「一体、どうすれば・・・」　テイクアウトと言って購入した客が突然店内で飲食、外食業界が軽減税率の対応に苦慮 [548319141]

http://www3.nhk.or.jp/news/business_tokushu/2016_0401.html

外食業界に危機感

１年後、来年４月に予定されている消費税率１０％への引き上げ。これにあわせて飲食料品などを対象に「軽減税率」を導入することなどを
盛り込んだ税制改正関連法が３月２９日に成立しました。
これを受けてスーパーや飲食店では、システム対応など準備を急ぐことになりますが、このところ与野党から消費税の増税延期を求める声が上がり、
どこまで本腰を入れて進めればよいのか戸惑いも広がっています。そして、実際に増税延期となった場合、どのような影響が生じるのか。
経済部・税制担当の楠谷遼記者と流通業界担当の加藤誠記者が解説します。

軽減税率の準備急ぐスーパー
「想像はしていたけれど、こんなにやることが盛りだくさんとは」。
東京・足立区のスーパーマーケットを取材に訪れたとき、店の担当者は私にこうつぶやきました。このスーパーでは、
軽減税率対象の「飲食料品」のほか、対象外の「日用品など」も販売しています。このため消費税率８％と１０％の両方に対応するため、
さまざまな準備をする必要があるのです。

そこでまず取りかかっているのが、レジや商品発注のシステム改修です。店の担当者はレジメーカーを訪ねて、
改修にかかる費用や今後のスケジュールについて打ち合わせを進めています。メーカー側から示された見積もり額は
、システム全体で３０００万円余り。政府が中小企業向けの補助の上限としている合計１２００万円を大きく超え、店の年間利益が吹き飛ぶ程
の大きな額だといいます。
準備が必要なのはシステム改修だけではありません。軽減税率の対象になるのかどうか判断が難しい商品も想定されるなかで、
客からの問い合わせに的確に答えられるよう従業員教育も必要です。さらに、客の混乱を防ぐために、売り場のレイアウトを変えることも検討しているといいます。
「ベニースーパー」の赤津友弥さんは、「軽減税率が導入されたときに現場が混乱してお客様に迷惑をかけるのがいちばんよくない。
やるべきことを一つずつ確認して、できるだけ早く準備を進めていきたい」と話していました。

一方、軽減税率の導入に危機感を募らせているのが、対象から外れた外食業界。軽減税率が適用されるコンビニやスーパーの弁当や
総菜などとの競争で不利になるからです。

そこで、外食各社が取り組もうとしているのが「持ち帰り」の強化。同じメニューでも、店内で食べれば１０％の消費税がかかりますが、
持ち帰りであれば、軽減税率の８％が適用されるからです。

大手ハンバーガーチェーンが検討を始めたのが、インターネットによる注文の強化です。事前にネットで予約すれば、
指定した時間に商品を受け取れるこのサービスでは、利用者のほとんどが商品を持ち帰っているからです。
具体的な強化策としては、ネット予約だけに付与されるポイントサービスや、ネット専用のメニューの導入を考えていくということです
さらに、座席を置かない「持ち帰り」専用の店を出すことも検討したいとしています。

「一体、どうすれば・・・」
対策に乗り出す外食各社ですが、別の課題にも直面しています。商品を持ち帰るとして８％の税率で購入した客が、
突然、店内で飲食を始めた場合への対応です。

財務省は、「外食」に当たるかどうかは「販売の時点」で判断するので、この場合も軽減税率の対象のままだとしていますが、
こうしたケースが相次いだ場合、どう対応すべきなのか、頭を悩ませているのです。
大手ハンバーガーチェーン、モスフードサービスの川越勉ブランド戦略室長は、「さまざまなケースを想定してマニュアルを作ることになるが
、一度代金を支払った客に対し、追加で請求するというのは現実的ではなく、どう声をかけたらよいのか難しい問題だ。
困った法律が出来てしまったというのが正直な感想だ」と話していました。

「一体、どうすれば・・・」 テイクアウトと言って購入した客が突然店内で飲食、外食業界が軽減税率の対応に苦慮 [548319141]

「一体、どうすれば・・・」　テイクアウトと言って購入した客が突然店内で飲食、外食業界が軽減税率の対応に苦慮 [548319141]