オンエア断念の危機！　完成が間に合わず出演者が歌う生番組でごまかす案も　「必殺」シリーズの〝事件簿〟 [朝一から閉店までφ★]

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必殺５０年　心に残る殺しの美学

オンエア断念の危機！　完成が間に合わず出演者が歌う生番組でごまかす案も　「必殺」シリーズの〝事件簿〟1/2ページ
2022.10/27 06:30

今年放送開始５０周年を迎えた「必殺」シリーズの歴史では、さまざまな「事件」が起きている。

もっとも知られるのが１９７３年６月に神奈川県で発生した殺人事件にまつわる騒動。新聞には「ＴＶ『必殺仕置人』に興奮　若い女性を殺す」と大きく見出しが出た。事件の影響もあり、「必殺仕掛人」「必殺仕置人」と続いていたシリーズの第３弾は「助け人走る」、第四弾は「暗闇仕留人」と「必殺」の文字が消えた。だが、後に犯人自らが「必殺シリーズを見ていたから事件を起こしたわけではない」と断言。その後、シリーズは「必殺必中仕事屋稼業」へと続いた。

その「必殺必中仕事屋稼業」は、放送期間中に〝腸ねん転〟といわれるネットチェンジという事態にぶつかる。７５年３月、朝日放送（ＡＢＣ）が製作し、ＴＢＳ系で放送されていた必殺シリーズはＮＥＴ（現テレビ朝日）系に引っ越したのである。時間も土曜夜から金曜２２時に。この〝事件〟は私もはっきりと覚えている。最終回で仕事屋の政吉（林隆三）が元締めのおせい（草笛光子）や仲間の半兵衛（緒形拳）をかばって自害したのがあまりに悲しくて号泣し、翌土曜日に学校を休むハメになったからだ。

また、このシリーズには凝り性のスタッフが多く、徹夜作業が続き、完成はいつもオンエア直前。一度、「仕事人」がどうしても間に合わないという事態になり、仕方ないので出演者全員が歌う生番組にしてごまかそうと本気で相談したと中村主水（藤田まこと）から聞いたことがある。確かに仕事人は、藤田に鮎川いずみ、京本政樹、三田村邦彦ら歌い手としてレコードを出している出演者が多い。やればできたかも。

しかし、最大の危機は映画「必殺！ブラウン館の怪物たち」の撮影時。「必殺仕事人Ⅴ」の撮影と並行する過密スケジュールの中、花屋の政の村上弘明が負傷、なんでも屋の加代の鮎川が交通事故でむち打ち症に。さらにプロデューサーが入院、撮影や調音などスタッフも次々病気や事故に遭う。組み紐屋の竜の京本は足を骨折した。それでも映画を完成させてしまうところが、必殺の底力。ちなみにむち打ち症の加代は、「何でも引き受けます」と書いた竹の輪ギプスを首に巻いてドラマに出ている。さすがとしか言いようがない。（時代劇研究家・ペリー荻野）

■必殺仕置人　１９７３年４月２１日～１０月１３日、全２６話。

■必殺必中仕事屋稼業　７５年１月４日～６月２７日、全２６話。

https://www.zakzak.co.jp/article/20221027-ZVINNZ6EFRK3BKK5663PFOPRDI/2/

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