女子大生が車中泊のための簡易ベッドを考案 [609535295]

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熊本市出身の静岡文化芸術大（浜松市中区）デザイン学部三年の杉本若菜さん（２１）が、自動車内で簡単に使える段ボール製の簡易ベッドを考案した。
熊本地震で家族が被災し、車中泊で苦労した経験を基に思い付いたアイデアを実現させた。　（石川由佳理）

完成したベッドの名前は、車中泊からとった「しゃちゅうパック」。
ワゴンタイプの普通車を想定し、広げると幅九十センチ、長さ百六十センチと、女性や子ども二人が足を伸ばして寝られる広さだ。
両側には高さ五十センチの壁をつくり、外からの視線を遮る。
二～三分で縦七十八センチ、横九十センチのバッグ型に折り畳むことができ、避難所やアウトドアでの利用もできる。

熊本地震では、避難所での対人関係などをストレスに感じ、車内での寝泊まりを選ぶ人が多かった。
長期間に及ぶ車内生活の影響で、静脈に血栓ができる「エコノミークラス症候群」で亡くなる人もいた。

杉本さんの実家は震度７の揺れに見舞われた益城（ましき）町に近く、たんすや食器棚が倒れて階段も壊れてしまった。
「家が倒壊するかもしれない」と両親と祖父、弟の四人は、普通車二台に分かれて家の近くで車中泊を続けた。

両親は運転席と助手席の背を倒して座って寝ていたが、余震の恐怖に加えて、窓ガラス越しの視線が気になり、安心して眠れなかったという。
五日目には両脚がむくんでエコノミークラス症候群の危険を感じ、家族で旅館に移った。

杉本さんは、家族から車中泊で困ったことを聞き取り、後部座席を前に畳んで設置できるベッドを考え始めた。
既存のマットレスは厚みがあって寝やすいが、車内ではかさばってしまい、視線を遮ることもできない。
十分の一サイズのミニチュアを二十パターン以上作って研究した。

「地震が起きても家族のために何もできなくて、もどかしい気持ちだった」という杉本さん。
「少しは役に立つ物ができたかな」と話し、ほっとした表情を見せた。

指導したデザイン学部長の伊豆裕一教授（５９）は「基本の構造はよくできている。
厚みのある段ボールで強度を高めるなど、商品化を目指してさらに完成度を上げていけたら」と話した。

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