【必殺５０年　心に残る殺しの美学】「必殺シリーズ」の魅惑的な女たち　殺しの元締め！山田五十鈴が「静」なら京マチ子は「動」 [朝一から閉店までφ★]

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2022.10/26 06:30

悪代官に狙われたり、したたかに男をだましたり、身を売って殺しの資金を工面したり、「必殺シリーズ」には魅惑的な女が多く出てくる。中でも存在感が抜群なのは、殺しの元締めを演じた大女優たち。

「必殺必中仕事屋稼業」の飛脚屋の女主おせい（草笛光子）は裏では知らぬ顔の半兵衛（緒形拳）と遊び人の政吉（林隆三）に殺しの依頼をする元締め。実はおせいは政吉の実母だが、侍崩れの政吉は事実を知らず、幻の母の懐剣で仕事をする。いつも冷静なおせいが、政吉が自分たちをかばって自死したと知ったときに見せた哀しみの表情は忘れられない。

山田五十鈴もシリーズを代表する元締め。「必殺からくり人」の花乃屋仇吉、「新・必殺からくり人」の泣き節お艶、「必殺仕事人」のおとわといろいろな役名で登場、中でも三味線屋のおりくは、血縁のない勇次（中条きよし）から母と慕われ、顔役の一人となった。

「必殺仕事人Ⅲ」では順之助（ひかる一平）に「余計なことを考えずに勉強おし」とぴしゃりと言い切る母親的貫禄、バチで相手を仕留める鮮やかさ、霧雨の夜に漂わせる緊張感と色香、さまざまな味を出した。

関係者によると「ベルさん」こと山田の「きれいに撮ってよ」の言葉で現場が引き締まったという。その美の源は、ライトを通常の３倍ほど使って縦横斜め、ていねいに当て、そこから絞って撮る。緻密な手法だった。

おせいやおりくが「静」の元締めならば、「必殺仕舞人」の坂東京山（京マチ子）は「動」の女元締め。民謡手踊りの師匠として女旅一座を率い、晋松（高橋悦史）、直次郎（本田博太郎）と悪を葬る。

凝った撮影法とは対照的に、地味で映像もフラット、わざとどこにでもいるような雰囲気を出したのが、「翔べ！必殺うらごろし」のおばさん（市原悦子）だ。オカルト要素満載の異色作のレギュラーは、太陽信仰の行者（中村敦夫）、怪力の男装娘（和田アキ子）、流れ巫女おねむ（鮎川いずみ）、情報屋の正十（火野正平）と記憶喪失のおばさん。
火野以外、本名すらない。殺しの技も異色で、おばさんはぶつぶつ言いながら、すれ違いにあいくちを突き刺す。ケレン味も荒唐無稽もアリの必殺の中で、市原の演技はあまりに自然で怖い。個人的には「必殺第４の大女優」と呼んでいる。　（時代劇研究家・ペリー荻野）

https://www.zakzak.co.jp/article/20221026-5CXLGDI4YJP4NAZQ36F52F37ZI/2/

■必殺仕事人　１９７９年５月１８日～８１年１月３０日、全８４話。必殺仕舞人　８１年２月６日～５月１日、全１３話。

■翔べ！必殺うらごろし　７８年１２月８日～７９年５月１１日、全２３話。

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