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半生をつらつら聞いて欲しい。

1 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 02:39:05.70 ID:/8bHyb0o0.net
フェイクは入れれる自信が無い。
出来るだけ丁寧に書きたいと思う。
大した半生では無いけど誰かに聞いてもらえたら救われる気がする。

2 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 02:45:11.75 ID:LXxL0XAJ0.net
そんな余裕ねーよ

3 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 02:45:59.41 ID:/8bHyb0o0.net
家はかなり貧しい方だった。
最古の記憶は母親が父親の鼻を親指と人差し指ではさんでた光景だと思う。
その日から、父親を家で見ることは無くなった。
記憶の始まりが両親の最後の喧嘩とは恵まれてるとは思えない。

どうも貧しいのは父親の借金のせいらしかった。
それまで私立のカトリック系の保育園に通っていたのだが、その日から遠くない内に市立の幼稚園に通うようになったと思う。
帰りはいつも遅かったと思う。
キテレツくんがリアルタイムで20時の放送されたと思うのだが、園長先生の部屋でそれを見てから帰る日も多かったから。
3分の2位は3つ上の次男が自転車で迎えに来てくれてた思う。
すごく優しいいい兄貴だった。

4 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 02:52:05.22 ID:9oRhShqH0.net
親孝行

5 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 02:52:52.24 ID:HWwxGkMf0.net
23~24歳くらい?

6 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 02:53:51.79 ID:/8bHyb0o0.net
>>2
ごめんね。
つらつら書かせて下さい。


4歳か5歳位に、より近くの保育園に通うようになった。
そのために、大きくなるまで幼稚園から保育園に通うものだと思っていた。
ある日、我が家には無い車がお迎えに来た。
母親の仕事の知り合いということだったが、その時には恋人だったのだろう。
車内の皿にのった山盛りの小銭を凄いねとパンチパーマのおっさんに言うと好きなのを一枚持って行っていいよと言われた。
なので500円玉を意図して選んだのだが、それをひどく母親に咎められたのを今でも思い出す。
大人同士の会話で大きいから選んだのだろうと落ち着いてたが価値を分かって選んだのを覚えてる。
それからなし崩し的にその人が我が家で同居するようになった。
その人を兄弟全員で、父親は居るのだからパパと呼ぼうと気がつくと決まっていた。
兄弟全員よく懐いていたと思うし、パパも出来るだけ努力をしてくれてた様な気がする。
しかし、その努力は恋人である母親へ向けての為だったと後で思い知るのだが。

7 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 02:58:55.78 ID:/8bHyb0o0.net
>>4
親孝行だったと思う。
次男は特にね。
>>5
29歳です。

そこから小学生になり、1年間は皆上手に暮らしてたと思う。
幼すぎて覚えていないだけかもしれないけれど。
2年生になった時、長男は中1になっていた。
後々知ることになるのだが、パパを長男はよく思ってなかったらしい。
これは長男自身の考えでは無かったのだと思う。
実父の入れ知恵だったと今では思う。
近所の公園で遊んでいて門限の6時を過ぎて、怒られるのを覚悟しながら家に入ると怒号が響いていた。
死ぬほど怖かったがリビングに入ると想像以上の光景が広がっていた。

8 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 03:06:16.87 ID:/8bHyb0o0.net
パパが長男の襟を掴み長男を振り回していた。
なんとも言えぬ表情の母親と、止めたいけれど止められない事に歯痒さを感じている表情の次男をよく覚えてる。
なぜそうなったのかも結局今だにわからないままだけど、あの時から家族の中でパパが異分子になったのだろう。
兄達は僕をよく面倒見てくれるし、僕も兄を尊敬し慕っていたから余計に。
そこから、母親が父親に殴られるようになった。
それは僕たちの見てる前ではなくて、母親自身も断言出来ない方法だったらしい。
寝返りの最中に肘打ちをされて肋骨が折れたり。
どうも母親が兄弟達に目を掛けるのが面白くなかったらしいと母は言っていたがその通りなのだろう。
間も無くパパの子供達と同居する話が上がり、試験的に同居し始める事になった。
パパの子供は4つ上の女の子と2つ上の男の子。
パパがウチにいる間はお婆ちゃんの家で面倒を見てもらってたらしい。

9 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 03:11:10.55 ID:eMei7ITh0.net
お前の母ちゃんダメ男としか恋愛できないのか
どういう人だった?色んな面できちんとしててバリバリ働くタイプかだらしないタイプか

10 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 03:12:14.43 ID:/8bHyb0o0.net
同居し始めて、男の子と俺と次男は仲良くやってたと思う。
年も近かったし、遊ぶのに躊躇はなかった。
長男と女の子はどうだったのか今でもわからない。
微妙な年齢の二人で微妙な感じだっただろう。
試験的に同居から3ヶ月程経った時に母親が我慢の限界だと言い出した。
女の子を女の子なりに出来るだけ神経質に丁寧に扱ったつもりだったと言っていた。
男ばかりで風呂に入るもんだから、風呂の順番はパパ→兄弟→女の子→母親だったのだが、母親が入る度に湯に鼻汁が浮いていたり何かしら汚れていたりしていたそうだ。
その他の小さい嫌がらせに耐えかねた母親の我慢の限界でパパの子供達と俺たちは元の場所に収まった。

11 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 03:19:51.45 ID:bqtG10iW0.net
>>9
母親は兄弟達を何よりも大事にしてくれたと思う。
如何せん男を見る目がなかったのだと。
実父も借金し始めたのは兄弟達への愛情嫉妬かららしい。

3年生の時に、母親がパパに沸かしたてのお茶を入れようとした時にポットの取っ手が取れて左の太ももに沸騰したお湯が掛かった。
太もも全面が大火傷でケロイド状になってたのが見てて痛々しかった。
そこからパパがちょこちょこ家に帰らなくなりはじめた。と言うより、自分の家に帰り始めたのだと思う。
母親は火傷の事は事あるごとに嫌ごとを言われてたらしい。
4年生の夏休み前に、母親が通勤の帰りに信号待ちしていると車に撥ねられた。

12 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 03:25:40.25 ID:LnomCIOo0.net
見てるよ

13 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 03:27:32.93 ID:bqtG10iW0.net
結構な重傷で、ムチウチどころの話ではなく、頸椎がズレて即入院になった。
その頃にはパパはすっかりと家に来なくなっていた。
気がつくと、母親が入院で不在の中兄弟だけで過ごすようになっていた。
長男は高校生になっていて、近くの量販店でバイトをしていた。
時代なのだろうけど、高校1年生なのにフルで勤務し7月の給料が16万前後、8月は20万円を超えていたらしい。
母親が入院し、給料が入ってこない、保険のお金も入ってこない状態で長男に生活が出来ないから給料を貸してくれと言ったらしい。
が、長男の返事は俺が稼いだ金やねんから好きに使う。との事だったらしい。
ここで、家族の崩壊は始まっていたと今は思う。
長男が働いて帰って来て、3人で食べるのは一人一本のスイスロールか、3人で一袋のポテトチップスのビッグバッグだった。
この時母親は長男に毎日数千円程度の食費を渡していたらしい。
ひもじさと心配で次男は俺を自転車に乗せて毎日母親を見舞った。
俺と次男のこの時期のまともな食事は母親の昼の入院食だけだった。

14 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 03:34:47.46 ID:bqtG10iW0.net
>>12
ありがとう。

次男と俺は栄養失調のままその夏を過ごした。
今思い出すと次男はよく頑張ってたと思う。
俺の面倒を見ながら、入院食を俺に全部譲った上で母親の代わりに市役所だなんだと駆けずり回っていた。
中1の少年が自転車でまともに飯も食わずに。
8月に入り、母親が食費を次男に渡すようになった。
そこから少しマシな食生活になったとは思う。
その時に次男が作ってくれた卵2つにマンジョーの味塩胡椒をふた振りして作ってくれた卵焼きは今でも忘れられない味だ。
その頃には長男は持った金で遊び呆けてまともに家に帰らなくなり始めていた。
どうも実父とパパには会っており録でもない事を吹き込まれていたらしい。
長男の人間性がそうだったのか、小金を握らせて有る事ない事吹き込まれた子供をコントロールするのは大人には容易かったのだと思う。
夏休みが終わる頃には長男はたまに家に帰って来ては退院した母親と揉めるか、友人達を家に入れて騒いでいるだけだった。

15 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 03:40:00.70 ID:bqtG10iW0.net
その頃には俺は学校で嫌われていた。
喧嘩っ早く、同級生殴る蹴る当たり前だった。
俺自身の責任なのだが、そのお陰でイジメが始まっていた。
無視され、無視したやつを殴る日々だった。
子供ながらにストレスがと言えば言い訳なのだろうが、どうも他人と上手に付き合えなかった。
そして不登校になりはじめた。
学校にも行かずに家でゲームをしてるだけの毎日。
母親は嫌なら無理に行かなくてもいいと言っていた。
そこ頃の親にしては理解があったのだと思う。
母親が長男の行動に業を煮やし始めた頃には俺は5年生になっていた。
珍しく登校した時に事件が起こった。

16 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 03:44:31.24 ID:bqtG10iW0.net
5年生になって始めて投稿した日はテストの日だった。
テストの時間の前の休み時間に、スーパーサイヤ人が書かれた鉛筆を俺は拾っていた。
休み時間時中ずっと持ち主を探してたのだが見つからなかった。
俺自身もドラゴンボールの消しゴムをなくした時にすごく悲しかったから必死に探したのだが見つからなかった。
テストが終わり、担任は教室で採点をしていた。
担任に同級生たちが群がっていたのだが、割って入り担任に鉛筆が落ちてた事を伝え鉛筆を渡そうとすると同級生の一人が、それ俺のだと、泥棒だと騒ぎ始めた。

17 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 03:50:07.91 ID:bqtG10iW0.net
呆気に取られた俺は何も言えないままに立ち尽くしていると、担任が笑顔で俺に言った。
俺君は、カンニングもするし鉛筆も盗むんだね〜。っと。
一瞬で頭に血が登り、悔しさと恥ずかしさでランドセルも持たずに家に逃げ帰った。
家に着くと休みだった母親がベランダで洗濯物を干していた。
泣いてる俺から事情を聴くと、学校に行けと言った。
学校に行って、僕はカンニングもしてないし鉛筆も盗んでないと担任に言ってこいと。
それだけしたら帰ってきていいからと言われ、俺は学校に向かった。
自宅から自転車に乗り学校の前に止めると、教室に向かった。
教室に着くと自習状態で担任が見当たらなかった。
担任は?と同級生に聞くと分からないと答えられた。
探すために教室を出ようとすると同級生に逃げたとからかわれたのでそいつの襟首を掴んで立たせると黙ったので放置して教員室に向かった。

18 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 03:52:50.30 ID:LnomCIOo0.net
担任クズだな

19 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 03:53:30.71 ID:c56DX7R/0.net
見てるぞ

20 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 03:56:29.51 ID:bqtG10iW0.net
教員室に入ろうとした時に、ちょうど担任が出てきた。
俺はカンニングもしてないし鉛筆も盗んでないと伝えると走って玄関に向かった。
追ってきた担任に左腕を掴まれ、今ここで俺君に帰られると私先生辞めないといけないから待ってと言いながら左腕を引っ張られた。
関係無いし、やめてしまえとすら思いながら必死で自転車に向かおうと俺も左腕を引っ張り返した。
その時体に鈍く大きい音がボキッと身体に響いた。
驚いて担任が手を離した隙に走って自転車に飛び乗り自宅に帰り腕が痛い事を伝えるとと母親が真っ青な顔で病院に行くと言った。
自宅を出ると追ってきた担任と鉢合わせたが、担任の言い訳をピシャリと遮り見てわかるように骨が折れている。
今から病院に行くからお前の言い訳は要らんというようなことを伝えた。
病院で医師にはこんなに綺麗に折れた鎖骨は見たことないと言われた。

21 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 03:57:22.25 ID:LnomCIOo0.net
やっぱり女の教師か。

22 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 04:02:23.13 ID:c56DX7R/0.net
oh・・・屑にもほどがあるな
くそ担任

23 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 04:04:30.25 ID:4+ueK1ih0.net
後から知るのだが、この担任は次男の担任にもなっていたらしく調理実習の時に母親が次男に持たせた缶切り(今でこそ当たり前だが、嵌めて回すだけで缶の上部が綺麗に取れる缶切りは当時珍しかったらしい。)を欲しがり次男から盗みいざこざしたらしい。
それも加えて、俺のせいで不登校児の居るクラスを受け持たされたのが俺への鉾先の切っ掛けらしかった。
そこから俺の骨折について、学校と話し合いになったのだが謝るだけで一行に話が進まなかったのを覚えている。
最終的に治療費だけは学校の保険で払うって事になったと思う。
それもこれも片親で舐められた所為だと母親が悔しさに肩を揺らしてた。
時代的にそれは大きく起因してただろう。
そこから、俺の間違った道が始まった。
学校へ行って何をしても教師から注意されることが無くなったのだ。
授業中に歩き回っても、何しててもまるで腫れものに触るように扱われたのは忘れられない。

24 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 04:11:06.11 ID:4+ueK1ih0.net
異様な空気の大人たちのいる場所に進んで行く気にもならずに、俺は余計に学校から足が遠退いた。
学校よりもゲーセンに行くのが日課になり始めていた。
同時に、母親の長男への鬱憤が爆発した。
ある日長男が帰って来た時に首根っこを捕まえて、10万円今すぐ払えと怒鳴った。
どうも話を聞く限り携帯電話の料金らしかった。
この時、かなり早くは会ったが母親が朝早く夜遅い仕事の為に心配がないように兄弟全員携帯電話を持たされていた。
その通話料で10万の請求がきているとの事だった。
長男がその場から逃げ、翌月だった。
その月の請求が9万だった。
2ヶ月で19万。母親一人で3人の男の子を育てながら簡単に捻出出来るお金じゃないのは今になればわかる。
その他にも晩御飯に買ってきていた鳥ももを家族全員分勝手に長男が食べたりしていたことで、母親がブチギレタ。

25 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 04:13:52.92 ID:LnomCIOo0.net
思春期だしストレスもあっただろうけどな…長男しっかりしてくれよー。

26 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 04:15:40.03 ID:RGJWmYep0.net
揉めに揉めた結果、高2で長男は実家を追い出され高校近くのアパートに住み始めた。
アパートに住み始めたのも友人の家に入り浸って嫌がった相手の親に体良く追い出されただけなのだが。
長男は中華料理屋でバイトをしながら、学校にも通っていた。
勝手に唐揚げを食べたり食材を持ち帰ったりするらしく、オーナーに嫌がられてたらしいが長男の背景とオーナーの温情で首にはされずに勤めていた。
家の中には母親と次男と俺だけになった。
長男も意地だったんだろう、ほぼ没交渉になっていた。
そこで中3になっていた次男がはっちゃけ始めた。

27 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 04:17:54.64 ID:LnomCIOo0.net
見てる。次男まで変わらんで欲しいなぁ

28 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 04:20:42.73 ID:c56DX7R/0.net
次男のはっちゃけが怖い・・・

29 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 04:21:29.54 ID:ME0Lq3Sb0.net
長男の話は蛇足だが、キリンの田村と同級生でうちで一時期面倒を見てたこともあった。
礼儀知らずすぎて母親が切れて追い出したのは覚えてる。
田村の本の中にウチは一切出てこないけどねw
そんな田村みたいになったなと、俺は長男を見ていた。

次男は地元では名前を聞けば道が開くほどのヤンキーになっていた。
お陰で後々えらい迷惑を被るのだが。
我が家は溜まり場になり、次男は家族と大きく心が離れ友人の方に偏り家を留守にすることが増えた。
その頃に俺は兄貴の友達にタバコを教えてもらった。
初めて吸ったタバコはラッキーストライクだった。

30 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 04:26:57.89 ID:ME0Lq3Sb0.net
母親は次男を心配しながらも、長男も心配だし、俺も不登校で心配だし、疲弊し切ってたのだと思う。
その頃、次男は先輩に誘われて暴走に行き始めていた。
家族の心配をよそに、次男はどんどんと拍車がかかり外での交友関係を広げた。
今思えばだが、小学校時代は俺の面倒を見ながら洗濯洗い物掃除機掛けて家事を一人で母親のサポートしてた反動だったのかと思う。
母親が心配しているのを分かってた俺は、次男が暴走に行こうとしているのを何度も鍵とチェーンを掛けて阻止した。
その度に殴り倒されて、その音で母親が起きてきて次男が断念するって流れだった。

31 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 04:33:11.07 ID:irc/9fFq0.net
>>27>>28
救われます。
ありがとう。

それでも外に向かう次男の欲求は止まらなかった。
6年生になった俺は、息抜き程度に学校に先生をからかいに行っていた。
勿論同級生からは冷ややかな視線を投げられてたし十分感じていた。
その時バックルになったナイフを次男の友達から渡された。
俺はそれを装備して学校にいくと冷ややかな視線を送る同級生に誰彼構わず喧嘩を売っていた。
そのうちの一人に喧嘩を売った時に、バックルを出して刺した。
掌を刺して相手は大怪我になったのだが、大した問題にならなかったのは以前の問題が学校にあったからだろう。
相手の親との直接の交渉で終わった。
そこから俺は危ない奴って事で同級生で寄ってくる奴は益々いなくなった。

32 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 04:38:26.10 ID:irc/9fFq0.net
学校にも行かずに、ゲーセン通いをしているうちに中学生になった。
その時には俺も大概ろくでもなくなってたし、次男に至っては地元の顔になっていた。
入学して学校に行った時は衝撃だった。
2年3年の先輩たちは俺のペコペコするし、別の学校から合流した奴には俺は刺した事件で人を殺した事になっていた。
同校の奴は友達にはなれないし、他校の奴は俺を人殺しだと思い近寄らず、先輩たちは兄貴のおかげで俺を大事にした。
面白みのない学校から余計に足が遠退いた俺は学校には行かずに家とゲーセンの往復しかしなくなった。

33 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 04:41:05.27 ID:LnomCIOo0.net
次男なぁ…

34 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 04:45:19.34 ID:irc/9fFq0.net
中1の夏、人生を変える出来事が起こった。
忘れもしない9/16日。
夕方に自転車でゲーセンに向かっていた俺は軽トラに跳ねられた。
軽トラの運転手は俺を怒鳴り散らし、一方的に文句を言い立ち去った。
俺はナンバーを覚え、近くの店でメモとボールペンを借りて記憶したナンバーを書き殴った。
メモをポケットになおし、家に帰るとポケットに入れてるはずの鍵が見当たらなかった。
次男は高校に行っていて居ないし、母親はいつ帰ってくるのかわからないしで、俺はベランダから家に入ろうと思った。
鍵を無くした事を怒られるのが怖かったから。
ベランダの柵に足を掛け、回ろうと下が納戸のせいで大きく回る必要があった。
何を思ったのか、上部に出っ張った板を両手で掴んで、全体重を預けた時板がゆっくりと外に向けて動いた。

35 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 04:53:51.00 ID:0KVDkwlj0.net
板はゆっくりと横に動いた後に少しだけ前にせり出した。
その時にはベランダの柵と足は完全に離れていたし、自分を支えるのは両手で掴んでる板だけだった。
頭の中に痛いほどに感じたのは、これは助からないって事だった。
手を伸ばしても柵に届かない所まで来ていたし、これは落ちるんだと思った瞬間に意識が飛んだ。
そのまままっすぐに1俺は16メートル近く落ちた。
地面に当たった瞬間に痛くて、痛い!と言った記憶は有るが、その次の瞬間に痛すぎて記憶が飛んだ。
次に目を覚ましたのは、担架で運ばれた救急車の中だった。
周りはざわつき、大人が必死に俺に声をかける事に、子供心なりに迷惑をかけてると思い、あらぬ方向に曲がった左腕を元に戻そうと動きながら立とうとした。
救急隊員に無理しなくていいから、横になってなさいと言われ安心して気を失った。
上階の方が、びっくりするぐらい大きい音に外を見たら俺が落ちているのを見て通報してくれたらしい。
この上階の人ともややこしくなるのだが。

36 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 04:56:15.80 ID:0KVDkwlj0.net
長すぎるかなw
まだ半分も行ってないかも。
書きダメした方が良かったかな。

37 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 04:56:41.53 ID:LnomCIOo0.net
嫌な事って重なるんだな。

38 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 05:02:11.28 ID:LnomCIOo0.net
どっちでも大丈夫だよ。

でも…寝ちゃうかもwけど、話に引き込まれてるから、どちらにせよ全て見たい

39 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 05:03:30.56 ID:h+HQ//TI0.net
そのまま搬入された救急病院で、緊急手術になった。
担架で運ばれた医者に麻酔を打つよと言われた時思ったのは、意地でも寝ないだった。
が、意地も虚しく点滴から入れられた麻酔は血管を無理やり広げるような痛みを俺に与えた後に気を失った。
そこから目を覚ましたのは3日後だった。
結果は足首9カ所の複雑骨折と恥骨15カ所の複雑骨折、上腕の骨折だった。
上腕は見事に割れていて、アルミの様な棒を突っ込まれ骨の添え木にされていた。
4か目に腹が痛すぎて、看護婦に訴えた所浣腸されてベッドの上で銀の皿に寝転んだまま大便をさせられた。
その時に看護婦に言われた言葉は未だに忘れられない。
象みたいなうんこだね。だった。

40 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 05:08:52.86 ID:h+HQ//TI0.net
思春期に言われたのは酷く凹んだ。
綺麗...かどうかは覚えていないけど、お姉さんの前で大便をさせられた上で言葉で辱められたのだ。
間も無く、地元の病院機移ることになった。
市民病院は移るのが難しかったが、市会議員に金を払ってコネを使って無理くり押し込んだと母親に後に教えられた。
リハビリをこなしながらまともに生活ができるようになった時には年が明けていた。
半年以上学校に行っていなかった俺は、そのまま学校に行かずに過ごす毎日に戻った。
左足首骨折のおかげで走ったり出来るようになるのに長い時間がかかった。
思うように運動も出来ない中で俺は少しずつ腐って行った。

41 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 05:10:59.81 ID:g0Mw/umR0.net
見てる

42 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 05:12:03.83 ID:LnomCIOo0.net
> 象みたいなウンコだね

これは酷いw
看護婦は結構えげつないからな。

43 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 05:15:24.45 ID:h+HQ//TI0.net
中2になった時、次男が上階と問題を起こした。
同級生で、付き合ってた上階の娘を孕ませた。
相手の親は激おこで、堕胎以外に選択肢はなかった。
実際、母親曰く次男の子供か分からないと言っていたが、これは親の欲目なのだろう。
次男は認めた上で学校を休学して引っ越しやで毎日働き2ヶ月ほどで30万を用意して相手に渡した。
そのまま次男はがっこうをやめて現場作業員になった。
これは遅かれ早かれなるようになってたのだろう。
次男は家に寝に帰ってくるだけで仕事と暴走に明け暮れ、盗んできた原付をパーツ取りして乗り回していた。
阪神大震災の傷跡も治り始め時期的に最悪のタイミングで現場の仕事がなくなり始めた。

44 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 05:18:58.37 ID:LnomCIOo0.net
そうか震災も経験してるのか

45 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 05:21:09.22 ID:ZpRnAFJU0.net
仕事が無くなり、金もない次男は益々暴走と良くないことに染まって行った。
その時俺は、長男の連絡を受け仲良くしていた。
昼間っから暇をしてる俺を丸めこむと、長男は俺に窃盗を命令した。
俺は俺で、アホだったのだろう。
兄貴が喜んでくれるならと、せっせと盗みを繰り返した。
盗んでいた物はMTGのカードだった。
長男が酷くハマっていたらしく、喜ぶのならと繰り返した。
今になって思えば売れるからと言われていたが、ただただ長男がMTGを楽しむために盗まされていたのはわかる。

46 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 05:25:11.86 ID:ZpRnAFJU0.net
その時期はむちゃくちゃだったと思う。
ヤンキー絶好調の次男と、引きこもっている末っ子と、何をしているのかわからい長男と。
母親のストレスはマッハだったと思う。
そのうちに、これは間違ってるんじゃないかと思い始め、長男に口答えをして俺は袂をわかった。
長男はそこから働き続けてた金で大型バイクの免許取っていた。
次男は無免許で中型を乗り回していた。

47 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 05:28:38.77 ID:ZpRnAFJU0.net
中学を卒業し1年目。
俺は小学校の卒業式で言った、手に職をつけて親を助けてあげたいです!を実行するべく、地元のご飯屋で仕事をしていた。
高校に行かなかったのは、行かなくても稼ぐのに問題は無いだろうと思ってたからだった。
しかし、そのご飯屋で知らしめられたのは高校すら卒業してない人間の扱い方だった。
これではいけないとと思い、中学浪人で1年遅れの高校入学を俺は目指した。

48 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 05:32:41.30 ID:LnomCIOo0.net
兄ちゃん達見てるせいか、自分で軌道修正しようと考えられるからえらいな

49 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 05:35:50.95 ID:ZpRnAFJU0.net
小学校時代から奇跡的に残っていた友人2人に勉強を教えてもらいながら俺は高校受験に臨んだ。
一回しか出席してない中3の時の担任の助けも有り、無事に高校に合格し入学した。
が、経歴が経歴だけに入ったのは地元で下から1番目の定時制だった。
周りの半分は同い年じゃない年上の、歪な環境だったと思う。
勉強の甲斐あってか、学年でも1、2を争う成績を1学期は納めていたが、それも長くなかった。
バイトと学校を両立させていたが、稼げるかねは精々8万。
そのうち5万は生活費という名目で母親に徴収された。
サッカー部と、友達付き合いと、携帯代を3まんqでやりくりしながら授業料を払うのはとてもじゃなかったが無理だった。

50 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 05:37:27.50 ID:x32Plm8B0.net
貧乏なのに事故だの何だの何故無駄に金がかかることばかり次々やらかすのか
負の連鎖過ぎて

51 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 05:42:15.43 ID:ZpRnAFJU0.net
>>48
ありがとう。
全然軌道修正出来てないんだけど。

年末には授業料の催促が度々行われていた。
それでもない袖は振れないとたかをくくって、学校と対峙していると気がつけば自主退学にされていた。
学校に通う事すら許されなかった。
有難い事に高校時代にはモテていたから、俺は自立を目指してホストをすることにした。
時代的にはドキュメンタリーでホスト特集していたり、金スマでホスト特集していた時期だった。
モテて居たのは同級生より一個上だったからなのか、サッカー部だったからなのかは今になっては分からない。
家を出て寮で1年程、飲まず食わずで辛酸を舐めながら働き続けて客もつきはじめ売り上げも上がり始めまともな生活を送れるようになり始めていた。

52 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 05:46:53.33 ID:ZpRnAFJU0.net
後輩の面倒を見ながら、ご飯を食べさせてあげる余裕が出てきていた。
その時は自分が今まで味わってきた苦渋の分、他の人にシワを持って行ってもいいと思っていた。
それなりの給料をもらってそれなりの生活を送り始めた時おれは精々実家とも連絡を取っていなかったのだが、そんな時に連絡が実家から連絡が入った。
仕事もうまく行き始めた時だったから出るのを躊躇ったが、滅多に来ない連絡に通話ボタンを押してしまった。

53 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 05:53:18.92 ID:ZpRnAFJU0.net
連絡の内容は、長男が事故を起こしたとのことだった。
乗っていたのはブラックバード、1100ccだったかな?1300だったかな?
で人を跳ねたらしかった。
渋滞の下道をすり抜けている最中に、出てきた人を跳ねたとの事だった。
ブラックバードは少しアクセルを開くだけで60kmを余裕で超える悪魔のような機械だったのだが、不幸中の幸いか渋滞のすり抜け中だったおかげで40km前後で跳ねたらしい。
相手の保証は保険で方がついたのだが、その事故の時に長男はブラックバードの下敷きになってしまった。
その際に、チンチンに熱くなったマフラーで足をこんがり焼かれてしまった。
痛みと動きの制限でまともに一人で生活できなくなった長男は実家に帰ってくることになった。
生活の為に働いていた母親は勿論面倒を見れずに、そのお鉢は俺に回って来ることになった。
ホストの店に事情を話し休みを長く頂くと俺は長男の看病に当たった。

54 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 05:58:13.05 ID:sBH5GLAf0.net
看病を始めて2ヶ月ほどで、勝手気ままに過ごす長男に腹が立ち、俺は母親に抗議をした。
学校を辞めて、仕事も出来ない状況は困ると。
その時に母親が言ったのは、高校行きたかったの?自分の判断で辞めたじゃない。
と。悔しい気持ちを抑えて生活費を渡してて授業料なんか払えない。というと、言えば授業料なんか払ってあげたのに。と言われた。
俺の真の訴えは置いといて、次男も長男が家に居ることを面白く思ってなかったらしくとんとん拍子で長男は自分のアパートに送り返されることになった。
その時の長男の母親への最後のセリフは、親やのに2回も子供を捨てるんやな。だったらしい。

55 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 06:05:41.71 ID:sBH5GLAf0.net
そこで完全に家族の中で異分子になってしまった長男は益々実父へ傾倒して行った。
俺は俺で店に戻り、失った信用を取り戻すべくガムシャラに働いた。
その結果、1年半、19歳になる頃に幹部への昇格が決まりイベントを前日に控えたアパートでゴロゴロと疲れを癒している時だった。
母親から連絡が入った。
ただ事じゃない雰囲気を感じて電話に出ると、泣きじゃくる母親の声で内容を把握するために少しの時間を要した。
どうも聞く限り、次男が逮捕されたとの事だった。
どうも大掛かりな窃盗団をしており、主犯として1年以上の内定を入れられながら裏付けも取られた上で逮捕されたとのことだった。
俺は頭を下げて店を辞めて、実家に戻ると逮捕に纏わる諸々で日々が潰れて行った。

56 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 06:10:55.88 ID:sBH5GLAf0.net
主犯3人のうち2人は逮捕されたが、1人が逮捕されなかった。
それは警察のやり方の話なのだが、内定を入れて裏付を取っても、表に出てない人間は逮捕するのが難しいらしかった。
兄貴は車を盗んでは純正パーツを売る作業を繰り返していた。
1人の主犯は、その車をバラすための車屋で、次男が主犯になったのはヤフオクでの名義が次男だったからとの事だった。
1人も次男と同様の動きをしていたのだが代表していたかどうかで主犯と共犯に分かれてしまった。
逮捕されてからは大変だった。
早急に金は必要だし、後処理と次男の面会に時間を取られた。

57 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 06:16:21.14 ID:h4k7BtJw0.net
面会に行ったのは、やっぱり家族だったからだろう。
家族が面会にこまめに向かい、許される限り行う事で更生の余地ありと社会的の判断されるらしかった。
暇を見つけてはせっせと面接に向かった。
留置所は誰でも面会出来るのに、一日2組までと決められていた。
ヤンキー友達を呼ぶおかげで、行くと2組分今日は終わったと帰されるのも少なくなかった。
腹たちながらもせっせと通った。
そして、何十件とある罪のうち検察に立件されたのは裏が取れた6件だけだった。
6件だけで助かったと思ったのはとんでもない勘違いだった。

58 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 06:25:37.56 ID:gRkYNtMu0.net
検察は6件で十分と踏んでいたのだった。
検察の読み通り、窃盗にしては重い3年が実刑判決で下された。
だから検察はこれ以上追求しなかったのだ。
留置所から拘置所に送られてからもせっせと面会に向かった。
これで立ち直るならと母と俺の気持ちだった。
拘置所から一度刑務所に送られた。
これは次に送るべき刑務所を選ぶためのクッションだと言われた。
この時点で、中での力関係あるからとジュースの差し入れや布団の差し入れで百万以上が吹っ飛んでいた。
刑務所から、送られる先が決まったが。
少年刑務所だった。
この少年刑務所は、まだ構成の余地ありと送られる方だった。
それでも、内部の力関係を制するために催促は多かったし、37番の家族と呼ばれる辛さにも歯を噛み締め飲み込んだ。

59 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 06:30:51.20 ID:zX8JyuGt0.net
聞いて欲しかったけど、誰も聞いて無いと思うと寂しいもんですね。
今日はこの辺で締めます。
明日スレが残ってて、見てくれる人が居たら遅いなりに続けようと思います。
目を通して下さった方ありがとうございました。

60 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 06:32:35.92 ID:Np3d8LXM0.net
楽しみに待ってるよー

61 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 06:33:05.14 ID:nkAZi11E0.net
見てるよ

62 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 06:42:54.56 ID:zX8JyuGt0.net
>>60>>61
ありがとう。
少し休んで続きを書けたらと思います。
人助けと思って目を通して貰えればうれしいです。

63 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 06:52:28.60 ID:c56DX7R/0.net
見てたのに(´・ω・`)

64 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 07:42:14.03 ID:gj/j6GIt0.net
今ここまで読み終わった
大変だったなの一言じゃすまない位
いろいろあったな・・・

65 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 09:37:49.67 ID:M6QSc6FN0.net
トタンに覆われた家とかあるスラム街育ちだけどこんなに不幸な奴もいるんだね。
おれとかまわりの連中は気の持ちようで毎日、面白可笑しく暮らしてたけど気の持ちようってレベルじゃないな。

66 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 10:04:39.40 ID:eMei7ITh0.net
続き待ってるよー

親に迷惑をかけることをたくさんしているのに肝心なところで親に甘えたり頼ったりできないところが平凡な家庭で育った俺には不思議でならない

67 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 13:30:31.75 ID:gj/j6GIt0.net
今ここまで読み終わった
大変だったなの一言じゃすまない位
いろいろあったな・・・

68 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 13:49:12.33 ID:Q/gbZFMP0.net
途中で寝てしまった。

自分の力だけじゃどうにもならないよな。各々が自分の事だけ考えてたり違う方向いてたら。上手くいかんもんだな…モヤモヤする

続き楽しみにしてる。

69 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 14:26:21.60 ID:hs++d/VZ0.net
読んでくれてありがとうございます。
続きを書いて行きたいと思います。

更生の余地有りと言われる所であっても、どうあれ世間一般の認識は犯罪者だった。
これは如何ともし難い事実だった。
面会の度に入り口で身分証明をされ、身元を署名し面会を行った。
刑務所に入った時点で逮捕から1年以上が過ぎていた。
ヤンキー独特なのか、次男が気合入ってたのか分からないが歌わなかったせいで留置期間が凄く長く、罰金を払えない分とかのせいでこれから3年刑務所に通う必要が有るのかと頭が痛くなった。
この辺の計算は色々ややこしく覚えてないのだが、留置期間は刑期から減算されるとかのはずだったが法律上窃盗での満期で実刑が下ったおかげで長いお付き合いになるはめになった。
裁判も毎回通ったが、拍子抜けしたのを覚えてる。
国選の弁護士にしか頼めない財力だったのだが、検察が事件概要を読み上げる。
弁護士立ち上がり、意義ありません。
甲認めます。と言ってた気がする。
異議申し立ても無く、ぼんやり成歩堂龍一みたいじゃ無いもんだなと思った。

70 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 14:38:26.12 ID:1j3ocp+O0.net
面会に1年ほど通うと、刑務所内では真面目な態度らしく帽子に線が入っていた。
階級が上がったらしい。
始めは月の面会数が4回だったのだが、階級が上がる度に面会数が増え始めた。
しかし、これが俺と母親を苦しめた。
解釈なのだが、面会数をこなす事で更生の余地有りと判断されるならこなせないって事は家族のサポートを貰えない服役囚になるんじゃないかと。
しかし、隣県の刑務所に通うのは一日仕事でその度に母親は仕事を休まなければいけないし面会数が増える度に入ってくる金は減る、が次男の催促は増える一方だった。
唯一の救いは拘置所の様に現金を差し入れられない事だけだった。
その時には俺は完全に心を壊し、世間を憎み恨み辛み妬み。
世界中で自分だけが不幸になってる気がしていた。
足りない分の金を準備する為に体を売っていたのが原因だった。
所謂売り専って仕事だった。
男性が男性を買う。
こんなおかしなことが都会のど真ん中のマンションの一室で行われて、その募集は平然とスポーツ新聞に出てるのだから驚きだった。
20歳の俺が即金を用意するのはそれ位しかなかった。
明日食べる金すら無いのだから。
引越し屋も土方も、その頃には辞める人間が多いのか日給週給が当たり前で、それでは賄えなかった。

71 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 14:47:21.48 ID:Jbzbhnvr0.net
数ヶ月働き、急場を凌ぎ切り生活出来る程度に立て直したがその時には俺は食事が出来なくなっていた。
自分を嫌い、世界を嫌い、酒を飲んでは寝てを繰り返した。
酒を飲んで寝てを繰り返しても金を稼ぐシステムを思いついたから困る事も無かった。
オンラインゲームのROでBOTを使って稼いでいた。
寝ても覚めても、勝手に動くプログラムを見ながら酒を飲み続けた。
その時は鏡月とタンタカタンを飲み続けてたと思う。
ホストの時に覚えた酒だったから。
ROのRMTゼニー自体はかなりレートが下がっていたが、違うところに活路を見出した。
それが育成屋だった。
ある一定のレベル迄を数万円で育て上げる。それも短期間で。
オンラインゲームした事ある人はわかると思うが、この世界では費やした時間=強さに繋がる単純な物だった。
ありがたい事に、育成の際に出たアイテムもそのままに差し上げますの文言が効いたのか、次から次に依頼者が来始め、多重起動パッチを購入して仕事をこなした。

72 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 14:56:55.39 ID:Jbzbhnvr0.net
月に十数万円程が安定して入ってきたのは、物の2ヶ月ほどだった。
他の業者も育成屋に乗り出したおかげで、少ないパイを食い合う形でレートが暴落し始めた。
寝てる間にスタックしたりする事で、納期が遅れたりで、一人で業者とやり合うのは無理だと思い始めた時に母親が蕎麦を食べに行こうと言った。
酒を浴びるように飲んでいた俺を心配しての事だったのだろう。
食べ物を口に入れることすら億劫になっていた俺だが、母親の気持ちを無下にも出来ず食べに行く事になった。
それも母親が出来る限り考えたのだろう。
今は閉店してしまったその蕎麦屋は、家から刑務所に向かう道の途中だった。
厳密に言えば少し道を外れるのだが、その程度の時間のロスは許容範囲だったのだろう。
常に酔っ払っている状態の俺を刑務所に送り迎えをして、面会をこなすと蕎麦屋に向かった。
その蕎麦屋は注文されてから蕎麦粉を挽き、野菜は裏で採りたてっていうのが売りだった。
それを知っている母親の勧めもあって、俺は天ざるそばを頼んだ。

73 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 15:03:03.32 ID:Jbzbhnvr0.net
蕎麦は香り高く、野菜は甘味をこれ以上無いほどに甘味を蓄えていた。
食べても食べても吐いていた俺の体はこれを受け入れた。
それは母親の気持ちもあってなのかもしれない。
その時に自分にそんな事を感じられる余裕が有ったとは思えないのだけれど。
それでもまともに食事が出来たのはその蕎麦屋の蕎麦だけだった。
面会に行くたびに、蕎麦屋へ行き腹を満たした。
体も少し落ち着き始めた頃、次男から手紙が届いた。
内容はピースボートの船のパンフレットが欲しいとの事だった。
俺はそれが未来への希望になるのならと、ネットで書類を取り寄せた。
それが俺を救う事になった。

74 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 15:10:05.14 ID:Jbzbhnvr0.net
応募する際に、必要項目を埋めたのだが届いた書類を次男に差し入れした後にピースボートから営業の電話が掛かって来た。
俺個人の携帯に掛かって来た電話で、内容は酷く興味をそそるものだった。
中卒でまともな職についてない俺は、英語を覚えようと考えていた
これから先に絶対必修科目になるだろうと見込んで。
営業が言うには3ヶ月間毎日付きっ切りで英語を教われるとの事で、その料金も10万円と格安だった。
(ピースボート自体が3ヶ月で世界一周する為、それはオプションとして小銭を稼ぐためと後になって分かる。)
3ヶ月毎日白人に英語を教わればスキルとして習得出来るんじゃないかと考えた俺は、営業に言われるままに地方に散らばる支所に顔を出す事を勧められ、ピースボートに向かうことになった。

75 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 15:19:11.50 ID:eJ/zN9dW0.net
言われた通りに顔を出したのは、同じ様に申し込み案内を送った人間が概要を教わる日だった。
スライドを見せられ、有る程度の話を聞いた後、申し込みをするかどうかは置いといて作業して見ませんか?とのお誘いだった。
ピースボートは船に乗る際、ボランティアを募集しておりその働きに応じて船に乗る最低金額の150万を割り引くというものだった 。
折角街に出てきたし、150万は無理だけど減額してくれて英語を覚えられる可能性があるのならと俺は作業したいと伝えた。
作業は先輩の教わる形で、先輩もボランティアスタッフなのだが、同じ目的を持つもの同士って事で紹介された。
俺は座らされた机を取り囲む、明らかに年下のガキと、目の前に座る鬱陶しいソバカスの女が話しかけてくるのが面倒でしょうがなかった。
途中でソバカスは、俺の不機嫌に気づいたのか黙り始め、ガキも俺の素っ気ない態度から喋らなくなった。
俺はこの時間が退屈でしょうがなかったが、職員がいなかったせいで辞めて帰ることも出来なかった。

76 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 15:28:03.25 ID:46DA3dsD0.net
C

77 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 15:30:44.87 ID:eJ/zN9dW0.net
その日は、みんなで元気を持ち寄り食事を作り食べながらコミュニケーションを図る日だった。
それは週一で有るのだが、今日初めて参加した俺はお金を払わずに食べて行けばいいとスタッフに言われ、御相伴に預かる事にした。
ただ飯ただ酒食えるならと卑しい貧乏根性だったのだろう。
(参加人数分のお金を預かり、余った分はチューハイなど買っていた)
そこで、阿呆みたいに騒ぐこいつらを俺は心底軽蔑していたし、端的に今すぐ死ね阿呆共とすら思っていた。
そこから、俺がピースボートに通い始めるのに時間は掛からなかった。
阿呆共と一緒に作業するのは苦痛だが、家に引きこもってても先は見えないと判断したからだった。
外にで始めた俺を母親は大層喜んだ。
小中と引きこもり、心配だったのだろう。
そんな俺が少なからず他人と関係を持つことを喜んだ。
せっせと通う内に、ボランティアスタッフの中心メンバーになるのに時間は掛からなかった。
一ヶ月ほど経った頃、前任者が次の船に乗るとの事で作業の引き継ぎを行い、主要作業の大半を任される事になった。
その間も俺は次男の面会にせっせと通い、金は小遣いサイトで稼ぎ続けた。
今程厳しくも無い時代で、カードを申し込むだけで数千円入ってくる時代だった。
月に数万円、申し込んは届くカードを返し生活する程度出来る程度に金を稼ぎピースボートに通い続けた。

78 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 15:39:11.51 ID:eJ/zN9dW0.net
>>76
四円ありがとう。

コテ飛んでるかも。

通い続けるうちに、仲良くなる人も増えて、女の子と仲良くなるのも早かった。
前任者の女の子は同い年で、黙々と働く姿に惹かれて行くのもそう時間は掛からなかった。
それこそ、ホストをしててモテてたのに次男の逮捕をキッカケに2年程女日照りだったのだから飢えていたのだろう。
想いを募らせ、顔を合わせるたびに緊張してたと思う。
男女比率で少々男性が多い中、俺はその5頭身の女の子を目で追うようになっていた。
その行き着く先が、比率の少ない女性へ相談することだった。
初日から全く会話をしてないそばかすと5頭身は仲が良く、内心を黙らせながらそばかすに相談を始めた。

79 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 15:49:40.11 ID:u3ON3cyZ0.net
そばかすを呼び出し、内容を話すと思ったより物分りが良く応援するとの事だった。
代わりにそばかすが気になっている男性(これもボランティアスタッフ)と上手に行くように言われ、お互いにメリットを結ぶ関係になった。
5頭身の近況をそばかすが聞き出し、それに合わせて俺が行動をとっていた。
ある日、5頭身が彼氏と決定的に上手く行ってないと聞き出し、そばかすに付き添ってもらって近所の花屋で花を買い、5頭身を呼び出した。
5頭身に告白をすら時も不安だからと、そばかすに近くに待機してもらっていた。
5頭身を目の前に、花を差し出し、伝えた言葉は俺の意図した物じゃ無かった。
好きだ!愛してる!なんて言葉じゃなくて、あなたの事をおもっていた。
だからあなたに想いを伝えたくて花を買ってきた。程度だった。
5頭身は恥ずかしそうに花を受け取り、考えさせてとセンターに戻ったが、俺の中では疑問符が沢山だった。
別に5頭身と付き合おうとその時思っていない事に気づいた。
人に興味を持ち、好きになることで満足してたのだと思う。
だから、返答を求めてなかったから待ってくれと言われて驚いた。
すぐ後にそばかすに抱きついて、やることやったよ!とお互いに喜んだ。
俺は次はそばかすの番だち火をつけた。

80 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 15:56:22.42 ID:2r+zWJOh0.net
そばかすは、せっせと気になる男性に声を掛け食事に二人で行くことになったと報告してきた。
俺もそれを聞きすごく喜んだ。
そばかすが食事に行く日俺はボランティアスタッフの泊まっているマンションにいた。
地方から出てくる人間の為に、ピースボートはスタッフ家をボランティアスタッフの為に開放していた。
何人かに声を掛け、人が一杯になった3LDKで俺はそばかすの帰りを待っていた。
上手いこと行けばいいなと思ってたと思う。
男性とそばかすがそのマンションに訪れた。
それはお互いに終電がなくなったからだと理由で。
俺は廊下でタバコ吸ってたので、男性とそばかすを見ていた。
そばかすは男性に先に入るように促し、男性の姿が見えなくなったのを機に俺の抱きつき、半べそで振られたことを言ってきた。

81 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 15:58:56.82 ID:kVHY/q000.net
つC

82 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 16:01:40.57 ID:TS6Rp7mj0.net
っと言っても、直接断られた訳でも無く。
男性に今は彼女を作ろうと思えないと言われたとの事だった。
俺の中でそれは確実に振られてるだろと思いながらもそばかすの頭を撫でて慰めた。
何かその後も話をしてたと思うけど、あんまり覚えてない。
部屋に入り、寝る段になって、そばかすが雑魚寝の部屋に入った。っていうよりも、雑魚寝の部屋しか空いてなかった。
そばかすは壁際に寝転び、片側を壁で埋めた。
もう半分は俺を添い寝させる事で埋めた。
雑魚寝で何かあっても嫌だからという理由らしかったが、添い寝をしてる俺のそばかすがキスをしてくるのに時間は掛からなかった。

83 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 16:08:27.52 ID:TS6Rp7mj0.net
そばかすと仲良くなり、会話をするようになったのは間も無くだった。
何度となく示し合わせずにマンションに泊まってはキスを繰り返した。
そのうち胸を揉み始めたが、そばかすは抵抗しなくなっていた。
俺はその時には既に彼氏気取りだった。
下の名前で読んだ時に、そばかすに彼氏気取りなん?下の名前で呼ぶなんて。と言われ頭から雷に打たれたような衝撃が走った。
そばかすはそんなつもりじゃ無かったのかと。
そばかすを苗字で呼び直したが、気持ちは募る一方だった。
そばかすも男性への未練を断ち切り、平然としていた。

84 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 16:13:48.42 ID:4tS4WNrQ0.net
そばかすが船に乗る2ヶ月前の事だった。
二人でご飯を食べに行ったりし始め、急激に親密になっていた時俺は告白をした。
返事はOKでだったが。お互いに距離感を測れず上手に付き合う事が出来なかった。
一ヶ月経つ頃に、そばかすから別れ話を切りだされた。
今となっては思い出せない、女性特有の不条理な話だったと思う。
黙ってそれを聞いて、分かったと俺は告げると約束していた親友の元に向かった。
親友とご飯を食べながら、あーでもないこーでもないやりとりをしていると携帯電話が鳴った。
ほんのさっき別れたはずのそばかすからの着信だった。

85 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 16:19:31.82 ID:4tS4WNrQ0.net
親友に断りを入れて、電話に出るとそばかすがハーゲンダッツに居るから来ないか?との事だった。
当たり前に、友人とご飯をしているし行かないと伝えるとそばかすと仲が良いbピースボートのボランティアスタッフに電話をかわられた。
言い分としては、納得出来ないしちゃんと話し合って欲しいとの事だった。
俺は親友に申し訳ないと頭を下げて、ハーゲンダッツに向かった。
そばかす以外にスタッフは2人居り、めんどくさい女の境界線かよと思った、
が、それは俺の勘違いだった。
二人はどちらも非があり、もっと考えるべきだと二人を諭した。
俺は俺で、こんなにめんどくさいならと思ってたが話し合う事を決めた。

86 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 16:22:07.80 ID:eMei7ITh0.net
ピースボードって面倒くさい人種いっぱいいそうだ
人の色恋沙汰なんて放っておけよ

87 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 16:25:42.25 ID:4tS4WNrQ0.net
6月の末だったと思う。
話し合って、結果的に判断は俺に託されることになった。
7/7にちょうどピースボートのスタッフで七夕キャンプが有るから、その日までに結論を出すように伝えてお互いに帰路についた。
それから考えたのは、俺が負担になってたのかとか、意味もない事ばっかりだった。
当日に顔を合わせるも、お互いに照れ臭く、まともに話をしなかったと思う。
オリエンテーションの肝試しに行くというそばかすに歯痒さを感じながら、俺も肝試しに参加した。
お互いに違う相方をつれてたのが俺は歯がゆくてしょうがなかった。
肝試し終わり、ロッジで寝始めた頃を見計らってそばかすを呼び出した。

88 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 16:33:08.43 ID:9q4qcCWm0.net
好きだけど、そばかすの言い分と俺の身上を話した上で付き合っていくのは難しいと伝えたと思う。
そばかすの反応は予想外でお兄さんがそうでもいい。
別れてる間本当に辛かった。
俺を本当に好きなんだと気づいたと言った。
それを聞いて、暗い川辺でそばかすにキスをすると二人でロッジに戻り寄り添い眠りについた。
それからはお互いに理解できない部分は話し合おうとこまめに連絡を取り合い、足りない部分を埋めあった。
出航の3週間前から必死で埋め続けたお互いの足らずは簡単ではなかった。

そばかすはピースボートの帰りに、偶然同級生にあったらしい。
で、今の俺との交際を話すとアドバイス程度にセックスもさせてないとか考えられない。
今から3ヶ月、セックスもしてない女の為に男は待ってないと思うよ。と言われた。
俺自身も手を出すつもりは無かったが、それを聞いたそばかすからの提案で二人でホテルに泊まることになった。

89 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 16:39:58.12 ID:s1o+K9U/0.net
ご飯を食べて時間を潰し、24時を回っていたが俺自身もこっぱずかしくて、バッティングセンターにでも行くか?と声を掛けた時にそばかすに怒られた。
そばかすも緊張していた。
それを察し、リードしてホテルに入り、ビールを飲みながらそばかすが風呂から上がるのを待った。
バスタオルを巻いたそばかすを見送り、俺も風呂に入った。
上がると、部屋の電気は全部消されており掛け布団を被ったそばかすがベッドの中で待っていた。
前までしてたようにキスを繰り返し、胸に手をあてがい前戯をしたのち、そばかすに俺は包まれた。
そこから出航までは暇があれば泊まり、繰り返した。
間も無く出航の日にきた、
その時には俺はそばかすを好きでしょうがなかった。
そばかすを港で見送った。
これから三ヶ月まともに連絡も取れない中で俺は耐えれるのだろうかと一抹の不安を抱いて。

90 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 16:41:36.10 ID:JzexCdxS0.net
見てるよ

91 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 16:48:59.05 ID:s1o+K9U/0.net
一ヶ月目は毎日悲しくて寂しくて泣き続けた。
二ヶ月目は、こんなんじゃダメだと違う事に打ち込むように無理矢理意識を向かわせた。
連絡を取れない相手を思っても無駄なのだと考えていた。
三ヶ月目、俺は帰港を指折り数えていた。
淋しかった気持ちを抑えつつ、嬉しさと待ち遠しさを感じながら。
帰港の前日、横浜に船が寄った際に電話がかかって来た。
俺はそんな中途半端な電話なんか待ってなかった。
明日に待ち続けた気持ちをぶつけるために心の準備をしていた。
電話に出て、アッパラパーな声を聞くと、自分も我慢してた3ヶ月を馬鹿にされた気がした。
それもその筈で、そばかすの3ヶ月は色んなことを感じ考え味わい動き続けた3ヶ月。
俺の3ヶ月はただそばかすを待つ為だけの、止まった3ヶ月だった。
港に迎えに行った俺をそばかすは一瞥した後で、仲のいい次の船に乗るピースボートの友人達に駆け寄った。
俺はこれ以上阿呆らしい事は人生に起こることは無いだろうなと港を後にした。

92 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 16:53:20.63 ID:s1o+K9U/0.net
追ってきたそばかすを振り払っていると、寿司を迎えに来た友達と食べに行くと言い出した。
それらはお互いの共通の友達だったが、俺はそれは違うんじゃないかと思っていた。
3ヶ月待った挙句の扱いが友達と同等かよと腹が立った。
帰って来た一食目が友達で、そばかすお前生もの食べれないやん。ってのが率直な気持ちだった。
食べれない生ものを友人と食べに行くのが優先されるのであれば俺の3ヶ月は本当に無駄だったなと。

93 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 16:55:46.89 ID:kVHY/q000.net
ふむふむ
言いたいことはあるが最後まで我慢しとくww

94 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 16:58:27.54 ID:9ezD44Ui0.net
俺もその3ヶ月でピースボートの資金を60万近く減額されていたが、俺の判断は乗らない。だった。
待たされる側がこんなに辛く悲しい思いをするなんて想像に及ばなかったから。
想いを込めた手紙を寄港地毎に送ったのも、同じ世界を見て回る事に憧れてボランティアを続けた事もあほらしくなっていた。
翌日からそばかすの電話攻勢が続いて、俺が折れる形で一度だけ話し合う事になった。
その時のそばかすは、久しぶりで恥ずかしかっただの帰って来たら寿司を食べに行こう等とのたまってたと思う。
話半分程度にしか聞いてなかったが。

95 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 17:04:31.62 ID:S2/Vk4oC0.net
>>93
言いたいこと言ってw

なし崩し的にそばかすと付き合いを続けることになり、その中で俺は次男の面会も行い、仕事を決めた。
そばかすに責任を感じてたと同時に、結婚することで母親を安心させられると思ってたからだった。
毎日時給で400円を割るほどの悪条件で働き続けた。
9時から27時まで働き、風呂に入って寝るだけを繰り返した。
そばかすには将来も考えていると伝え、相手もそれを認識していた。
ひとつすれ違っていたのは、俺は結婚願望が有ったが、そばかすは無かった事だった。
金はたまらなかったが、それでも昇進を始め、仕事も慣れ始めたていた。
そんな時に、長男から珍しく母親に連絡が入った。
ろくでもない連絡だった。

96 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 17:07:48.02 ID:FARWZ4qZ0.net
見てる

97 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 17:14:16.70 ID:S2/Vk4oC0.net
娘だったと思う。
母親からすれば孫が死んだと連絡だった。
それ同情のカケラもない話だった。
元々ROに俺を誘ったのは長男だったが、長男はいつの間にか子連れと結婚しており、そいつと娘まで設けていた。
嫁とROにハマる中で、娘が泣いたから毛布を被せて黙らせたそうだ。
結果、娘は乳幼児突発性の病状で死んだ。
乳児が毛布を被されて死んだと、俺と母親は思っていたが、刑事の度重なる事情聴取で疲弊しきった長男を俺たちは責める事が出来なかった。
本意が分からなかった、何も考えずに毛布をかけたのか、意思があったのか。
憔悴し切った長男を見る限り、故意でしたのでは無いだろうと結論に至った。
長男はその時、偽装離婚の母子家庭手当と生活保護で生活しておりまともな蓄えがなかった。
そこで母親に孫が死んで金すら用意出来んのか!と言葉を投げた。
母親は余裕がなかったのも有ったが、愛情もない孫へ出す気もなかったようだった。
決めては、連れ子を預かっている時に連れ子が母親に鬼婆と平然と呼びかけた。
俺が寝転んでるベッドで飛び跳ねたり、何度かしかっているなかで母親がブチギレたのはそれがトリガーだったのだと思う。
長男家庭で私を鬼婆と呼ぶから連れ子も言うのだ、私をなんだと思っているのかと連れ子を叱りつけながらひどく悲しんでいた。

98 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 17:22:04.16 ID:YX98t+Tn0.net
結局、孫に葬式代は実父が出したのだろう。
母親は香典だけを出し、本格的に長男と没交渉になった。
その頃は、俺は仕事で疲れ切っていたしそばかすと未来のイメージの差で苦しんでいた。
次男は1年もしないうちに出所してくるし、いろいろな決断が間近に迫っていた。
暴走へ行く次男を止め続けた事で、俺と次男は仲良くはなかった。
次男なりに俺へ気はかけて居たのだろうが、社会的にも考え的にも俺は次男とは上手くやっていけないと分かっていたし、そばかすの事も考えて実家を出る必要があると考えていた。
そんな中で、俺は過労で気持ちが参り切り出勤できなくなり仕事を辞めた。
そばかすはバイトを探している最中で、お互いに無職になった。

99 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 17:26:54.32 ID:JzexCdxS0.net
長男はやっぱり相変わらずか

100 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 17:27:40.48 ID:YX98t+Tn0.net
そんな時、ピースボートで知り合っていた友人から連絡が入った。
夜の仕事で知り合いが募集してるけど行かないか?との事だった。
俺は渡りに船だとそれに縋る思いで飛びついた。
世界一周をしたいと思う変わり者のホステスの紹介で俺は仕事にありついた。
何度となく可愛がってくれるホステスは本当のお姉ちゃんの様だった。
仕事にも慣れ始めた頃、オーナーに可愛がって貰ってた俺は甘え切り一人暮らしをする必要性を言い、60万の借金をした。
無担保無利子で。
その金で一人暮らしを始め、給料も同世代より貰ってたと思う。
そこで刑務所から次男の出所予定日を知らせる手紙が届いた。

101 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 17:33:26.18 ID:JzexCdxS0.net
波乱の予感

102 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 17:33:47.69 ID:YX98t+Tn0.net
俺と母親は、刑務官に馬鹿にされないようにスーツで次男を迎えに行った。
甘いものとケンタッキーを後部座席に乗せて。
出所した次男を乗せて俺はドコモショップに向かった。
携帯が無ければ身動きできないだろうと思ったからだ。
携帯を契約して、何日か様子を見ていたのだが母親のヘルプを受けて次男の仕事を決めた。
俺がお世話になっている店でチーフとして雇ってもらえるように頭を下げたのだった。数ヶ月はおとなしく働いていたと思う。
事情が変わったのは、店の中でも嫌われているホステスが店に来出してからだった。
あれよあれよと言う間に、次男はそのホステスと付き合い始めた。
酒乱でコブ付きのホステスは次男を思うようにすると店すら思うようにしようとし始めた。

103 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 17:39:40.14 ID:JzexCdxS0.net
>>1いいやつだな。

同じ立場だったら、自分の好きなように生きるだろうな。

104 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 17:40:10.29 ID:YX98t+Tn0.net
俺たち従業員は窘め、思い通りにはいかないとやんわり拒否し続けた。
結果、次男がボッコボコの顔で出勤し始めた。
かったい化粧便でしこたま殴られたと言っていた。
殴り返さなかった理由を聞くと、ホステスの知り合いにややこしいヤクザが居ると。
それが首突っ込んで来たら、地元の後輩とか先輩の関係上めんどくさい事になるからとの事だった。
それが2ヶ月ほど続いた時、オーナーの携帯に次男から辞めますとだけ書いたメールが届きそのまま次男が出勤することは無くなった。
それでも店同士横の繋がりのせいでホステスは暴れまわり次男を出せてのたまった。
俺たちが知らないと言い続けのらりくらりと交わしているうちに収まったが、次に待っていたのは次男が残した仕事の後始末だった。
勿論紹介した俺に仕事が丸投げされたのだが、過去に遡って経費や売り上げを計算し寝不足で仕事を続けてたある日の帰り道だった。

105 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 17:47:49.13 ID:YX98t+Tn0.net
店から家まで自転車で15分も掛からなかったと思う。
が、繁華街の中を走るので交通量はかなりの多さの中一時停止を無視した車に跳ねられた。
ハイエースだったと思う。
左足首が見る間に腫れ上がり、古傷をやったと気づくのにそんなに時間は掛からなかった。
そのまま緊急入院し、保険屋と話をしていた。
壊れたもの等の保証なんかで少し時間が掛かったと思う。
同僚は入院してる俺に腹を立てていた。
都合良く休みやがってと思っていたらしい。
俺は激務の疲労を少しでも癒しながら出来るだけ早く退院出来るように務めた。
甲斐あってか、一ヶ月ほどで退院し、リハビリしながらも出勤し次男の仕事の穴埋めを続けた。
仕事前のミーティングの最中に、同僚が俺を急に非難轟々し始めた。
仕事を休んで楽して都合がいいという内容だった。
お互いに分かってる通りに日給月給なのだから、休んでる間は給料も出ないのにそこまで言われる必要が有るのかと俺は反論した。

106 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 17:52:58.02 ID:JzexCdxS0.net
見てる

107 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 17:53:17.90 ID:YX98t+Tn0.net
こっちは寝る時間も削って買い出しいったり、経費の計算してるのに手伝いもせずによくもそんなほげたを叩けるなと。
そこから微妙に店の空気がおかしくなり始めてた。
俺自身も店の中心メンバーだった事も有ったが、非難してきた奴が先輩だった上に、オーナーがそのタイミングでどっちが偉いとかじゃなくて、仕事頑張ってるやつに役職をつけるから、そこから話しろと言い出したのだった。
先輩はヒラに降ろされた。
元々その人についてた役職は、人が減って店の体裁を考えてつけられた役職で、店の中からオーナー以外の役職持ちが全員剥奪されることになった。
その中でも変わらず、仕事を繰り返そうとしてた時だった。
俺は以前跳ねられた交差点でまたしても交通事故に会った。
その車もまた一時停止を無視した車だった。

108 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 18:01:00.50 ID:RYr0jcLn0.net
前の事故と時間が経ってない事が怪我の因果関係に繋がり、東京海上との話は2度3度と病床を出て、喫茶店で繰り返された。
東京海上の言い分は、俺君は当たり屋とみたいなもんだし黙って上げるから痛み分けしようとの事だった。
俺はその言い分に憤慨し、別れたその足で調べていた弁護士事務所に訪れた。
相談料も無しで、交通事故のスペシャリストを見つけられた時は都会に住んでて良かったと生まれて初めて思った。
2件目の事故は3年近く揉めることになるが、弁護士の丸投げで任せておいた。

体が戻り、仕事にも戻り、バイトのシフトや記帳もこなし、仕事は以前より順調に行っていると思っていた。
ただ一人も客のおかげで全てが一瞬で崩れ去るまでは。

109 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 18:02:12.58 ID:RYr0jcLn0.net
>>106
ありがとうございます。
少し飲み物買いに行って再開致します。

110 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 18:04:03.04 ID:JzexCdxS0.net
>>109
いってらしゃい。

ゆっくりでもいいからね。待ってるよ

111 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 18:15:18.32 ID:FMjeAYzc0.net
ただいまです。

112 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 18:16:54.70 ID:JzexCdxS0.net
おかえり。

因みに何買ってきたの?

113 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 18:29:20.24 ID:FMjeAYzc0.net
>>112
ビールとスーパーカップです。

その客は前からたちが悪かったが、従業員一同閉口していた。
仕事柄殴られても何しても、それが銭になるなら喜んでどうぞって感じだったから。
それに味を占めたその客は俺にターゲットを合わせ、言葉尻を掴んではいたぶっていた。
俺は大概腹立っていたが、オーナーの意向でお客様は神様で通してた。
ある日、閉店間際でその客一人の時に俺が言った一言で切れ始めた。
なんてことない、やっぱり店屋物とかじゃなくて作りたてが美味しいんですね。って言った言葉が気に入らなかったらしい。
そんな客でもオーナーは大切だったんだろう。
おりもおり、リーマンショックで贅沢な飲み方を出来る人間がかなり減っていたから。
2時間近く詰められ、最終的になくなく300万の借用書を書かされる事になった。
抵抗も虚しく書かされた借用書。
借りても無い金に俺は腑が煮えくり返っていた。

114 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 18:33:34.94 ID:kVHY/q000.net
さすがにそれは何でやねん

115 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 18:35:28.55 ID:JzexCdxS0.net
えーっ

116 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 18:36:53.51 ID:FMjeAYzc0.net
気が済んだのか、客は借用書を置いて帰ってしまった。
その際に連帯保証にオーナーの名前を書いたのが、オーナーと俺の問題の拗れ始めだった。
なんで連帯保証に俺の名前を書いたと怒り狂うオーナーに平謝りをして、内心はお前が庇わないからあいつを切らないから遅かれ早かれこうなったんだろと思っていた。
その日は記帳して家で休み、翌日出勤し営業しているとその客が顔を出した。
そのまま席に着くと借用書の話をし始め、またしても3時間近く営業中に詰められることになった。
俺は我慢の限界で、上手いことかわせというオーナーにも腹を立てて、脅迫で警察に行けないなら俺は辞めると言い、そのまま退勤と相成った。
その時そばかすはバイトをはじめていたし、次男はヤンキーの友達の紹介で同和系のゴミ収集業に務めてた。
気が滅入っていたのも有り、家賃も高いので少し郊外に引っ越そうと思いたった。
家族と没交渉でもいい。そばかすがそばに居てくれるならと思っていた。
それほどにそばかすがは甲斐甲斐しく俺を世話していた。

117 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 18:42:26.92 ID:FMjeAYzc0.net
>>114>>115
水商売なので、筋に通らない御託もお客様なら通る事もあるんです。
サパーってそういうもんで、納得出来なくても申し訳ないです。

結局、客は本当に金が欲しかったんじゃなくて俺を好き勝手に出来る脅しが欲しかったんだと思う。
郊外に引っ越し半年程過ぎた時、職業訓練に通って仕事を探そうか思案しているとオーナーから電話がかかってきた。
元々丼勘定でやってた店の原価であったり、経費を考え税理士と相談しながらやりくりしてた俺が抜けて屋台骨が揺らぐのも時間の問題だった。
店が傾いた時に、オーナーラーメン屋起死回生を計るといい、よかったら店長をしてくれないかと相談してきた。
考える時間をくれと電話を切ったものの、考える余裕は俺には無かった。
生活するための金が無いのだから。

118 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 18:45:51.93 ID:JzexCdxS0.net
今更ながら、濃い人生だな

119 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 18:51:03.65 ID:FMjeAYzc0.net
一度は反旗を翻したものの、大変な時に60万もの大金を二つ返事で貸して貰えた恩はやはり自分の中で大きく。
それでオーナーの助けが出来るならと話を受けることにした。
が、それは甘過ぎる考えだった。
ナイトで成功してるのだから考えがある人なのだと思っていたが、今思えばそうじゃないから屋台骨が傾いたのだ。
時代の潮流に少し乗っただけのオーナーは借金を繰り返し、サパー店とラーメン屋をなんとか切り盛りしようとしていた。
ラーメン屋の開業だけで800万円近くかかっていることに俺は不安を抱いていた。
内装が終わり、メニューの試作に入り始めた。
化学調味料少し入れるだけで爆発的に上手くなるって科学式だけは双方理解の上だった。
二人とも元々料理畑出身だったから。
鶏ガラから出るイノシン酸に、旨味調味料のグルタミン酸を入れるだけで10倍旨味を感じるようになるのは周知の事実だった。
これを基準にラーメンを作り始めたのだが、鍋を見てるだけでもおかしかった。
90Lの鍋が二つ、30Lの鍋が一つ、ガス口は3つ。
90Lは鶏ガラと豚骨、30Lは昆布やら煮干しやらの出汁だった。

120 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 18:58:59.03 ID:FMjeAYzc0.net
試作を始めて2日目、煮込んだスープが出来上がりテストでラーメンを作った。
美味いのだが、味がもう一つ物足りないと訴えたがオーナーはお前にそんな高級な舌がついてるか!と笑った。
俺も笑って返した、が不安は強くなる一方だった。
3日目、テストラーメンを食った。
美味い。確かに美味いが、少しくどいというか、美味しいラーメンとは程遠かった。
4日目、ラーメンはかなり濃いスープに浸かり豚の臭いが店中に溢れかえっていた。
それもそのはずだった、初日から少しの水を足しながら煮込み続けていたのだ。
冷凍餃子はバットにくっ付き、ヘラで取ると底の皮が破けていたし、チャーシューは一枚120円の原価を超え、ラーメン一杯の試算が900円を越えないと稼げないレベルになっていた。
店は駐車場が有るが、かなりの郊外だし立地的にも900円は高過ぎると訴えた。
大学がすぐ後ろにあるんだから700円前後でチャーハンつけてターゲットを学生に絞るべきだと言ったがオーナーは耳を貸さなかった。

121 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 19:03:59.11 ID:JzexCdxS0.net
見てる

122 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 19:05:45.86 ID:kVHY/q000.net
何か色々不幸せがあったけど、これは自業自得っぽいなぁ

123 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 19:06:18.78 ID:FMjeAYzc0.net
プレオープンが始まり、声をかけたナイトの従業員や懇意してくれるお客さんを呼び、営業できる状態に意識を切り替えてラーメンを作っていたが皆首を傾げるだけだった。
オーナーは気付いて居なかったが、俺は毎日味が変わるラーメンに不信感すら感じでいた。
毎日味が変わるラーメンなんて学生でも不信がって食いに来ないと思っていた。
ナイトの時の同僚が友達や後輩を連れて食べに来た時、オーナーが買い出しに行っていたので俺は思い切ってその人たちに聞いて見た。
そのラーメン700円で食べようと思うか?と。
皆返事は同じで、まず無いなとの事だった。
しかしオープンは目前で止められる物も止められない段階にまできていた。
そんな時に、オープン前煮込んだ鶏ガラを前にした俺にオーナーが言った。
チーユ取ろうぜと。
目の前で静かに沸き立つ鶏ガラを前に鶏油を取ると。
揺れる湯を前に、油だけ取り出すなんで無理難題だし、っていうかそもそも鶏油ってこうやって取るものじゃないと思う。
取って瓶に入れてもすぐに腐ると言ったが、オーナーはあいもかわらず耳を貸さなかった。

124 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 19:13:04.16 ID:FMjeAYzc0.net
俺の不信感は限界を超えて、営業できレベルじゃない店にただただ怯える日が続いた。
訪れたオープンの日、覚悟を決めて店に向かおうと電車に乗った。
足が震え、脂汗が異常に垂れ始めた。
夏前で気温も暑くないのに体調が悪いのかもしれないと思いながら乗り換えの電車を待った。
目の前で扉を開く電車を前に腰を上げることすら出来なくなっていた。
頭では分かっているが、体が動かなかった。
ポケットの中ではオーナーが着信を鳴らし続けてた。
取ることも出来なかった。
無理矢理に体を動かし何度も転びながら、漸く帰路についた。
オーナーには、申し訳ないけど出勤出来ないとメールで送ったが、お前はレシピだけ盗みやがって絶対殺すと返信を何通も頂いた。
留守電も怒号が響いてた。
あまりに様子がおかしくなった俺を、無理矢理そばかすが病院に連れて行き、診断された病状は鬱病だった。

125 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 19:14:34.16 ID:JzexCdxS0.net
盗むほどのレシピじゃないと言ってやりたい

126 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 19:21:12.59 ID:FMjeAYzc0.net
家族と長らく連絡を取っていなかったし、そばかすは俺の家族関係を理解していたから守るように構いっきりになった。
26歳の頃だったと思う。
無理に食わされなければ飯も食わず、水も飲まず、日がな一日寝ているのか起きているのかわからない日々が続いた。
その間の生活費はそばかすが働き工面してくれていた。
生きているだけで誰かに迷惑を掛けるのも辛かったし、ただただ苦しい日々だった。
誰かのせいでもなくて、環境が悪いとか状況が悪いとか、もう少しマシな家庭に生まれていればなんて思うことも無かった。
ただ自分の頑張りが足りなかっただけだと思い続けた。
家族全員同じような思いをしているのだろうと思っていた。
気もそぞろながら、以前の交通事故の時に貰った算数ドリルを本棚から取り出し眺めていたのを覚えてる。
それとなくそばかすが手渡したボールペンで書き込み始めた。
掛け算すら出来ないじぶんに嫌になりながらも、満たされる知識欲になんとか意識を戻しながらドリルを繰り返した。

127 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 19:29:26.88 ID:FMjeAYzc0.net
気がつけば、そばかすが買ってきた参考書を何種もやり続ける日々だった。
繰り返し、繰り返し。
しかし、重要な事は参考書は教えてくれなかった。
これは授業でもそうなのかもしれないけれど、代数はなぜ代数なのか。
なぜaやらbやらなのか。
募る不満を解消するのは結局勉強だった。
Amazonで子供が読む歴史漫画を買ってはそばかすに笑われた。
その度に俺は、子供の読む本で恥ずかしいけど学ぼうとするものを馬鹿にするな、まともに勉強してない人間は小学生が理解できる程度の本を読まないといけないのだからと怒った。
そばかすは短大出身だが、両親が公務員で、俺からすれば恵まれていると思っていた。
俺にバイト代を貢いでも生活が出来るのだからと。
それを享受している自分は棚に置いて。
それでもそばかすは横で笑いながら、一冊5千円近くする参考書を惜しげも無く買ってきた。
俺は参考書が視線で破れるまで読み続けた。
大学ノート何冊分も書き写し、出題を解き、繰り返した。
結局視線で参考書破れなかったのだけど。

128 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 19:32:22.79 ID:JzexCdxS0.net
見てるよ

129 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 19:37:23.61 ID:FMjeAYzc0.net
落ち込む日々が勉強漬けになっている時、そばかすの提案で高校卒業程度認定試験を受ける事になった。
そばかす曰く、取っても誰も困らない資格だからと。
受験要項を熟読し、応募してからは苦手な数学に掛かりっきりになった。
そばかすの友人(かなり優秀な高校大学を卒業したらしい)を家庭教師がわりに教えてもらったが、いくつか問題の解き方と分数を教えてもらっただけで代数はなんで代数なのか?の質問を繰り返し、勉強にならなかった。
その人には本当に申し訳なかったと思うし、そばかすの顔を潰して申し訳ないと思う。
そばかす伝えのその人曰く、地頭は良いんだろうけど変な所が気になり過ぎてる。あれは数学に向かない。と言ってたらしい。
夏前の試験で9科目中5科目の合格をし、高認は冬前の試験まで長引いた。
5ヶ月を掛けて落とした教科、特に数学を重点的に繰り返した。
そして11月の試験がやってきた。

130 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 19:42:00.26 ID:FMjeAYzc0.net
11月の試験で3科目受かった。
が、一番重要な数学だけを落としてしまっていた。
これでは高認は受けられない。
ここでそばかすと俺の認識の差に気づいた。
そばかすは試験に受かることが目的だった。
俺は試験に受かり、借金してでも学校に行くつもりだった。
そばかすは試験だけを重要視しており、俺は試験を解いた以上に数学に理解度が無いとその先(大学)でやって行くことは出来ないだろうと口論を繰り返した。
どちらにしても、次の試験は半年以上先なのだからと、その時までに考えようと落ち着いた。

131 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 19:52:14.81 ID:JzexCdxS0.net
難しいな

132 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 20:00:55.60 ID:FMjeAYzc0.net
半年後の試験に向かって勉強する必要が有ると思う反面、体がやけに怠く重たかった。
27歳を迎えて、体の違和感を感じでいたがある日大便をした後にトイレットペーパーを見るとドン引く位の血が着いていた。
それから連日血便を繰り返し、便器はその度に血塗れになっていた。
日に日に怠くなる体を黙っていたそばかすに訴え、心療内科に行った後内科へのハシゴをすることになった。
怠さと血便を訴え、血液検査を行い、のちに検査結果を知らされるとの事だった。

133 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 20:08:16.60 ID:FMjeAYzc0.net
結果は大腸ガンだった。
ステージで治療出来る範囲だと言われたが、帰宅後の空気は重っ苦しい物だった。
若いから進行も早いと言われたのが2人の首を擡げた一因だった。
面白いほどに降りかかる不幸にこれもまた面白いと、強がりでもなく笑った。
これはこれで、こんな経験してる奴居ないだろうと笑った。

そこで、俺はある程度の覚悟が決まっていた。
そばかすを放流して、俺は終末を決めるのだと。
それに当たって、しとかなければいけない事があると。
10年以上会ってない実父に会う必要があるだろうと。
やらしい考えだが、治療費でもいい、養育費すら払わなかった実父から少なからず金をせしめることが出来たのならそばかすへの罪滅ぼしが出来るんじゃないかと。
そう思い、実家と同市内に住み続け持ちマンションまで手に入れた実父の元に訪れようと考えた。

134 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 20:08:48.25 ID:5IKjovvM0.net
波乱に富みすぎ

135 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 20:15:15.71 ID:JzexCdxS0.net
大腸がんか

136 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 20:15:38.53 ID:FMjeAYzc0.net
かれこれ14年は会ってないだろう、実父に会うのは簡単な話では無かった。
そもそも実父はフィリピン人と結婚しており、8歳下の妹が居ると知っていたから。
天秤に掛けた時、実父に掛けられた迷惑の方が彼の生活を守るよりも大きく傾いた。
何本か酒を煽り、少々酔っ払いながら実父の家に向かうのが精一杯だった。
金の無心なんてした事も無いし、自分がしようとしていることはたかりと同じじゃないかと脳裏に過った。
それでも、それを無視して遂行するためには酒を煽るしか無かった。
綺麗事なんか要らない、持ってるものから当たり前の金を貰うだけだと思っていた。
実父の家に着き、インターホンを鳴らしてもその考えはやはり自分の足を引っ張った。

137 :名も無き被検体774号+:2014/06/19(木) 20:31:59.39 ID:TSEZbhNex
いま追いついた

おまえの人生、修羅場だらけだな

淡々と書きながせるくらい、修羅場に慣れてしまったんだな

138 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 20:25:20.83 ID:l1H+lasn0.net
室内から響くインターホンを聞きながら、もう引くことは出来ないと腹を決めた。
14年以上前に何度か会った事がある、肌の浅黒い女が玄関に立っていた。
その後ろに禿げ始め、小太りのおっさんが心配そうな視線を送っていた。
それもそうだろう、23時を過ぎて訪問してくる人間なんか常識の範囲外だ。
俺を視認した実父は、俺の名前を呼びながら何度も確認しながら家へ上げた。
飲み物を聞かれ、ビールと答えると実父は半笑いで酒なんてあれへんぞ、ワシのめへんのやから。と答えた。
フィリピン人が奥から頂き物のビールを差し出してきたのだが。
酒を飲まない。というより飲めないのは母親から聞いていたけれど、灰皿を要求した時にタバコも辞めたがなと言われカチンと来た。
お前は俺たちにこんな生活を強いておいて自分だけは健康思考かよと。
ふざけてると思ったら止まらなかった。
実父口を開いて、こんな遅くに尋ねてきたんなんでや?と言うので、俺は半分呆れながら大腸ガンになったと伝えた。
実父の返答は殺しても殺し足りない言葉だった。
なんや、そんなんいわれてもワシ金あれへんぞ。だった。

139 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 20:28:52.54 ID:JzexCdxS0.net
実父随分と軽い口調で言うんだな。

140 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 20:32:03.98 ID:l1H+lasn0.net
それは、もう万歳とか降参じゃ無いのを感じられた。
腹違いの妹の大学の金は払えて、病気の息子には払えないとはっきりとした意思の提示だった。
今すぐ殺すか、妹を苦しめて殺して実父を苦しめるかその場で脳みそをグルグル回った。
それ以上に、興味がない事がショックでも有った。
責任ってこいつには無いのかと。
もう内心で笑うしか無かった。
こんな奴の血を引いて生まれたことへの呪いしか無かった。
妹が大学へ行っていることを尋ね、俺も本当はもっと勉強したかったと伝えた時、実父はまるで他人事の様に奨学金借りたら良かったんや。と言った。
子供に借金を勧めるってなんだ?と混乱しながら、こいつはこういう人間と思うのと、こんな人間の血を継いでる事が頭の中をグルグル周り続けた。

141 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 20:41:21.22 ID:l1H+lasn0.net
ほうけている俺にiPhoneを弄りながら、実父は動画を俺に見せてきた。
それは次男が実銃を売っている姿だった。
昨年次男を連れてフィリピンに行った際に、次男がしたいってことでここ行ったんやと得意げに語った。
何も言わない俺に、口を早め旅費は次男本人払ったからわしら金出してへんからなと言われた。
言い訳するところはそこじゃねえよ。とか、自分の流れの良い所だけ味わいたいの変わってないのかよ次男とか。
プライドってなんだろうと考えていた。
間も無く家に帰る旨を伝えると、終電無いから送ると言われ何度となく断ったが無理に乗せられた車で家の近所に送られる事になった。

車を降りる時に番号の交換を言われ、腹立たしかったがこいつに苦渋を飲ませられる可能性があるのならと交換した。
これが後に殺意を余計に覚えさす事になるとは知らなかった。

142 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 20:48:02.52 ID:we6yRsYF0.net
血の呪縛に苦しみ、如何に返そうか半年以上苦しんでいた。
そばかすは慰め続けてくれたし、優しかった。
それは自分への呪縛とはまた別の問題だった。
悩む間にも時間は過ぎ、公認試験が迫っていた。
俺は、そんな精神状態じゃ無いと申し込まずにどうやって実父を殺すか悩み続けた。
少なくともそばかすに迷惑が掛からないよにと。
そうこうしてる間にそばかすと共通の友人が結婚ラッシュをはじめ二人で度々慶事に関わることになった。

143 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 20:50:16.55 ID:JzexCdxS0.net
見てる

144 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 20:55:29.48 ID:we6yRsYF0.net
その頃にはそばかすも30を目前に控え、結婚願望を持ち始めていた。
逆に俺はこんな呪いを後に続ける必要は無いと願望が消え去っていた。
毎月に近い慶事に、疲れた俺は実父の事を考えないようにし始めていた。
別の人間なんだからあなたは気にしないでいいとそばかすの言葉にもたれかかっていた。
年が明け、5月のGWを前に俺は死に場所を考える様になっていた。
これが最後の招待だったし、行くか!と。

母親が幼い頃に教えてくれた、お遍路は無縁仏でも埋葬してくれる。
88カ所の仏様、誰かが拾ってくれるから昔は遍路に行ったんやで。って言葉を思い出していた。

145 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 20:56:05.24 ID:+qMBE3gr0.net
いま追いついた
壮絶すぎる人生だな

>代数はなぜ代数なのか。
>なぜaやらbやらなのか。

これに気付くヤツが、本当に数学の才能があるヤツなんだけどな
ずっと読んでいて、頭のいい人だと思った

146 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 21:01:27.01 ID:we6yRsYF0.net
GWの結婚式を終え、その足でお遍路に旅立つとそばかすに告げた。
そばかすは反論もせずに、したいことをすればいいと送り出してくれた。
銀行のカードと現金幾らかを握らせて。
困ったことがあるなら連絡してきてと言われて、お遍路に向かった。

高速バスに揺られて3時間。
着いた駅で真っ白な装束に着替えて、お遍路さんになると一番霊山寺に向かった。

147 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 21:06:49.40 ID:JzexCdxS0.net
そばかすかっこいいな

148 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 21:15:04.78 ID:ddYvayX60.net
予定では六番霊山寺までその日に向かう予定だった。
お遍路で金を持っていない人間は通夜堂に泊まるのがよしとされていたから。
通夜堂を設けている寺は多くなく、そこに辿り着けないと道端で寝る事になる。
意地でも6番霊山寺に辿り着く必要があった。
通夜堂を頼りに遍路を行う際、凡そ日々30km以上歩き続ける必要があった。
初日から異常なペースで歩き続けなければいけなかった。
それは自分の為でもあった。
装束を二つ持ち歩き一つは判子を寺で押してもらう必要が有った。
遍路に来たもう一つの理由だった。
88カ所周り、判子を全部頂いた装束は家宝になるレベルだと。
それを着て送って貰うと極楽に行けるということだった。
それを信じるわけじゃ無かったが、縋るには十分優しかった。
そのために寺務所が開いている7-17時の間に30km歩くのが必要となった。
平均歩行速度を4kmとして10時間だから、簡単だと思っていたのだが疲れに加えて知らぬ土地で行ったり来たりを繰り返すとそれが容易ではない事が初日で思い知らされた。

149 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 21:22:30.23 ID:+qMBE3gr0.net
がんの身ですさまじいな

>>1って痛みに異常に強かったりするのか?

150 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 21:25:46.55 ID:ddYvayX60.net
初日に通夜堂を設けている6番霊山寺に着いたのは5時を少し回った後だった。
ここで判子を押してもらわないと次に進めない、足止めを食らうことになった。
何よりしんどかったのは、田舎ゆえにコンビニすら満足に無かった事だった。
そばかすが入れてくれたカロリーメイトを二つ程齧り、空腹を誤魔化すと公園で入れた水を飲んだ。
寺に行き、通夜堂を使わせて貰いたい旨を伝え快く了承を貰い通夜堂に向かったが都会育ちには簡単に受け入れられる状況では無かった。
そこは電球も無く、まっくらな部屋で鐘を置いている倉庫の様な場所だった。
階段を登ろうか躊躇している俺の目の端に壁を走るムカデがうつった。

短い時間悩んだ末、ここでは眠れないという結論に至り、寺の前の大きな公園で夜を明かそうとそこに陣取った。
お遍路的な意味でも利用者の多い公園なのだろう。
掲げられた利用規約には、公園内で寝ない等の文言が並んでいた。
この時には俺自身も人生観が変わり始めていた。

151 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 21:34:20.40 ID:ddYvayX60.net
>>149
多少骨が折れてても、なんか痛いなぁ程度な気がする。
これは母方の血筋な気がする。
母親が痛みに異常に強いから。

考えても見て欲しい。
普通に暮らしていて、真っ白な格好をした奴が杖をカンカンつきながら行ったり来たりを繰り返しているのだから。
この公園もあえて文言を書いているって事は、少なからずその可能性を踏まえた物で作られているのだからと甘えようと思った。
が、すぐにその考えが甘いものだと思い知らされた。
甘かったのは俺の考えだったのかもしれない。
5月を迎え少し暖かい日中から四国温かいと決めてかかり寝袋持たずに遍路始めたのだから。
公園のベンチは3方を壁で囲われていたが、一方向から吹く風が体温を奪うのは容易なことだった、

152 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 21:40:50.66 ID:+qMBE3gr0.net
>>151
痛みに異常に強いのは、精神疾患の症状としてあるのだが、
危険な日常にさらされている人の、生きるための防御反応らしいよ

お前も母親も、必死で生きてきたんだろうな

話の邪魔してわるいな
続き待ってる

153 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 21:41:31.25 ID:ddYvayX60.net
寒く感じながらも冬用のパーカーに身を包みなんとか眠ろうと務めた。
が、寒さと同時に攻めてくるのは予想外の人間の利器だった。
ベンチ上方に付けられた電球はモーションセンサーで、寝返りを打つたびに耳障りなカチっという音を放ちながら点灯と消灯を繰り返した。
点灯するたびに目を覚まし、休むどころの話ではなかった。
眩しくて眠れる状況では無かった。
それこそ、自然光が一切無い真っ暗闇の中で人工的な光はあまりにも刺激が強すぎた。
それでも眠ろうと四苦八苦している時にイレギュラーが俺に襲いかかった。

154 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 21:49:55.92 ID:ddYvayX60.net
21時を過ぎた頃、自分が休むベンチ範囲内に新しい遍路が現れた。
基本的に遍路とは日が登る時に動き出し、日が沈む頃には体を休めると思っていたから、突然現れた遍路に驚きを隠しながらも眠ろうと務めた。
その遍路は俺を気にも止めずに寒さの中、バックパックの中から何度となく服を取り出しては着込んで行った。
が、そのたびに点灯し起こされるのでたまったものではなかった。
先にも進めず、現金も心許なく、進むことも戻る事も出来なかった。
頭の中では明日の朝一番で乗れる高速バスは何処か、そこまでタクシーで幾らだろうか?と考えていた。
しかし、タクシーを捕まえたくても車が走って居ない。
絶望とはこうも簡単に訪れるのかと強く感じた。

155 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 21:52:34.45 ID:eMei7ITh0.net
そばかすがお金渡すところでウルっときた

156 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 21:54:29.35 ID:ddYvayX60.net
23時を過ぎた頃、モーションセンサーは強く、二人に増えた事で点灯の回数も倍以上に増えた。
こちらが動いたことでカチっと音を鳴らし、点灯する。
それに反応した相手が動く事で、電気は消える時間を延ばし。
寒さと音と眩しさで、疲れきった体は限界だった。
もう一度、今一度だけ通夜堂に行き、それでも入れなかったら俺にはこの度は無理だと。
最後の頼みを携えベンチを後にしようとすると、眠っていると思っていた遍路が俺に話しかけてきた。

157 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 22:10:55.86 ID:ddYvayX60.net
もう行かれるんですか?と。
そんな訳無いのだが、彼も少なからずストレスと不安を感じていたのだろう。
そこで俺が立ち去ろうとした事で少なからず気にかけていた様子だった。
俺は素直に通夜堂を貸していただけると了承は貰ったが、一人では心細くて入れなかった。最後に見に行くことで今回の遍路の進退を考えようと思うと伝えると、彼は僕も一緒にいいですか?と聞かれ了承した。
通夜堂とはそういうものらしい。
一緒に通夜堂に行くと彼は真っ暗な部屋へ一人で登り始めた。
甘えながら、彼の後につき通夜堂に入ると結構な居心地の良さだった。
利用者の善意に任せるといいながらも綺麗な布団が3組用意されており、綺麗な座布団も何組か置いてあった。
布団を広げ、彼と少し話をしているとお互いの考えのなさから遍路を行ったということがわかり急速に仲良くなった。
彼は40代前半で一回り以上上の人だった。

158 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 22:12:40.20 ID:JzexCdxS0.net
見てる

159 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 22:14:55.55 ID:UVixsD6/0.net
なんか思ったより長くなってしまって本当にすみません。
そばかすは本当に良い人間なんですけどね、なんの因果でこんな人間と付き合ってしまったのか。
俺以外と付き合おうおもわないし、俺の事が好きだからいいんだよって笑っていわれる度に救われるやら申し訳ないやらです。

160 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 22:16:11.51 ID:+qMBE3gr0.net
なんか好転する予感!

161 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 22:20:13.05 ID:JzexCdxS0.net
いいよ、>>1のペースで

162 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 22:22:00.39 ID:UVixsD6/0.net
いつの間にかお互いに風の無い部屋で温かい布団にくるまれおかげで眠りについていた。
真夜中に吠え続ける犬の声を聞きながら、ここだから犬許されるんだろうな考えながら眠った。
体が疲れ過ぎていたせいか、お互いに6時に目を覚まし水道で歯を磨き準備を済ますと、彼は参拝を行い、俺は寺務所が開くのを待って判子を押してもらった。
しんどい思いをしたもの同士か、彼が妙に俺の懐いたのか。
彼の予定日程の4日間行動を共にしようと言い旅路を共にすることになった。
判子を頂くと一緒に7番を目指した。
二人ともまともに食事にありつけず空腹が限界に近づいていた。

163 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 22:31:36.48 ID:UVixsD6/0.net
7番はすぐに辿り着いたが、8番はそこからまた遠かった。
歩けども歩けども看板だけで、先の見えない道で彼と休憩を挟む事になった。
自販機の近くでお互いに飲み物の補充は出来るが、店がないから食事がない事に頭を抱えていた。
その時に彼はバックパックからカロリーメイトを取り出し、俺に差し出した。
自分も矮小さに嫌気がさした。
お互いに命を繋げるための食事だったと思う。
彼も俺もいくつか急場用のカロリーメイトを持っていた。
俺は一個あげたら、彼が空腹になる度に上げなければいけないんじゃないかという邪な考えに囚われていたのに、彼は躊躇なく俺にカロリーメイトを差し出した。
俺はかぶりをふって彼の申し出を断ると、バックパックからカロリーメイトを取り出し体力の回復を図った。

164 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/19(木) 22:33:36.70 ID:UVixsD6/0.net
少し休みたいと思います。
読んで頂いて本当にありがとうございます。
本当に救われます。

165 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 22:34:37.63 ID:+qMBE3gr0.net
無理スンナ

こちらこそ、ありがとう

166 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 22:35:14.09 ID:JzexCdxS0.net
お疲れ様です。
ゆっくり休んでください。

167 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/19(木) 22:48:14.61 ID:7/6JCBmc0.net
途中までだが読んでるよ〜
ガンか。。。
俺もなったがその時は
結構貯金あったからなんとかなったが
役所に届け出すれば最小の金額で
治療受けれるから何とかなるぞ

168 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/20(金) 00:07:01.57 ID:aNXIvPHY0.net
支援!!

169 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/20(金) 01:57:20.21 ID:ICmJaJQk0.net
続きゆっくり待ってるよ

170 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/20(金) 08:26:47.44 ID:kxGJ3aHx0.net
寝れたか?飯食ったか?疲れてないか?
ちゃんと見てるからな
待ってるぞ!

171 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/20(金) 09:51:28.30 ID:pPXy0uws0.net
おはようございます。

172 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/20(金) 09:55:02.77 ID:MefM4JVG0.net
おはようさん

173 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/20(金) 10:13:54.63 ID:ifXWRWiy0.net
おはよー

174 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/20(金) 10:17:42.12 ID:38BBOuox0.net
早朝から歩き続けて、空腹のまま昼を迎えた。
参道に店が有るのだが、食べ物屋さんが無い。
有っても潰れているか、営業日じゃないつまりは無い。
自動販売機も少ないし、コンビニは初日に一店見かけただけ。
彼とお腹空きましたねと軽口を叩き空腹を誤魔化しながら到着したのが10番霊山寺だったと思う。
参道はかなりの傾斜の坂で、寺まで長く階段も長かったと思う。
多くはないが、疲れ始めてる体にバックパックの肩紐が食い込み一層重く感じられた。
長い坂を眺め、彼と顔を見合わせお互い無言で歩き始めようとした時に巻物屋が開いて、店員に声を掛けられた。
上に登るなら荷物を預かるよと、ありがたい申し出だった。
俺達はすぐに地面にバックパックを下ろし、丁寧にお礼を述べた後登坂に取り掛かった。
丸1日半まともに食事をしていない体には、身一つでも辛い道程だった。

175 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/20(金) 10:31:52.56 ID:meS3s2OC0.net
ここまで40km前後歩き、分かったのは杖を買ったのは正解だったということと登りより下りの方が辛いということ。
全体重がつま先に掛かり、支えるだけでも負担は凄かった。
彼の歩みは僕より少々遅く、合わせて歩くのも結構な労力だった。
出来るだけ負担が掛からないようにゆっくりと降り、巻物屋へ行き荷物を預かって頂いたお礼を繰り返しているとあめちゃんと麦茶を頂いた。
甘さは体に染み渡り、口内に溢れかえった涎を苦目の麦茶で流し込む。
一息つき、店前で改めて頭を下げると旅路を再開させた。
この時、頭の中は感謝でいっぱいだった。
巻物屋への感謝もそうだが、全てへの感謝。
お遍路はこの土地の人々に許されているだけなのだ。
繰り返すが、自分の家の前を真っ白な服着たどこから来た誰かもわからない人間が杖をカンカンつきながら歩き回るのだ。
都会では不審者の事案で自治体がメールを発射するレベルだと思う。
許されている事に感謝しながら、次の宿へ向かうと大きな道路に差し掛かり左右を見回すと大きな看板が目に入った。
漸く探し求めたご飯屋さんに辿り着いた。

176 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/20(金) 10:34:58.61 ID:MefM4JVG0.net
頭の中が全てへの感謝でいっぱいって、ちょっとした悟りの境地だな
すげえ

177 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/20(金) 10:41:53.33 ID:fPiUMu140.net
うどん屋さんはほぼ満席で、車で遍路を回っている老夫婦も少なからず見受けられた。
24時間前は鬱陶しくてしょうがなかった歩かない遍路への考えも熱い掌返しで変わっていた。
この人達はこの人達はなりに自分のできる手段でお参りをしているのだと。
そんなんじゃ御利益にあやかれないと思っていたが、仏様はそんなに小さい事も言わ無いだろうと思えるようになっていた。
うどん屋で日替わりを頼んだ。
目の前に届いたお膳には、白米、小うどん、ブリ照り、漬物が並んでいたと思う。
カマからブリの身をほぐし小さく切ると、口に運んだ。
ゆっくり噛みしめるように二人で無言で食べ続けた。
この先の不安とかすっかり忘れてたと思う。
無心で舌鼓を打ち、二人とも食べ終えると店員さんに断って水をペットボトルに入れさせてもらった。
水はいくらあっても困らない。2日目にしてこれが命綱になると確信していた。
各々の食事の料金を支払い次への道を聞き、2日目の目的宿へ急ぎ向かった。

178 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/20(金) 10:54:30.29 ID:KRuW22r60.net
少々早歩き気味に歩いたのには訳があった。
目的の善根宿は先着6人までが定員で、あぶれると近くの宿泊施設へ泊まらなければならなかった。
二人とも意見は同じで、無限にある訳じゃない金を出来るだけ掛からない様に旅をしたいと思っていた。
その為に彼はつま先の痛さに、俺は土踏まずの痛さに耐えて急ぎ歩いた。
善根宿に着く頃には5時を過ぎていた、内心は焦っていた。
遍路達が休む場所を探し始める時間になっていたから。
彼の足はスピードを落とし始めていた。
自分だけが先に行って善根宿を二人分キープするべきか、どうするべきか。
短い時間悩み、うち出した答えは開き直りだった。
折角知り合った縁で切り捨てる必要もないだろうと。
定員が埋まってたら埋まってたでなんとかなるだろうと。
善根宿に着くと、そこは銭湯だった。
銭湯の駐車場の隅にトタンで作った簡素な建物で、ただ雨風を凌ぎ眠るためだけの施設だった。
それすら自分達には有難かった。
僕も彼も、5月の四国を舐めていた為に寝袋を持ってきていなかったから。
暖かいだろう、暖かければ野宿くらい苦でもないとタカを括っていたが、初日の寒さにすっかり参っていた。

179 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/20(金) 11:05:27.55 ID:qNTbGEiB0.net
銭湯店内に入り、善根宿の利用を願い出ると身分証明書の提示と署名を求められた。
世知辛い物だと思った。
こういう事をしなければ変な事をする人間がいるのだと思うと悲しくなった。
宿泊施設に通されると、先客が居た。
二人とも還暦は過ぎてるであろう人達だった。
俺達が三組目という事だった。
軽く自己紹介をして居る内に、おじさん達が経験者だと言う事が分かった。
それからは質問責めだった。
ネットで見た遍路情報なんかよりも、実際に歩いた情報の方がよっぽど役に立つと分かっていた。
初日は食べ物屋さんが一番霊山寺にしかありませんと書いてるサイトが存在しなかったのが何よりの証明だった。
後から来た二組1人1人で来た男性達も経験者だった。
結構長い時間話していたと思う。
色々なことを教えてもらい、少しこの先の旅路に不安が解消出来た。
それでもそれは徳島県内だけの話で、後1200km有るかと思うと気持ちがおもくなった。
切り替えて、銭湯に向かうと店の自転車なら使っていいからねとの事だった。
彼と俺は喜び、食料を買い込める場所を聞くと二人で自転車に飛び乗った。

180 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/20(金) 11:20:51.58 ID:HH9k0t6E0.net
スーパーはかなり時間を掛け買い物を行った。
というのも、翌日に控えているのは焼山寺打ちだった。
標高600m前後を12kmの行程で、山の中は一度踏み出すと引き返せないと覚悟していた。
その為には荷物の量が多過ぎては負担になるし、少な過ぎては辿り着くことさえ困難になると。
結局買ったのはおにぎりを5つとカロリーメイト、スポーツドリンクを2Lと500ml。
初日30km、2日目20kmと徐々にペースが落ちているのが気には掛かっていたが焦っても同じだと自分に言い聞かせた。
目の前の事を熟すのだと。
おにぎりを2つ、善根宿で食べた。
少し米は硬く、この状況でも美味しいとは言えなかったが食べなければと無理に喉に押し込んだ。
おじさん達も明日の準備をせっせと行っていた。
スーパーで買ってきた食料のパックから取り出し袋に入れ替える。
その作業を眺めながら何をしているのか尋ねると、山道は1gでも軽くした方がいいからねとの答えだった。
それに習い、スポーツドリンクのパッケージを剥がしたりカロリーメイトの箱を捨てたり、役に立つのか分からない程度だったが先人に習うより他ないとバックパックの中のゴミになるものを出来るだけ減らした。

181 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/20(金) 11:27:53.44 ID:MefM4JVG0.net
おもしろいな、引き込まれる

登山家はメモ帳の表紙も外して持っていくって聞いたことあるよ

182 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/20(金) 11:38:39.47 ID:Da3WamuL0.net
先に来ていた二組に1室、俺たちに1室、後から来た二組は簡易テントと寝袋を持ってるので駐車場で寝るとの事だった。
作業を終わらせ、貴重品だけを取り出し俺達は銭湯に向かった。
疲れきった身体には何よりも有難い癒しだった。
掛かり湯から、少し浸かり後でもう一度浸かろうと頭を洗っている最中に彼に肩を叩かれた。
それは最悪のお知らせで、彼が店員に言われた事は女性客で宿泊希望者が居るから部屋を明けて欲しいとの事だった。
前以て分かっては居たが、21時を過ぎて善根宿に来る人間が居るとは夢にも思ってなかったので頭をハンマーでフルスイングされたような衝撃だった。
しかも、明け渡し要求は今すぐ、早急に、ナウ、NOW、ハリーアップ!と言われた。
女性遍路があまりよく思われない原因の一つだと思う。
通夜堂も、善根宿もそうだが基本的に女性優先なのだ。
仮に通夜堂に先に泊まって眠っていようが、女性が来ると明けなければいけない。
先着なんか関係ねえ、どけと言われればどかなければいけない。
どうしようもないマナーとルールだった。
お風呂も満足に浸からぬまま、頭を洗い流し身体も中途半端にしか拭かずに濡れた髪の毛、濡れた身体に張り付くシャツ、急ぎ銭湯の外へ向かうとそこにはおじさん達しか居らず、事情が飲み込めなかった。
店員に聞きに行くと、明けなくていいよとの事で理由を聞くと、男性が多い中で眠るのも不安なので自分の車の中で寝る事にしたらしい。
アゴが外れるくらいあんぐりしていたと思う。
鳩が豆鉄砲どころじゃなかった、44口径で撃ち抜かれたレベルだった。
車有るなら最初っから車でいいやん、っていうかそういうルール分かって旅してないだろ、何これマジで何これと時計を見ると21時40分ごろをさしてたと思う。
もう一度しっかり風呂に入って休んだ方がいいだろうかと悩んでると店員に閉店ですと告げられた。
踏んだり蹴ったりだった。

183 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/20(金) 11:50:35.00 ID:ZAyOhr9d0.net
善根宿に戻ると、周りは真っ暗でおじさん達はすっかりと休みに入っていた。
俺と彼は出来るだけ着込んだ。
雨と風が凌ても、床は畳を宙にはめ込んだだけで寒いのは寒いのだ。
冬用のパーカーを2枚と靴下を2枚、ズボンも2枚。
もこもこした俺達は明日の相談をする前に眠りについた。
疲れ切った体で、起きていることすら出来なかったが4時間ほど眠った真夜中の2時ごろ寒さで目を覚ました。
彼もモゾモゾし、仕切りに寝返りを打っていた。
寒くて寝られないのだろうと思ったが、俺も俺で休まなければと集中した。
眠りに落ちると寒さで起きる、どちらかが寒さを我慢するために寝返りを打つとその音と気配で起きる。
まともに休めていなかった。
2時間ほどそれを繰り返し、午前4時ごろどちらともなく声を掛けた。
寒すぎる件を話し合い、このままここに居てもゆっくり休めないだろうからと意見は満場一致だった。
ねじれ国会なんのその、俺達は手早く着込んだ服をバックパックに仕舞うとおじさん達に一礼し、銭湯を後にした。
銭湯から11番霊山寺は結構近かった。
と言っても徒歩30分ほどで、着く頃には5時を回り開門していた。
寺務所に無理を言い、白衣に判子を押してもらうと参拝を済ませ11番霊山寺の裏から伸びる12番への山道に入った。

184 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/20(金) 12:04:06.64 ID:pPt1WT7Z0.net
一番初めの難所で、全行程で一番の難所と言われる山道は朝露に濡れた落ち葉のおかげで歩く事すら難しかった。
尾根沿いに歩き続けるのだが、先人達が踏み鳴らした獣道を黙々と歩くだけ。
高低差も有り、休憩のペースも取れないまま彼の歩みは遅れ始めていた。
それもその筈で、風呂で見た時に彼の足の指は赤黒く変色していた。
恐らく爪が剥がれる寸前だったのだろう。
おじさん達に言われた、最悪一日仕事になるから君達の装備では引き返した方がいい。とのアドバイスを大きいお世話だと思った俺を殴りに行きたかった。
2時間ほど歩いたおかげで、ますます引くことが出来なくなってしまった。
誰かに助けて欲しかった。
叫んで唸って泣いて騒いでも助けてもらえる筈も無いのに。
遍路転がしと言われる急坂をゆっくり彼のペースに合わせて、小まめに休憩しながら獣道を歩いた。
3時間ほど歩いていると、善根宿で一緒だったおじさんに抜かれた。
慣れているんだろう、俺たちとは歩くペース別次元だった。
ラパンとF1位の違いだ。
結局おじさん達全員にこの後の小一時間で全員に抜かれる事になった。
もう抜かれる事は無くなったし気持ちも楽になるかと思ったが勘違いもいい所だった。
逆だと気付くのに時間は掛からなかった。
何故おじさん達はこんなにハイペースで歩いているのか。
内一人に至っては、11番霊山寺のすぐそばで旅館の予約すら取っていると言っていた。急ぐ必要が無い人が急ぐ理由は火を見るよりも明らかだった。
そのペースで歩かなければ間に合わないのだ。

185 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/20(金) 12:06:08.44 ID:TpuRAcEP0.net
自分の半生も波乱万丈だと思ってたけど…甘かった。自分はかなり幸せな水準の人間だったと気付けた。>>1ありがとう。

186 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/20(金) 12:18:25.24 ID:PJlcJdPC0.net
彼を出来るだけ負担のかからないように急かした。
ボスケテ状態だった。
急がなくていいから急いでと矛盾を投げつけた。
何度となく登り下りを繰り返し、目の前のどでかい坂は遍路転がしなのだろうと確信出来た。
近くを見回し気にかけられた絵馬程の大きさの看板を見つけると疲れが吹き飛んだ。
6番遍路転がしと書いていた。
その山中に存在する遍路転がしは6箇所、6番ということはこれが最後の転がしなのだ。
彼に喜び勇んで伝えたが、既に喜ぶ体力すら彼には無かった。
2番から5番まで気付かずこなして来た自分の間抜けさに軽いショックを覚えたが、それよりもゴール近い事の方が嬉しかった。
ペースを上げながら上り坂に挑み、超えると視界が開けた。
森の出口の先にアスファルトが見える。
アスファルトを踏みしめそこから30分も歩かなかったと思う。
大きな木が真っ直ぐ空に向かって生えている道を歩いた。
立派に育った枝は遥か高くで大きく広がり、昼間の暑い直射日光防いでくれていた。
間から漏れる日光を暖かく感じながらさながら森林浴だった。
先ほどまで森林過ぎて溺れそうになるのもすっかり忘れて。
向かい道から歩いてきたおばさんがすれ違い様にお遍路かと尋ねて来た。
彼は疲れ切っていたし、俺は真っ白な格好をしているし、見てわからないのか?と思いながらもそうですと答えた。
するとおばさんは財布を取り出し俺達に500円玉を握らせた。
驚いてる二人に、大変だけどがんばってね。と言いそのまま歩き去ってしまった。
俺はおばさんの背中に頭を下げたが、それはお礼の為じゃ無かった。
心の中で悪態ついてごめんなさいだった。

187 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/20(金) 12:34:26.54 ID:cF2/Wa9Y0.net
見てるからね

188 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/20(金) 12:34:26.45 ID:AnWfmfFD0.net
気を取り直し、11番に到着したのはそのすぐ後で時計を見ると12時前だった。
おいおいおじさん達、あんなにビビらせた癖に言うほどじゃなかったじゃないかと少し得意気だった。
参拝を行う前に判子を押してもらいながら、下山する方法を教えてもらうと15分ほど後に少ししたの集落からバスが出ると教えてもらった。
バスかー、歩き遍路だからなぁバスはなぁ。という考えは次の一言で吹き飛んだ。
それが最終の便だから。
気が気じゃなかった、それを逃すと街まで30km以上有り、この辺りで泊まらないと行けないのだと優しく教えてもらった。
この辺りの旅館の値段が優しくないことも付け加えて。
遍路相手に足元見るなんて人間じゃない、鬼や鬼や。と心中はお祭り騒ぎだったが現実はそんな話でも無かった。
境内をのんびり歩く彼を見つけて、急ぎ降りないと不味いことになると伝えると彼は微妙な表情を返してきた。
それもその筈だろう、今から急いでバスに向かうのは限界近い足では難しかった。
旅館に泊まるか、それとも急いでバスに向かって街の善根宿に向かうか問いかけても煮え切らない返事だった。
街には行きたいけれど...と言う彼のカバンを預かって、先導しながらバス停に向かった。
二人分の荷物は重かったが、それ以上にここで足止めを食らうプレッシャーの方が重かった。
荷物がなくなった彼は先程よりも少々軽い足取りで、無事にバスの時間前に到着出来た。
バス停の近くで空になった2Lのペットボトルを捨てた。
計算は丁度だった、多過ぎず少な過ぎず山路で飲み切れる量。
バス停に戻ると彼はバックパックから満タンの2Lのお茶を取り出し喉を潤していた。
心の中では、リトル俺が叫んでいた。
なんでやねん。

189 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/20(金) 12:39:44.46 ID:S5vZIcR+0.net
なんか、お遍路編から人格が明るくなってきてね?お遍路興味あるわ

190 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/20(金) 12:41:36.29 ID:MefM4JVG0.net
>>1は頭良さそうだし、いくつも修羅場くぐってきたから危機管理能力が高いんだろうなw

>>189 同じこと思ったわ

191 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/20(金) 12:50:09.88 ID:AnWfmfFD0.net
>>187
ありがとう。
遍路長くてごめんなさい。

バスはバスじゃなかった。
何を言ってるかわからないと思うが、ありのままを話すぜ。
到着したのはハイエースだった。
運転手は愛想の無い役場の刺繍が入った作業着を着ていた。
なるほど、役場が善意で交通手段の無い人を助けているのかと理解したが現金を手渡ししている最中にこの人2種持ってるのかな?と気になってしょうがなかった。
麓までハイエースで連れて行って貰い、降ろされたのはバス停だった。
ここから本当のバスに乗り換えるとの事だった。
30分ほど、何もない街中で座り込みバスを待った。
到着したバスに乗り込み、そこからまた1時間近く揺られてたと思う。
川沿いを走り、キラキラ光る水面に目をやりながらバスの料金表を見て驚きを隠せなかった。
既に400円を超えており、見つめている今もなお一定の周期で値段が上がり続けていた。
800円をバスに払い下車したが、カルチャーショックだった。
地元には存在しないタイプのバスなのだから。
同じルートをぐるぐる周り続けるし、初乗り220円で始発から終点でも220円で。
思い返すとそういや昔は地元でもそうだったな、乗車券取ってたもんな。
いつから地元のバスは乗車券を配布しなくなったんだっけ。
と考えながらバス停近くの12番を打ち、善根宿へ向かう途中の13番を打った。
おじさんの一人に教えてもらった善根宿を探し当て声を掛けると快く泊まっていいよ。との事だった。
そこはタクシー会社で、社長が遍路を大切にしているらしく善根宿の中でもかなりの厚遇だった。
洗濯機は使い放題、お風呂も入り放題、テレビも見放題、布団なんか40人分位有るから寝放題だった。

192 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/20(金) 13:02:28.46 ID:AnWfmfFD0.net
ここでこれからの旅を真剣に考えなくてはならなかった。
彼は余りにも工程が辛すぎたらしく、日程を1日縮めるらしかった。
レンタルサイクルでいくつか先の霊山寺を廻って、徳島市内に戻り帰る予定だと言われた。
お茶4L持って登山したり、足の爪が剥がれそうなおっさんでも濃い3日間を共にしたせいか離れるのは淋しかったし、一人になることへの不安もあった。
しかし、それでも自分は歩かなければいけないし泣き言言ってる場合じゃない。
先へ行くためには必要な装備がいる、まずは寝袋が必要不可欠だったが実際問題寝袋なんてコンビニに売ってる訳も無く、市内は20km以上先だし、市内にキャンプショップが有るかすら定かではなかった。
何より今に至るまでコンビニ一軒しか無かったのだから。
そこで、思いついたのが世界のお友達アマゾンだった。
確かコンビニ受け取り出来る筈で、最悪この宿に2日間泊めて貰える様に頼み込むか。
無理なら市内のネカフェで一日過ごせばいいやと考えた。
アマゾンで寝袋を検索し、最寄りのコンビニの住所を打ち込んだ。
最終確認後、OK押すと赤い文字が表示された。
この商品は大き過ぎる為コンビニ受け取りは出来ません。
まさにKonozamaだった。

193 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/20(金) 13:12:57.62 ID:18T1KGT90.net
ちょいちょい気の利いたこと言おうとし始めたな

194 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/20(金) 13:16:15.65 ID:uLcpbgVx0.net
選択肢は少なかった、市内に一か八かでキャンプショップが有る事を願うか。
今思えば、ショップ検索すれば良かったのだが。
寝袋無しで明日から暖かく成ることを願うか。
若しくは旅を中断して一度家へ帰っておじさん達並に装備を整えるか。
3つ目は無かった、ここまで100km以上歩いたが、土踏まずがジンジンと痛かったし変な色になっていた。
恐らく、歩き続ける負担に耐えきれなかった血管が破れて内出血になっていたのだろう。
ここまでで全体の13分の1しかこなしてないと思うと、マジで心が折れる5秒前だった。
帰ったら絶対装備なんか整えないし、二度と四国なんか来たくないと思うのは分かり切っていた。
どうするべきかと悩んでいるとそばかすからの電話がかかって来た。
現状を話し、どうするべきか悩んでる事を伝えるとアマゾンで買えばいいのかと聞いてきた。
そうか、そばかすに買ってもらってコンビニに送ってもらえばいいのか!と閃いたが、コンビニ留めって個人で出来るのか?という疑問が湧いた。
そもそも、移動することを考えるとコンビニピンポイントとは難しいんじゃないかと言うとそばかすが笑いながら市内の郵便局で局留めすればいいじゃないかと言った。
奇手だった。
穴熊作って王将を入れないような、考えも及ばなかった。
今すぐ即日配送で注文して明日届いて、局留めで速配で出せば明日一日泊まるだけで寝袋は手に入るよと日程計画まで提案されたし、穴も無かった。
お願いしますと電話口に頭を下げ電話を切ると、善根宿オーナーへのお願いが残っていた。
少し気が重くなった。

195 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/20(金) 13:23:15.62 ID:MefM4JVG0.net
そばかすさん、機転利くなあ

196 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/20(金) 13:25:57.87 ID:vV3gBBCW0.net
平身低頭頭を下げ、理由を述べ、前代未聞だと思うが2泊させてくれないか?と聞くとあっさりと了承がおりた。
拍子抜けしたが、展望も明るく気持ちも楽になった。
折角だからと彼を誘って、徳島ラーメンを食べに行った。
そこはもう市内にほぼ近かったので店もコンビニも困る事は無かった。
ラーメン屋では彼が仕切りにビールは飲まないかと聞いてきたが、奢ってもらうのも気が進まないし大丈夫ですと丁重にお断りを入れた。
しかしそのラーメン屋は卵はトッピングだった。
徳島ラーメンと言えば辛めの味付けの豚を生卵で和えて食べるものだと思っていたので損した気分は否めなかった。
トッピング付けたのだけれど。
食べ終え最後の晩を過ごすに当たって、ビール位奢らせてくれないかと彼の熱い要望で、ここまで言われて無下に断る意味もないだろうと甘えさせてもらう事にした。
500mlののどごし生を部屋で明け、乾杯した彼の手にはお茶が持たれていた。
聞くと飲まない人らしく、一人で酒を飲む事が非常に申し訳なくなった。

197 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/20(金) 13:35:44.74 ID:tCWU21mu0.net
翌る日、彼一人旅立つのを見届けた後部屋に戻りまどろんでいた。
回復しようとしているのか、隙があれば意識が落ちた。
隣のコンビニでカップラーメンを買ってきて食べて、何度も寝て起きてを繰り返した。窓からは夕日が入って来ていた。
後ろの扉が開いたと思うと、熊のような人が立っていた。
自己紹介を済まし、遍路同士で有る事が分かると熊は豪快に笑いながら俺を食事に誘った。
年は4つ程上だったと思う。
熊は逆打ちしてきてスケジュール的に、今日が最終日で明日帰るのだと。
だから、折角だから遍路さんだしご飯奢るよとざっくり言ってきた。
会って間もないのも有ったが、遍路のおもてなしは断るのも失礼と書いてたっけ思い出しとありがたくご馳走になることにした。
ココイチでカレーを頂き部屋に帰り経験者だと言う熊にアドバイスを頂き、眠りについた。
目を覚まし近くの15-17番まで打ち、市内の郵便局へ向かった。

198 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/20(金) 13:44:57.09 ID:5ZVQR/N90.net
3時間ほど歩いただろうか。
郵便局で局留めの荷物を受け取ると、寝袋の箱の口がビニールガムテでぐるぐる巻きにされていた。
それを剥がすのの10分ほど掛かったとおもう。
そばかすの嫌がらせかと思いながら、箱を開けると嫌がらせなんて飛んでもなかった。
溢れ出てきたのは、ブドウ糖の塊と塩飴と大好物でカロリーの塊だから運動に最適と俺が普段から豪語していたマルセイのバターサンドだった。
他にも汗を吸い蒸発する事で気化熱を奪って熱中症を下げるタオルや、痛み止めと絆創膏が入っていた。
荷物にはなるが、どれもこれも有って困る事の無い物だった。
嫌がらせじゃなくて、溢れんばかりの愛情が詰まってました。
バターサンドを手早く食べて、バックパックに寝袋のを括りつけるとバックパックの上にまるっと寝袋が乗っかっている物だから状態としては親亀子亀孫亀だった。
この度を初めて5日目になっていた。

199 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/20(金) 13:48:50.07 ID:ifXWRWiy0.net
やっぱり出来る女だな

200 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/20(金) 13:56:24.21 ID:mGj4+Jx40.net
18番19番と軽快に打ち、徳島も残り少なくなっていた。
一人になってペース自由になったことで、この日だけで40km近く歩いていた。
20番を超える必要が有ったのは宿泊の問題だった。
17時閉門前ギリギリ間に合うかどうかの瀬戸際だった。
判子を押してもらえれば先に進めるが、押してもらえないと寺の前で寝る事になってしまう。
20番霊山寺に電話をかけ、今4合目でギリギリ間に合わないかもしれないから少しだけ待っていただけませんかとお願いをすると住職からいいけど早くしてねとの答えだった。
有難いこの気持ちに応えるべく山道を駆け上がった。
汗は吹き出て、息も切れたが休まずに走った。
ちょうど寺に着いたのは17時の1分前だった。出てきた職員の方がさっき電話してきたお遍路さん?と声をかけてきて、4合目からこの時間で登ってきたの!?凄い早い!と盛り上がっていた。
間に合って良かったと安心する暇も無く、職員に礼をして判子を頂いた。
これで出来るだけ歩みを進めることができると職員に次の寺への道を聞き、言われた森の中へ入った。

201 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/20(金) 14:00:42.86 ID:qE+x2n+h0.net
ちょっと見ないあいだに、
蕎麦屋から遍路になってた

202 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/20(金) 14:11:34.42 ID:1zwgYB/20.net
日が暮れ始め、森の中では危険だと感じていた。
早く次の寝場所へ向かわないとと焦る気持ちと裏腹に、ほぼ下山の道は中々ペースが上がらなかった。
度々貼られているお遍路シールのおかげでイラつきも加速した。
そのシールはハングル文字と矢印が書かれているのだが、明らかに横用に作られたシールなのに縦に貼っている。
矢印が機能すればいいのだろうけど、じゃあ文字が横になって読めないじゃないかと。
何よりここから次の寺まで一本道なのだから貼る必要無いし、日本の遍路シールが貼られてないのを見ればそれは明らかだった。
こういう風習とか文化とか理解してないくせに干渉してくるのは理解の外だった。
そもそも弘法大師も分かってないんだろと、暗くなり始めた森の中で悪態をついていた。
寝場所まで後どれくらいか検討もつかなかった。
それでも歩き続けなければいけなかった。
土踏まずの痛みもかなり限界が来ていた。
患部は熱を持ち始め、それが余計に痛みを感じさせた。
暗くなり切る前に着いたのは、他の遍路も良く利用しているらしい廃校だった。
ここで泊まるのかと寝れそうな場所を物色したが、建物の中に入れるわけではないので、吹きっさらしの中で校舎に寄り添って眠るだけだった。
良く使われているらしい場所は体育館の前なのだが、お世辞にも綺麗ではなかった。
どころか、少し離れた場所の図書室や蛍光灯で薄ぼんやり赤く光るトイレが見えており怖さは表現し切れるものじゃなかった。
ここでは寝れない、学校があるって事は集落なのだから他にもう少し眠れるような場所があるんじゃないかと探し回った。

203 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/20(金) 14:19:05.24 ID:8ycaVdPi0.net
近くに荒屋があるとネットで見かけたものも一向に見つかる気配が無かった。
集落に中を歩き回るが、学校を出てから付かず離れずの距離に中型犬が着いてくるのも不安を煽った。
余計に囲いが無いと寝られないんじゃないかと。
失礼を承知で電気の着いている民家のインターホンを押すと中からハーイと返事が有り、1分ほど待たされた後50台後半くらいのおばさんが出てきた。
聞くだけだから、ほんとインターホン越しで済ませる話なのに申し訳ないと思いつつ、荒屋の場所を聞くとすぐそこだと教えられた。
後、犬がさっきからついて来るんですけどあれは野犬ですか?と尋ねると、違うのだと。
この集落全体で面倒見てる犬で、悪さもしないでいい子だと教えて貰った。
犬に怯えなくて済む有意義な情報だった。
早速荒屋を見つけたが、頭の上にハテナが大量に飛び交った。

204 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/20(金) 14:20:09.13 ID:ifXWRWiy0.net
見てるよ

205 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/20(金) 14:29:07.01 ID:U9PViaRk0.net
荒屋とはこう、荒んではいるけれど家としての機能はギリギリ保ってるというか、雨風だけ凌げればと思っていたのが甘い考えだった。
荒屋でもなんでもなかった。
小さい公園という程でもない、謎の空間の四方に支柱が立ち支柱同士の上に鉄柵がかけられ何かの蔓が這わされていた。
一応屋根がある謎の空間に置かれたボロボロのソファ。
前日とは打って変わった贅沢慣れした精神を叩き壊すには充分すぎる環境だった。
その前は道路が走り、1時間に一台程度車が走っていった。
いっそヒッチハイクで市内まで乗せて行って貰ってリタイアするか。
いやいや、まだだろ、まだ行ける野宿は慣れっこだし何なら今日は寝袋まで有る。と考えが右に行ったり左に行ったりしていたが、辞めるのはいつでも出来るかと悩み疲れると達観してしまった。
まずは休んで、明日も山登りだと言い聞かせて寝袋に包まった。

206 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/20(金) 14:41:31.74 ID:ZLtwC49O0.net
ぐっすりと休めたのは寝袋を送ってくれたそばかすのおかげだろうと畳みながら感謝した。
この山間部の谷間で寝袋も無く、放り出されてたら死んでたかも知れないなと誇張無く思っていた。
とんとん表紙で23番まで打つと、その日の宿は善根宿だった。
仕出し弁当屋さんが営むその善根宿は、バスを丸々一台空き地に置いていた。
水道は近くの蛇口で使うことが出来た。
またバス内は座席が全部取り外されフルフラットの状態に簀の子で床を作り、布団まで置かれていた。
その善根宿は予約が出来て、夕方までに予約することでお弁当まで配達しててくれるというのだった。
それも全て仕出し弁当屋さんの好意で無料でだ。
お遍路をもてなすことは、遍路するのと同じ位尊い事なのだと四国の方々は教わるのだろうか?
街中にもかなりの数の遍路休憩場が有ったし、休憩場の中には近隣住民の優しさで甘夏や金柑などがご自由にと書かれた紙と一緒に置かれてたりしていた。
これを考えられない事だと思うのは、俺が汚れているからなのだろうと反芻することには事欠かなかった。
その善根宿には、後からもう一人おじいさんが来た。
バスの前方と後方に別れて寝るのだから問題は無かった。
18時を過ぎて届けられた弁当は、これでもかと言うくらいにおかずと米が箱の中でひしめき合っていた。
そういえば、谷を出てからバターサンドしか食べてなかったなと思い返しながらありがたく弁当をいただいた。

207 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/20(金) 14:51:27.15 ID:ZLtwC49O0.net
かなり量の多い弁当を半分食べ終え、残った半分は出発前に頂こうと蓋を閉めた。
明日から高知入りで海岸線を延々歩くから、食事もまともに食べられないかもしれない計算だった。
熱くなった土踏まずをゆっくり揉みながら柔軟していると宿を同じくしたおじいさんが話しかけてきた。
スマホを拾ったが、触り方も分からないしお兄ちゃんなら分かるかな?と。
持ち主が困ってるんじゃないかとの事だった。
おじいさんも拾ったのは30km近く離れた場所だと言っていた。
おじいさんは逆打ちで、俺は順打ち。
おじいさんが来た方向に向かうのだから持ち主とバッティングするかもしれないと話し、スマホを預かった。
上部の電源を押すと電源はつくし、ロックも掛かっていなかった。
履歴の中から父親の項目を見つけると自分の電話で持ち主の父親に掛けた。
これだけ人の優しさや好意を受け取ったのだから、今これで少しでも返せるんじゃないか?これで少しでも洗われるかなと少しだけ心が弾んでいた。
相手が電話に出たので、スマホを拾った旨を伝えると大層喜んだ。
子供がなくして困ってたのだと言う事だった。
自分の今の状況を伝えた上で、どうするか相手に聞くと随分な事を言われることになった。

208 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/20(金) 14:52:43.51 ID:cF2/Wa9Y0.net
お遍路ってすごいな、そんなにみんなあったかいのか

209 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/20(金) 14:58:03.02 ID:MefM4JVG0.net
日数的にはまだ1週間くらいかな? 濃すぎてもっと経っているように思えるw

210 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/20(金) 15:01:16.42 ID:ctFXXK5j0.net
>>204
ありがとう。

相手は徳島西部の方に住んでいるらしく、俺の今いる場所には3ー4時間は掛かるらしかった。
電話をした時点で22時を回っていたし、今すぐ向かうという相手を制止してそんな事をされても困ると伝えた。
こちらに到着するのが25時以降になるのははっきり言ってこちらも困るのだ。
次の寺まで70km以上ある、明日は歩き詰めになるのは目に見えてたし明日以降は宿の目処が一切立っていなかったので休める時に休んでおきたかったのだ。
じゃあどうすればいいのかと聞かれ、開き直りか逆ギレとも感じられた物言いにイラつきながら考えたがいい案など出る筈も無かった。
相手も何時に着くかハッキリした時間は言えないと言うし、俺は俺で起き次第食事を済ませてすぐに高知を目指すつもりだったから5時に起きるか6時に起きるか何とも言えなかった。
立ち止まってる時間が勿体無いと思っていた。
好意で電話までしてあげたのに、じゃあ朝行くから待っててくれとはなんて横着な人なんだろうと。
結局、お互いにはっきり予定がつかない事で相手は怒りの篭った声でじゃあ交番にでも届けてくれと言われたので、了承して電話を切った。
何かと寝る前に消耗することが多い旅だなと思いながら寝袋に包まった。

211 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/20(金) 15:06:13.63 ID:MefM4JVG0.net
善根宿にあずけられなかったのかな?

212 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/20(金) 15:20:26.73 ID:9L+HH5+Q0.net
7日目の朝を迎えて、110番に電話を掛けて話を終えると昨日残したお弁当を頂き、お礼のお札を書き終えるとバスの壁に貼り付けた。
何かをしてもらう度に、休憩所に立ち寄る度にお札を書いてると一週間程度でも書き慣れるもんだった。
早々に支度を終え、海岸線を眺めながらゆっくり曲がる道通りに行くと山に入った。
県境で山越えが次のミッションだった。
山に走る道路に沿って歩き続けると、俺を追い越した一人の遍路が少し先で俺の事を待っていた。
このまま向かうつもりか?と聞かれ、そのつもりだと答えるとその人はリュックからマスクを取り出して俺に手渡した。
気休めだろうけど、トンネルも多いしつけておいて損はないからどうぞと。
ありがとうと言う間もなく、追い越した時のスピードと同じ速さでぐんぐん歩いて行った。
トンネルの中はおかげさまで楽になった。
途中で車の人に声を掛けられ図らずもヒッチハイカー遍路になってしまった。
この車のおかげで高知入りが一気に短縮できた。
道の駅で降ろしてもらい、折角だから何か名物でも食べて英気を養おうと思いカツオの酒盗丼を頂くことにした。
カツオも昔四万十川の方で食べた程美味しく無かったし、酒盗も美味しいとは言い難かった。
初めての酒盗だと思うのだが、カツオは上に、酒盗は底に入れられており食べ進めて行くと酒盗が出てくる仕組みだった。
そういうものなのかも知れないが、ただただ塩っ辛いだけの旨味も何も無い、少し生臭くすらある酒盗。
しかも異常に入っていたのだった。
酒盗の塩っ辛さと量だけ考えても、米が一升は無いと辻褄が合わない量だった。
どうしたもんか、米だけ食べて酒盗は残すかと悩んでいると店のおばさんが急須を手に近づいてきた。
急須の中に湯が入っており、これを入れて茶漬けにすると塩っ辛いのが少し収まるよと。
ありがたく頂戴し、教えの通りにぐちゃぐちゃに掻き回した。
書き込んだ瞬間に全部吐き出した。
胃の中のカツオも全て。
ただただ生臭さが4乗くらいされただけで、塩辛くて生臭い水に浸かった米に成り果てた。
米だけ食べて酒盗は残せば良かったと多大な後悔を抱えて道の駅を後にした。

213 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/20(金) 15:24:31.13 ID:+JtIW5d20.net
酒盗は酒のツマミにしてちびちびと食べる物だったから
丼にして一気に食べるって発想がなかったw

四国、恐るべし

214 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/20(金) 15:25:16.71 ID:dAW58yaM0.net
>>211
尋ねてませんが、お店をされてますので難しいんじゃないかと思います。
遍路を泊めてあげてる上に厄介事まで持ち込まれたらたまったもんじゃないかと。
そういった背景も有って、今善根宿はかなり減っているようです。
好意で泊めてもらえるのをいい事に善根宿を一覧表にして配る人が居て、遍路同士で情報をシェアする事で利用者が増えておもてなしのキャパを超えたり。
自分の為にも、のちに続くお遍路さんたちの為にもその選択肢は有っても選ばなかったと思います。

215 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/20(金) 15:39:03.84 ID:OqhkqQOt0.net
結局空腹は満たされないまま、室戸岬へ向かうことにした。
海岸線に沿って歩くのは結構気持ちのいいもので、暑い日差しで熱を持った体に海風が一層涼しく感じられた。
徐々に室戸岬に近づくに連れて、ただただ海岸線を道路が走っているだけになり、気付いた時は致命的にどうにもならなかった。
水が無くなっていた。
最後に自販機を見たのは3時間程前だったし、今から戻ると今日中に次の寺に着けない。
意を決して進む事を選んだ。
あるけどもあるけども海しか見えず、遥か先に見える霞んだ突端が室戸岬だと知るのはもう少し後になってからだった。
せっせと歩き続けたが店はおろか、自販機も無かった。
無いと分かってしまったからか、余計に喉が乾き体が水を欲しているのが分かった。
それでも歩き続けた。
ようやく5時を前にして、お寺の付近についた。
最御崎寺は室戸岬の本当の端っこに立っており、しかも山の上だった。
入り口は2つ、ぐるっと回って山を登るか、険しい道を登る一本道か。
時間的にはまだどちらを選んでも行けるだろうという算段だった。
無理して一本道を登る必要も無いかと思っている俺の前を一台のパトカーが走り抜けようとした。
俺は咄嗟に手を上げてパトカーを止めた。

216 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/20(金) 15:42:19.71 ID:MefM4JVG0.net
>>214
なるほど、説明ありがとう
現地の状況を知らずに質問してしまい申し訳なかった

217 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/20(金) 15:49:48.13 ID:ZzHlJ0LI0.net
2人の警察官は怪訝そうな顔で近づいてきた。
どうされましたか、と。
ありのままに全てを話した。
携帯電話を拾得していること、しかもそれは80km離れた場所での出来事だったこと。
何故ここまで持ち歩いたのか聞かれたので、そのまま返答するのは容易だった。
通り道にポリボックスが無かった事、また探し回る余裕が無かった事、そしてそれらは悪意を持ってした訳じゃない事と、今話したことは、こういう可能性が有って他人の携帯を持ち歩く事で何かまずいことにならないかと110番で朝確認済みだと。
少しの配慮で有ったり、待ってて貰えるなら出来る限り車で送らせて貰いますよとか、そういう少しの何かがあればこのスマホは室戸岬まで来ることは無かったのになと思いながら警察に全部を話した。
110番の件と合わせて確認了承を頂き拾得物として預かってもらうことになった。
お礼で一割貰えるがどうするか聞かれたけど丁寧にお断りし、警察官が警ら中に拾った事になるとの事でお願いした上で後処理も全てお任せすることにした。
ふと時計を見ると、17時10分前で一本道を全力で走らないと間に合わない時間になっていた。
結局最後までスマホに迷惑かけられたと思いながら俺は走った。

218 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/20(金) 15:58:06.24 ID:LEfWxie90.net
読んでます

219 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/20(金) 16:01:58.29 ID:zmIykzJi0.net
>>214
いえいえ、聞いてくださった方がスッと納得した上で読んでいただけると思いますので遠慮無くどうぞ。
もう終わると思いますが。

ギリギリ滑り込みこれでハンコは24個。
水も補充出来た。
高知入りも果たし、折角だから美味しいカツオを食べたいなと思っていた。
最御崎寺から望む海は見渡す限り水平線で、斜めから射す夕焼けが反射して真っ赤な海がより一層綺麗に映った。
これはここまで歩いたご褒美なんだと思い、写メる事はしなかった。
しかし、これは景色としては綺麗だが実際問題は厄介な事だった。
今から眠る場所を探さなければいけないのに、海風が吹き荒ぶ海岸沿いでは休めるとは到底考えられなかった。
ありがたいことに時間切れギリギリに間に合ったおかげで次の寺まで進むアドバンテージのカードを引いてた。
気がつけばすっかりと辺りは暗くなっており、全く人とすれ違わないのも怖かった。
港町なのにひっそりとしているのだ。
人の気配を感じられないというか。
加えて最御崎寺で汲んだ水も早々に無くなっていた。
犯人灼かれた体は想像以上に水分を欲しており、無くなってもなお欲していた。
どうするべきか、水を探すのが先か寝場所が先か。
下した判断は寝場所を探すのが最優先で、その上で水も見つかるだろうと考えた。

220 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/20(金) 16:11:34.78 ID:9QrFJXMx0.net
人の少なそうな方へと進み続けると港に出た。
クジラの壁画が大きく描かれた場所に。
開かれた場所で、目の前には何隻も漁船が停まっていた。
ここなら寝れるか、と寝袋を広げた。
しかし水はどうするか、自販機を探すか?と自問し続けた。
じゃあ荷物は置いて行くのか?どれ位で自販機見つかるか分からないのに?無くなったら旅終わるよ?持って歩くのも疲れるよね?そもそも開いた寝袋をもう一回畳むの?行かないのか?じゃあ水はどうするの?
答えなんか無かったし、限界だったのだと思う。
カラカラになった体でこれ以上歩き回る余裕も無かったし、荷物を持ち歩く体力も残って居なかった。
最後の一本道ダッシュで使い果たしてたのだと思う。
スマホを悪意を持って悪意で返したからバチが当たったんだ、そう思えた。
そう考えているうちにも寝袋はぺとぺとし始めていた。
表面はうっすら結露が付き、濡れ始めていた。
潮風すげえとしか言いようが無かった。
俺は携帯を取り出してそばかすに電話をかけた。

221 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/20(金) 16:20:00.09 ID:9QrFJXMx0.net
限界だと訴え、帰る事と今現在の食糧問題について話した上でどうするべきかいうと、お金の心配はしなくていいから旅館に泊まってそれから帰っておいでとの事だった。
そばかすの優しさは三国一だと思う。
すぐに近隣の旅館に電話をして、空室に予約を入れると向かうことを伝えた。
寝袋は無理矢理バックパックに突っ込み急いだ。
到着すると素泊まりしかないと告げられた。
それでも構わないと、しかし食事を朝からしていないから購入できる場所は有るか?と聞くと後ろの棚を指差した。
一個300円のどん兵衛が並んでいた。
300円を支払いどん兵衛片手に部屋に入った。
お湯を手早く入れてお腹を落ち着けると、一息ついた。
腕時計を外すとしっかり焼けていたし、身体中が軋むことにも気付いた。
大浴場で3日ぶりの汗を流すと、ギシギシいう体を引きずって部屋に戻りベッドに突っ伏して意識を失った。

222 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/20(金) 16:27:25.47 ID:9mlaew6L0.net
旅館から出る際に市内に向かうバスの場所を聞いた。
帰るのかと聞かれたので、帰るんです。と答えた俺は満面の笑みだったと思う。
市内に向かうバスはやはり値段が上がり続けたが、焦る事も無かった。
一度経験済みだ。
電車を乗り継いで帰りの高速バスを買い、時間までボーッと過ごしバスに乗り込んだ。
6時間程の道のりだったと思う。
時計を見ると4時間程立っていた、見覚えのある神戸らしい景色の中に徳島銀行が見えた時は背筋が凍った。
え、四国から抜け出せてないの?と。
何度か見直すとやっぱり神戸だったのだけれど。
そこから狐に摘ままれた様な気持ちでそわそわして眠れなかった。
大阪についてバスを降りて漸く安心できた。
迎えに来てたそばかすと家に帰り、そばかすの手厚いマッサージを受けながら眠りについた。

223 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/20(金) 16:33:44.61 ID:9mlaew6L0.net
足の痛みが引かないうちに月が変わろうとしていた。
病院に行くと、剥離骨折との診断だった。
足の甲の筋が剥がれていると。
やっぱり限界だったのだと、途中で挫折した自分を慰めるには充分すぎた。
見知らぬ土地で骨が折れて身動き出来ないなんて笑い話にもならない。
そのまま内科へ、そばかすに首を掴まれ子猫の様に連れて行かれた。
予約を入れられていた。
内視鏡で検査状況を見ると、ガンはすっかり消えていた。
まだ安心できる状況ではないが、現状見当たらないからどうしようもないと。
医師は何度も首を傾げておかしいなぁと呟いていたが、癌が無くなったら困るのか?と少しむかっとした。
そして6月も半ばに差し掛かった深夜、母親からの電話が掛かってきた。

224 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/20(金) 16:35:29.08 ID:MefM4JVG0.net
ひいい・・・骨折した脚でお遍路していたのか・・・

癌、快癒おめでとう!!!!!

225 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/20(金) 16:37:28.65 ID:cF2/Wa9Y0.net
ガンがなくなるとかすげー!
たまに聞くけどすごいな

226 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/20(金) 16:43:51.59 ID:MjCg0mkb0.net
こんな時間に掛かってくるのはいつもろくでもない電話だった。
次男の逮捕の時もそうだった。
気は進まなかったが出るよりなかった。
電話口は嗚咽で、何を言っているのか聞き取ることも困難だった。
が、何度も聞き直しているとようやく把握できた。
長男が死んだと。
全身の血の気が引いた、あーマジか、あー。と薄らぼんやり話を聞いてたと思う。
あまりにも取り乱す母親と、実際そこまで感慨が湧かなかった俺との温度差で聞き出すことも出来なかったし、聞き出せるほど頭も動いてなかったと思う。
10年近く連絡していない喧嘩別れをした奴なんか死んだところでって部分は少なからず有った。
翌朝実家に向かった。
実家近くで母親に電話を掛けるが出ない。家にいるのかどうかすら分からない。
どうするべきか、と癌の話を死にいったときに実父と番号を交換していたのを思い出した。
実父に電話を掛けると、一言目がなんや?だった。
いらっとした心を抑えつつ、なんやじゃ無くて長男が死んだの知ってるんやろ?と聞くと、知ってるけどワシなんも関係あれへんがな、喪主は次男がやるんやからと。
どこまでクズなんだこいつはと怒りを通り越して、よく分からない感情がないまぜになった。

227 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/20(金) 16:53:45.55 ID:z0/QrgDX0.net
警察署に行き、詳しい話を聞くと母親と次男は前日に遺体を確認したらしい。
じゃあなんでその時に連絡して来てないのか疑問では有ったが、別に前以て連絡を受けるような事でもないかとも思えた。
しかしそれぞれが各々の思惑で動きある部分で疎外し排斥し生きているから、ほぼ家族としての形は機能して無かった 。
母親が楔になっているだけで、次男と俺が繋がっているのも時間の問題だと確信できた。
遺体を確認すると、綺麗なピンク色だった。
異様だったのは左目周囲が緑色に変色していたことだった。
酷い痣のような。
誰かに殴られたのか?とも考えたがどうもそうではなかった。
結論から言うと自殺だった。
練炭をホームセンターで購入し、眠剤を飲み車内でそのまま逝ったそうだ。
顔の痣は、眠ったまま死にそのまま血流が止まったことで変色したらしかった。
検視の結果も事件性無しだった。
検視料と死亡届で2万近く取られたと思う。
こんな時でも金かよと事情を聞いていた取調室でうんざりした。

228 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/20(金) 17:03:03.38 ID:B5ytrMp00.net
それからは流れは早かった。
死亡してから発見まで2日近く掛かっており、密室の車内で遺体の痛みが早かった。
そんなにゆっくりと葬式を考える暇も無かった。
ささっと、式と通夜を決め直ぐに準備を始めた。
遺体確認したその日に通夜になった。
俺と次男は貸衣装屋で喪服を借りた。
金があればドライアイスを山ほど使って週末まで持たせられたかもしれない、そんな事すらして上げられない自分の無力さが嫌になった。
しかし、そんな必要も無かった。
弔問客に長男の友人は一人も居なかった。
次男の親友と、次男と、俺と、母親と、4人で遺体を前に通夜の準備を終えた時に次男が口を開いた。
長男はずっと嫁に言ってたそうだ。
子供の時に3人兄弟で遊んでたのがずっと忘れられなかったと。
その時が1番楽しかったんだと、なんども繰り返していたと。
ずっとその思い出が大切で、戻りたかったと言っていた。
次男と俺は恥ずかしげもなく嗚咽を上げて泣いた。

229 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/20(金) 17:09:03.96 ID:B5ytrMp00.net
長男は暴君だった。
親は仕事でずっと居なかったし、3人で一緒にいる時間が長かったから。
言う事を聞かせる方法を暴力しか知らなかったのだと思う。
外でも家でも変われなかったんだろう。
そんな事してたら友達なんか続くもんじゃないし、その結果が弔問客が来ない人生の結果じゃないか。
俺は嗚咽を流しながら、色々な思いが巡っていた。
家族にも友達にも愛想を尽かされたのは自分の責任じゃないか。
俺にとっては辛かった幼少期からの暴力、今だにスイスロールを食べれないのもお前のせいじゃないかと。
変わるための努力もせずに低くへ流れる水のような生活を送ったのも自分のせいだろ、都合のいい思い出に変換するなよ。
それなら生きて変わって酒飲める位にしろよ、じゃあ笑い話にでも出来ただろうが。と言葉にもならない感情で一杯だった。
そこから長男の直近の話になり、理解出来ないことが多々出始めた。

230 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/20(金) 17:11:20.10 ID:ifXWRWiy0.net
長男は弱かったのかな

231 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/20(金) 17:12:47.69 ID:MefM4JVG0.net
長男だからなあ・・・プレッシャーも半端なかったんじゃないかな
笑い話にして欲しかったが

232 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/20(金) 17:22:57.49 ID:XG36alAg0.net
死ぬ前日に嫁に家を閉め出されたらしかった。
そこでもう一度謝りに戻り、玄関の前で土下座をしたらしい。
それでも嫁は許さないと突き放したらしい。
そのままの足で練炭を買って、自殺に至ったのだ。
らしいばかりなのは全て憶測だからだった。
孤独だったのだと思う。
長男にとって生きることは辛く苦しい事だったのだろう。
実父と次男には仕事をしろと急かされ、だからと言ってサポートを貰える訳でも無かった。
通夜会場に現れた普段着の実父にそれを聞くと、ワシも何回も口利いたったんやぞ。しゃあけど長男は辞めるし迷惑掛けるし、顔潰されたおしてたんや。と。
仕事に金がいると言っても頑張ったら貸したると言ったとも自慢気に語った。
こいつも長男を間接的に殺した犯人だ。
困ってる時に金貸すくらい出来なかったのか、家族と娘が居ても長男も実子じゃないのか。
次男も同様だった。仕事しろよと説教する割には言うだけだったらしい。
出所してきた犯罪者を雇ってくれる口利きしてもらったのに、喉元過ぎればもいいところ。
最後には飛んで顔を潰して行ったくせに。
それでもその後に俺がオーナーに可愛がって貰えたのも、潰れる程度の顔で仕事なんかして無かったからだと自負できていた。
こいつら両方自己弁護に言い訳のオンパレードのクズやんけと思わざるを得なかった。
宇宙人と話してるようだという言葉が初めて理解出来たと思う。
長男は認められたかったのだと思う、世間に置いていかれて弟に追い越されて、自分の我慢の無さにも焦っただろうしなんとかもがいていたが蜘蛛の糸はおりて来なかった。
トドメが最後の近しい人の嫁の拒絶だったんだろう。
これが長男なりの精一杯の恨み返しだったんだと思う。
そう思うことで助けられなかった俺自身の後悔を誤魔化しているのかもしれないとも思う。

233 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/20(金) 17:36:10.89 ID:XG36alAg0.net
通夜はそれなりに次男の友人達が来てくれたおかげで騒がしくして上げられと思う。
俺はそばかすに電話をして、遍路で判子を押してもらった白衣と経を持って来てもらうようにお願いした。
そばかすは二つ返事で俺の家へ行き方向が真逆の会場に荷物を届けてくれた。
因果な物だった、自分が死ぬために作った死装束を兄貴に着せる事になるとは夢にも思わなかった。
無宗教というのも有ったが、金がないのは一番だったので坊主は呼ばなかった。
代わりに俺が経を読んであげた。
門前の小僧だ。
弘法大師の為に一週間毎日寺毎に2回お経を上げ続けたのがこんな時に役に立つなんて。
酒を飲み客は騒いだ、俺は朝から動き回り疲れていたのか酒の回りも早く一足先に休む事を告げ、弔問客にお礼を述べた。
翌日の送別には、俺の友達も来てくれて色々と雑務手伝ってくれた。
焼香が終わり、最後のお別れの時だった。
姿の見えなかった次男が俺を呼び、外の車を動かしてくれと言ってきた。
その小脇には、ボロボロのパジャマのおばさんが抱えられており、俺の世界で一番嫌いな過呼吸を繰り返す系女子だった。
過呼吸という言葉を作ったやつを俺はしこたま殴ってやりたい。
せっせと息吸って吐いてを繰り返すだけで心配してもらえるなんて浅知恵を女が持ったのはお前のせいだと殴ってやりたい。

234 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/20(金) 17:48:22.19 ID:HgNSYA3+0.net
車を駐車場に停めて部屋に戻ると女が棺桶の横で騒ぎたおしていた。
もう俺はお腹いっぱいだった。
一応スーツを着ているが青いスニーカーの実父。
母親との長男への接し方を見ても明らかだった。
母親は何度も長男の頬を撫でていた、愛情なのだろうと感じられた。
実父はデコを何度も人差し指と親指で挟むだけだった。
母親に対抗心を燃やして触っては見たけど、どうやって触っていいのかわからなのが手に取るようにわかった。
実子の葬式でもちゃんとした格好も出来ないクズの血が溜息をつかせた。

棺桶横で騒ぐ女は地団駄を踏みながら延々文句のオンパレードだった。
あんたが!また勝手して!逃げて!どうすんの!子供達!どうしたらいいの!私一人になるやん!逃げんな!好き勝手して!都合悪くなったからって!逃げんな!子供達!どうするんよ!ふざけんな!帰ってこい!逃げんな!
というようなことを泣き叫びながら騒ぎ続けた。
おかしな話です。
ここまで家から車で20分程度だし、ギリギリまで葬式出たくないと言ってた方が、出棺ギリギリに自分で車を運転して、会場に横付けはしたけど、自分一人で降りれなくて、次男に連絡して抱えて貰えなかったお方が騒いでいるのだから。
随分と用意されたドラマチックだし、こんなもん今北川悦吏子も書きませんよ。
俺から言わせれば、一番の犯人はこいつだ。
なぜそこまで悲しんだりするなら拒絶したのか、長男は嫁にベタ惚れだったらしい。
それを知ってて好き勝手にコントロールするために拒絶したんだろ、どちらかが謝る度にパワーバランス変わるもんな。
許してあげた方が偉くなるもんな。
ふざけんなよ、ただの悲劇のヒロインごっこやんけ。
それで兄貴を出しにするために殺されてたらたまったもんじゃないわ。
ま、死んだのは本人の責任だけどね。

235 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/20(金) 18:01:11.19 ID:ifXWRWiy0.net
頭痛くなるね

236 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/20(金) 18:03:19.50 ID:cQvPMRcF0.net
落ち着いた嫁を引き剥がし、次男にお守りをさせると出棺に移った。
焼き場につき、焼き始めると3時間ほど時間が余った。
嫁は着いてきてた。
一人にすると何するか分からないとか、俺には分からない話だった。
皆でファミレスに行き、嫁は車に残して小1、2時間程ゆっくりしてたと思う。
外は雨だったし、涙雨だななんて談笑しながら。
外に出ると車に置いてきた嫁が外に出て生垣のへりに座ってずぶ濡れになっていた。
どんだけ可哀想な自分を演出するんだよ、蜷川幸雄もビックリの演出家だなとドン引きしてしまった。
骨は小さい骨壷2つに分ける事になった。
一つは母親が、一つは嫁が持ちたいと言ったらしい。
全てが終わった、次男は初めのうちは嫁の面倒を小まめに見に行ってたらしいがそのウチに愛想も尽きたようで今はあんまり嫁と連絡をとっていないらしい。
エキセントリック過ぎるからな、あの嫁。
結局1年経った今、実家に小さく手製で作られた仏壇に今も骨壷は2つ並んでる。
ま、こんなもんですわってのが正直な感想。
今は次男はフィリピンに語学留学がしたくて金を溜めているらしい。
ハッキリって何のために語学を習得しに行きたいのか理解不能だ。
別に英語できるからって仕事出来るようにはならないし、その線で稼ぐなら教員だけじゃなく私塾の職員でも必修になる英語を教えるとかなら分かるけどね。
っていうか、刑務所に入ってた時に散財させられた分を俺と母親に返して欲しい。
母親は先も有るから猫を飼おうか悩んでたけど、後の面倒は見てあげるから飼いなと背中を押しておいた。
俺はそばかすとそれなりに仲良くしてる、8年を超えて結婚も考えてるけどなにしろ無職だからね。
そばかす曰く才能についていってるだけだからって言葉を信じてなんとか何かを形に出来ればいいなと思ってる。

3日間ほどお付き合い頂きありがとうございました。
これにて終了です。

237 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/20(金) 18:11:04.03 ID:MefM4JVG0.net
おつかれさま

お遍路みたいな人生だな
長兄さんは>>1のガンを持っていってくれたのかな、とちょっと思った

238 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/20(金) 18:12:40.83 ID:ifXWRWiy0.net
おぉ。お疲れ様!
良かった、そばかすと続いてるのか。

239 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/20(金) 18:15:09.21 ID:d4OxFLT3O.net
>>236
乙でした
2つに分けた骨壷が2つとも>>1のご実家にあるという事は
長男のお嫁さんは持ちたいと言いながら持って行かなかったって事?

240 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/20(金) 18:19:59.45 ID:MefM4JVG0.net
>>1はどうして半生をつづってみようと思ったんだ?

241 :からあげくん ◆ZOigNAXyD2 @\(^o^)/:2014/06/20(金) 18:25:32.85 ID:cQvPMRcF0.net
>>240
ご明察です。
泣いて叫んで喚いて、多くの人間に迷惑を掛けた挙句がこれです。
気持ちが有ってする人間の行動じゃないですよね。
ま、後悔も知らず甘えて生きてきた奴なんてこんなもんですわ。って感じですね。

>>240
思い返すと結構ガチャついてて中々出来る経験して来てないなーって感じで書き出して見ました。
自殺から1年経って、お遍路もそうだったけどどんだけ懇願しても助けてもらえない時はあるし、そんな時でも経験と知恵が有れば乗り越えられると思うし最後に頼るべきは自分なのだと思います。
それらの再認識の為に書いた次第です。

242 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/20(金) 18:33:25.15 ID:cSoUVent0.net
なんつーか読んでて思ったが実父に執着し過ぎじゃね?
自分の親も離婚再婚してるがとっくの昔に離婚して何十年も会ってない元父を頼ろうだとか関わろうって気にすらならんわ
新しい家庭築いてんなら尚更

実父のせいとでも思わないとやってられないんだろうが正直登場人物みんな自業自得な部分あるような
まあ幸せになれよ
お疲れ様

243 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/20(金) 18:37:25.61 ID:9CRnrrOb0.net
そばかすさんの包容力に脱帽だわ
んで>>1は今何を目指してるの?

244 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/20(金) 18:39:32.48 ID:hfD380Dt0.net
>>1
お疲れ様でした。色々なことがあって、生まれながらに不遇だったね。

神様は不公平だとかよく言うけど、私は辛い思いを乗り越えた人には後々大きな幸せが訪れるんだっていう説を信じてるんだ。

絶対に何があっても、お兄さんみたいに命を投げないでね。そばかすさんの為にも。

245 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/20(金) 18:58:12.45 ID:z1EgP4080.net
>>242
この家に生まれたのが自業自得だと言うので有ればそうなんでしょう。
旅行や小遣いをぶら下げて長男次男誑かした結果恨まれてもしょうがないと思っていますよ。
結局僕自身もまともじゃないかもしれないけれど、自分の欲得だけで動く様には育ってませんし、それは僕だけが実父を信用せずに幼い時に会うことを辞めたからだと思いますし。
3人とも育てられたベースは同じだし、サンプルとしては少ないけれど、明確に違うのは実父と連絡を取り続けたか否か程度だと思います。
結局人参ぶら下げられて食いついちゃう時点で生まれ持った人間性なのだとも思いますが、感情論ですよ。
ただ憎いだけです。
執着しすぎって言えるのは本人じゃ無いからです。
そばかすも執着しすぎって言いますけど、アイデンティティが揺らぐ程のクズがルーツっていうのは自我が強ければ強い程に憎いんじゃないでしょうか。

246 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/20(金) 18:59:03.16 ID:AXWcFAdi0.net
http://wc2014.2ch.net/test/read.cgi/seikei/1396051288/l50
              ↑
整形ゴミ女スレに  整形女死ね とレスしましょうヽ(´▽`)/
ヽ(・∀・)ノ(´・ω・`)ヽ(`Д´)ノ

247 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/20(金) 19:03:01.07 ID:MefM4JVG0.net
>>241
うまく言葉にできないのだが、
>>1は落ち度がなさ過ぎるのではないかな

最終的に頼れるのは自分だけと、実際に自力で修羅場をくぐり抜けて来た強さと実績が
人の甘えや弱さを憎んでしまうのだろうと思ったよ

そして甘えを許さないが故に、誰も手助けできないレベルまで、
自分を追いつめてしまうのではないかなとも思う
骨折した足でお遍路を続けていたみたいにな

今までは生きていくために、そんな無茶も必要だったんだろうけど、
少し頭をゆるめて、自分自身も労って欲しいわ

まあ、そばかすさんがそばにいるから心配はしてないがなw

248 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/20(金) 19:04:14.12 ID:cMoVoNyq0.net
でも親との関係が癒されると、幸運の波に乗れるっていうよ。

サイテーな親なのは重々把握したけど>>1には幸せになってほしい。そんなバカ親父に自分の幸せを委ねてちゃもったいないよ。

249 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/20(金) 19:16:49.90 ID:5OkhVtJe0.net

すごい人生だなー
俺には耐えきれないと思う

ただ誤字が多すぎて読みづらかった

250 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/20(金) 19:28:45.94 ID:W1yXwUpV0.net
乙です なんだか他の人の何周分もしたくらい濃い人生だね
酸いも甘いも、の酸いばっかり味わってる感じだからこれからは穏やかに過ごせるといいな
しかしお金を稼ぐ方法をいろいろ思いつくのと、行動力・決断力がすごい

251 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/20(金) 20:32:48.73 ID:lwfFmnZc0.net
こんな環境で、よくこれだけの語彙を身につけたね
そばかすが言う才能ってその事?

252 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/20(金) 21:00:29.46 ID:aNXIvPHY0.net
>>251
全く同感
はんぱな小説より読み応えあったし
内容もビップラでするには濃厚だった
しいてあげれば花村萬月に似ているか?
才能あると思う
>>1読ませてくれて有り難う
乙でした

253 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/20(金) 21:30:00.36 ID:LEfWxie90.net
濃い人生だったわ



254 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/20(金) 22:40:55.53 ID:xNWIh7Pc0.net
全レスはあまり好きじゃ無いので、かと言ってかいつまみスレでスルーされるのも嫌いなので一度だけ。
>>238
ありがとうございます。
長兄はそんな殊勝な事をする人間では無いです。
強いて言うならそばかすの愛情か、無理矢理病院に連れて行かれるストレスを体が嫌って治したのだと思っています。
>>238
ずっと仲良しです。
8年目なのに一ヶ月目みたいにキャッキャしてます。
ふふふ
>>243
僕も脱帽です。
作家になれればいいなと思っています。
が、出版業界も結構先細り感が凄いので今年1年で受賞出来なかったらまた何か考えます。
そばかすを待たせ続けるのも申し訳ないので。

255 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/20(金) 22:52:20.44 ID:8T74aeme0.net
>>249
そんな良い物では無いと思いますよ。
労いっぱなしのいたわりっぱなしですし。
自分に甘く人に厳しいから余計に人に求める量が増えて自分の首を絞めてるのかな。
優しい言葉痛み入ります。
ありがとうございます。

>>249
ええ、しかし俺の最後の目標は実父の後悔を見ることなので死ぬ前に僕を産み落とした事を後悔させますよ。
我が子を食らうサルトゥヌスじゃ無いですけど、息子に討たれるのは悔しいでしょうね。
時代的に持ち家買うのがステータスだったのでしょうが、遺産相続の時に相続分をしっかり巻き上げてマンション売ってフィリピン人と娘を家なしにしてあげます。
成功したせいで嫁も娘も足を引っ張られると知ったらどんな顔をするでしょうね。
娘は大学に奨学金で行っているし、現金は無いでしょうから楽しみです。

>>249
多分あなたの人生も他人が聞いたら、すげぇなぁって言うと思います。
でもそれが普通で過ごしてきたでしょうし、そんなもんだと思いますよ。
機会があれば是非ビップラで再会しましょう。
誤字脱字はiPhone+酔ってたりするので申し訳ないです。

256 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/20(金) 23:05:37.61 ID:8T74aeme0.net
>>253
そばかすが人生に於ける甘いで有るなら、バランスは取れてると思います。
お金はタイミング良く商材が有っただけなんでしょうね、才能があったら長く搾り取れていたのかもしれません。
ありがとうございます。

>>253
彼女が言う才能ってなんなんでしょうね。
俺もよく分かっていません。
4次元の考察を繰り返し、3次元に時間軸を加えて仮説を立てたのですが、14歳の時の仮説が100年前アインシュタインが出したてたんですよね。
そんな小さい事の積み重ねだと笑うだけで教えて貰えません。
文献を読み漁って内に立てた仮説なので何処かで目にした物を自分の仮説だと思い込んで書きなぐっただけかもしれませんが。
そういう事の繰り返しで語彙は身に付いたのだと思います。
知識は重くないので持ち歩くには最適です。

>>253
ありがとうございます。
掛けて頂けた言葉を誇れるようにデビュー出来るように邁進したいと思います。

>>253
面白い人生だと笑っていただけたのであれば救われます。
乙ありです。

257 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/20(金) 23:10:49.44 ID:8T74aeme0.net
途中で読んでるよと声を掛けて下さった方、最後まで読んでくださった方。
本当にありがとうございました。
お陰様で救われましたし、自分の中で一つ整理出来たと思います。
実父への恨みも、そばかすへの愛情も、自分の未熟さも、思い通りに行かないこの世界も、電子の世界で3日間だけ付き合って頂けた画面の向こうの人達も、抱えて歩くには物足りません。
全部認めて、もっと面白い人生になればいいと思います。

では名無しはこれにて消えます。
ありがとうございました〜。

258 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/21(土) 02:18:26.52 ID:/L8YrChs0.net
こちらこそ、楽しい3日間だった。
お疲れ様でした!

259 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/21(土) 04:31:51.30 ID:tTvzq97N0.net
自分と全く異なる生き方をしてる人がいると実感した。生まれもった環境は選べないけど恨みを根底に生きるのは少し悲しいかなと思う。
許せる心って人間一番美しいんですよと俺の上司が言ってた。誰の言葉かわからないけど俺は感銘を受けた。
そばかすさんと幸せになってほしいな。がんばって。

260 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/21(土) 06:08:25.39 ID:KC2L30OM0.net
>>259に同意。
憎しみや復讐心よりも大切にしなきゃならないことがある。みんなそれを味わう為にこの凄惨な娑婆に生まれ落ちた存在。

お遍路に行った>>1なら、きっと何処かで気付いているはず。
皆苦しみを乗り越えて心から笑う為に
そうやって魂を成長させる為に生まれて来たんだよ。
試練が多い>>1は神様仏様から多大なチャンスを与えられ、実は寵愛を受けている存在。

261 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/21(土) 16:11:18.24 ID:RsdfFVi20.net
今読み終えた
すごい人生で興味深かった
楽しませてもらったよ
>>1乙でした

262 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/21(土) 21:58:36.40 ID:1+fUIbAs0.net
今が少しでも幸せならいいな


263 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/23(月) 14:20:41.59 ID:k01Kysuq0.net
今読み終わったー
全てを許せるゆとりを手に入れた時に>>1の人生は上向くんだろうなー
遍路もいつか結願してくれることを望むよ

264 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/23(月) 18:34:11.38 ID:UFGIjkmW0.net
おい>>1よ。サ○○よ。
こんな関係者が読んだら丸わかりなこと書くなよ

しかも書くならちゃんと犬の事も書け

265 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/24(火) 00:38:28.33 ID:vAOk4Fkr0.net
お尻合いキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

266 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2014/06/24(火) 14:01:55.97 ID:IATTy84B0.net
昨日ニュースでお遍路さん特集していたから、真剣に見てしまった

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