【芸能】引退の成宮寛貴に“生みの親”宮本亜門が伝えたかったこと

鉄チーズ烏 ★＠＼(^o^)／

　「今年はＬＧＢＴの年」とおっしゃったのは演出家の宮本亜門さん。その亜門さんが演出するミュージカル「プリシラ」が東京・日比谷の日生劇場で上演中です。アカデミー賞の衣装デザイン賞を受賞した映画のミュージカル化なので、物語はご存じの方も多いかもしれません。

　舞台はオーストラリア。シドニーに住むドラァグクイーンのティック（山崎育三郎さん）が仲間のアダム（ユナクさん、古屋敬多さんのダブルキャスト）、バーナデット（陣内孝則さん）とともに、砂漠の真ん中にある街のカジノでショーをするため、バスで珍道中を繰り広げます。

　主人公のティックは妻子がいながら、自分の性的志向に悩み、妻と別居してドラァグクイーンとして生きる道を選びます。陣内さんふんするバーナデットは、かわいいワンピースを着こなし、若い２人を見守る様子には母性すら感じます。

　良いことばかりが起きるわけではありません。自分と違う「異質」な存在を許せない人は世の中に一定数いて、バスがいたずらに遭うなど、３人は嫌がらせも受けます。それでも周囲の人たちの優しさに触れ、新たな人間関係も芽生え…。結末は２９日に千秋楽となる舞台で確認してください。

　さて、この舞台が開幕した日、１人の俳優が芸能界を引退しました。くしくも亜門さんの手がけた舞台でデビューした成宮寛貴さんです。雑誌に薬物使用疑惑を報じられ、完全否定。ところが、薬物使用の“証拠”を雑誌社に持ち込んだ親しい友人との生々しい会話が表に出ると、突如、引退を発表してしまいました。

　成宮さん直筆のメッセージには「この仕事をする上で人には絶対知られたくないセクシャリティな部分もクローズアップされてしまい」とありました。薬物使用疑惑に関しては、自分で身の潔白を晴らすほかありません。しかし、メッセージを読む限り成宮さんが気にしていたのは薬物よりもセクシャリティーを含めたプライバシーのようです。

　舞台「プリシラ」で主人公のティックは、アダムやバーナデットに、既婚であることや子供がいることを必死に隠します。ティックは「男性」であり、女性と結婚するのは「当たり前」なのに、です。ティックにとって、異性と交際し子供もつくったというのは、ドラァグクイーン仲間には絶対に隠したいこと。それなのに、息子に対しては自分や仲間がドラァグクイーンであることを必死で隠すのです。相手が変われば秘密にしたいことがまるで変わります。

　変わるといえば、３人が旅するバス「プリシラ号」は、海外ではピンク色だったといいます。しかし、亜門さんは日本での上演に当たり、ＬＧＢＴのシンボル色であるレインボーに変更。フィナーレでは、出演者が客席に向かってレインボーの旗を振ります。

　この世にはあらゆる色があり、どの色も等しく輝くべき存在である。自分とは違う趣味や嗜好を、「変」なものと排除してはならない。客席にこんなメッセージを発した亜門さんは、海外にいると伝えられる成宮さんにも同じメッセージを伝えたかったに違いありません。（み）

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　演劇大好きなアラフォー根無し草。そろそろ世界放浪の旅に出たい。

【ｚａｋ女の雄叫び】取材や日常…。女性記者２１人が月ごとのキーワードで本音を綴るリレーコラムです。１２月のお題は「変」です。

2016.12.26
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