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秋葉原・加藤の乱から10年 加藤智大死刑囚(35)の父(60) 事件後に青森に帰り、灯りもつけぬ生活

28 :名無しさん@涙目です。:2018/06/08(金) 01:50:59.21 ID:5BDX1Xhr0.net
弟の手記

>>23-24の続き

時間が経つにつれて取材は減っていったが、事件があった6月が近づくと、またたくさんの記者がやってくる。

あれからいくつもの職に就いたが、そのたびに考えたのが、

「もしも俺が加藤の弟だと知ったら、この人たちはどうするんだろう」

ということです。敵と味方と、二種類に分かれるのだろうか。味方が多くなりそうな職場もあったし、敵だらけになりそうなところもありました。

仕事はクソ真面目にやったけど、評価はどうでもよかった。「加藤の弟」という称号を手に入れたいま、そこらに転がっている不名誉など、無意味に等しいと思っていました。
簡単に住所がバレてしまうように、マスコミが知ろうと思えば勤め先も知られてしまう。そうなったらまた、辞めて引っ越すだけです。



そんな暮らしの中にも、「希望」がなかったわけではない。事件から1年あまりが過ぎた頃だった。彼のアパートを訪ねようとしたときに、たまたま、女性と一緒に歩く姿を目撃したのだ。恋人だという。事件以来、優次が喜怒哀楽を見せることは、一切なかった。だが、「バレましたか」と言いながら女性に向ける表情は、若者らしい屈託のない笑顔だった。

優次は彼女に、事件のことも話していた。

正体を打ち明けるのは勇気のいる作業でしたが、普段飲まない酒の力を借りて、自分のあれこれを話して聞かせました。一度喋り出したら、あとは堰を切ったように言葉が流れ出ました。

彼女の反応は「あなたはあなただから関係ない」というものでした。自分が受け入れられたことに、心底ほっとしました。自分が許されるということは、とても、とても嬉しかった。

交際期間が1年を過ぎる頃、優次は彼女との結婚を望み、アルバイトから正社員になった。

「齋藤さん、家庭を持つってどんな感じですか」

と私に訊いてくることもあった。しかし結論から言うと、優次のこの「夢」はかなうことはなかった。事情を知りつつ交際には反対しなかった女性の親が、結婚と聞いた途端、猛反対をしたのだという。

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