【望月衣塑子】ナイナイ岡村・風俗発言への批判は単なる個人攻撃ではない　女性差別を直視せず問題をすりかえていいのだろうか [鉄チーズ烏★]

鉄チーズ烏 ★

　お笑い芸人「ナインティナイン」の岡村隆史さん（４９）が、「コロナが明けたら短期間だが美人さんがお嬢（風俗嬢）やる。金を稼がないと苦しいから」とラジオで女性蔑視の発言をして問題になった。この発言に、大学生らが謝罪や司会を務めるＮＨＫ番組の降板を求める署名活動を展開したところ、逆に芸人仲間や一部メディアから「過度な制裁では」と批判の声が上がった。だが、女性差別を直視せず、岡村さんへの批判を「個人攻撃だ」と、問題をすりかえていいのだろうか。

　＜日本の性風俗産業は長年、海外でも問題視され、東京には五千人超、全国で約十七万人の中高生が何らかの形で売春をしている＞。大学生らが運営する一般社団法人「Ｖｏｉｃｅ　Ｕｐ　Ｊａｐａｎ」は、厚生労働省のシンクタンクの統計などを示しながらサイトで署名活動を始め、賛同者は二万二千人を超えた。

　代表理事の山本和奈さん（２２）は「発言は若者の貧困や男女格差が進む日本社会の中で出た。岡村さん一人の問題ではない。でも多くの大手メディアの反応は鈍かった。これではまずいと思った」と署名活動を始めた動機を明かす。

　「個人攻撃が目的ではない」。若者らは口をそろえる。一方で「発言を容認するかのようなメディアや社会に衝撃を受けた」（児玉実央さん）、「お笑い界やメディアの女性差別、風俗産業への考えや意識を変えてほしい」（山下チサトさん）との声が多い。岡村発言を受け別の署名サイトをつくった、ヒール靴強制に反対する「＃ＫｕＴｏｏ」運動発信者の石川優実さんも「女性の貧困や風俗産業の実態を学び、番組で検証して」と訴えている。

　コロナ禍で店舗型風俗店の営業自粛が相次ぐ中、行き場のない少女らが「パパ活」などの個人売春に走り、トラブルに巻き込まれるケースも急増している。虐待やドメスティックバイオレンス（ＤＶ）で追い込まれる少女を支援する一般社団法人「Ｃｏｌａｂｏ」の仁藤夢乃・代表理事は「岡村発言は性購買者の本音だと思うが、問題の本質は性搾取だ。日本は福祉制度の改善や拡充で貧困女性を支援するのではなく、女性が性産業に取り込まれる構造を長年放置してきた。問題意識を共有しなければ」と話す。

　署名活動を支持した上野千鶴子東京大名誉教授は「声を上げた若い学生や石川さんたちがネット上でバッシングされる一方、上の世代やメディアの多くは沈黙している。男性の自分勝手な性欲に日本の社会は寛大すぎる。この状態を許容してきたことに、上の世代にも責任がある」と話す。

　世界経済フォーラムが公表した昨年のジェンダー格差指数で百五十三カ国中、百二十一位と過去最低を更新した日本。若者の怒りは、岡村発言を社会問題として考えようとしない私たちに向けられている。

2020年06月05日 07時11分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/33432

【望月衣塑子】ナイナイ岡村・風俗発言への批判は単なる個人攻撃ではない 女性差別を直視せず問題をすりかえていいのだろうか [鉄チーズ烏★]

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