・クズネツォフ」を「古くておんぼろ」と余計な一言も加えた。
怒ったロシア国防省は６月２９日に声明を出し「ファロン氏の有頂天の発言は海軍学に全く無知であることをさらけ出した」と公然と反撃を始めた。
英新空母は「護衛艦などに囲まれて、航空機を発進させることしかできない」と指摘。
それに比べ、アドミラル・クズネツォフは「対空、対潜水艦ミサイルに加え、対艦ミサイルを備える」と空母としての格の違いを自慢、対抗心をむき出しにしている。
クイーン・エリザベスは全長約２８０メートル、排水量約７万トン。英海軍史上最大の艦船だ。
緊縮財政のため英軍は空母「イラストリアス」（全長約２１０メートル、排水量約２万トン）を２０１４年に退役させた後、
空母を持たず「もう一度、フォークランド紛争が起きても戦えない」と退役軍人から非難を浴びていた。
対するアドミラル・クズネツォフは全長約３００メートル、排水量約６万トン。ソ連時代の１９８０年代に建造が始まり、就役したのはソ連崩壊前年の９０年暮れだ。
昨年はシリアのアサド政権を支援するため、地中海に派遣され、世界の注目を浴びた。
新空母は「格好の標的」？＝英国とロシアが舌戦
https://news.biglobe.ne.jp/international/0703/jj_170703_7494819909.html