【ルーピー】「香港人権法」を批判する鳩山由紀夫と、「元首相」を利用する中国

Felis silvestris catus ★

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191206-00000003-courrier-cn

首相在任中から浮世離れした言動がたびたび物議を醸し、ネット世界で「ポッポ」「ルーピー（loopy：風変わりな、の意）」などのニックネームで揶揄されることも多かった鳩山由紀夫（72）。

2013年に政界を引退した後も、精力的に訪中・訪韓を重ねながら、自由奔放な発言を繰り返している。最近では、トランプ米大統領が署名したばかりの「香港人権・民主主義法」を中国の立場に立って公然と批判したが……。
「香港人権法」を批判する鳩山由紀夫と「元首相」を利用する中国

従都国際フォーラムに参加した鳩山夫妻と潘慶中・北京師範大学教授（右）　Photo：北京師範大学新興市場研究院
繰り返される「中国絶讃と米国批判」

広東省広州市北西部の山間にあるリゾート地で12月1～2日、習近平国家主席は、海外の元指導者や識者を招いた「2019従都国際論壇（従都国際フォーラム）」を開催した。今年のテーマは「多国間主義と持続可能な発展」。日本からは鳩山由紀夫元首相が招かれ、鳩山氏は2日午前に開かれた分科会で登壇した。
中国共産党機関紙・人民日報系の「環球時報」によると、鳩山氏は香港デモについて、「香港の自由を求める若者たちの背後には確実に米国の干渉がある」と持論を展開。米国の「香港人権・民主主義法」についてもその背景や意義を斟酌することなく「中国への明白な内政干渉で、米国による覇権を終わらせるべきだ」と断じた。

鳩山氏はさらに「米国という一国の覇権時代は必ず終わらせなければならない」「米国は高度経済成長中の中国に対し、かつて日本にやったことと同じような貿易戦争を仕掛けている」と主張。「中国は米国と拮抗し得る超大国だが、中国の指導者は衝突を望んでいない」と中国を勝手に代弁（？）し、「多国間主義の維持におけるこれまでの中国の貢献」を繰り返し高く評価した。

さらに鳩山氏は国際間の紛争の解決手段について、遠回しに米国主導の国連が本来の役割を果たしていないことを憂慮し、「国連ではなく、むしろ紛争当事国が近隣の国・地域と連携して、迅速に問題解決できるメカニズムを形成するべきだ」と指摘。かねて提唱している中国、韓国、日本と東南アジア諸国の「東アジア共同体」構想を持ち出し、「この構想には習近平主席や李克強首相もたびたび言及している」と強調した。

──「鳩山」の二文字が無ければ、中国の指導者のスピーチとして読んでも全く違和感の無い内容だ。「環球時報」も鳩山氏を「中国に対する米国の挑発的な行動を露骨に批判した」大人物と持ち上げている。

米連邦議会は10～11月、「香港人権・民主主義法」を上下両院で相次ぎ可決した。これは文字通り、香港人が反政府デモを通じ、命を懸けて守ろうとしている人権と自由、民主を外部の目からチェックするためのもの。法律には、連邦議会が米政府に、中国が香港に高度の自治を認めた「一国二制度」が守られているかどうか毎年検証することを義務付け、香港で人権を侵害している者に対して入国禁止や米国資産の凍結といった制裁を科す内容が盛り込まれた。

11月27日の大統領署名を受けて同法は発効したが、中国政府は「内政干渉」と猛反発。米中対立の新たな火種となっている。

鳩山氏は戦後日本のリベラルを象徴する「反米左派」の代表格として知られ、「米国依存からの脱却」「グローバリズムよりリージョナリズム」という、やや色あせ気味な主張は彼の“お約束”だ。その意味では主張にブレが無いとも言える。

同じ12月2日、鳩山氏は中国国営通信・新華通訊社のインタビューにも応じ、中国について「常に一国による覇権主義に反対し、全ての国・地域が平等に協力し合う環境の構築を主張するとともに、多国間主義の維持に模範的な役割を果たしてきた」「国内の貧困解決に向けた投資に注力し、目覚ましい成果を挙げた」と評価。

習近平主席が提唱する中国を中心とした新経済ベルト構想「一帯一路」についても、近年は中国が新興国を借金漬けにする「債務のワナ」との批判も広がる中、「発展途上国に開発の機会を提供し、沿線国・地域の人々の生活を大幅に改善し、世界レベルで脱貧困の達成を推進している」と絶讃した。

（略）